たくさん担保があった方が債権回収上、良いというものではない(Part 1) in China
1.「人的保証」と「物上保証(抵当権等)」を実行する場合の優先順位のルールに注意
特に脈略は無いですが、今回は中国における担保設定について記事を書いてみたいと思います。
自社の債権(売掛債権等)を保全する為に、取引先(債務者)から担保の取得を検討することがあると思います。その際、中国においては、「人的保証」と「物上保証(抵当権等)」の優先順位について十分考慮する必要があります。
中国民法典 第392条(物的担保と人的担保)によると、当事者間で約定が無い場合で、同一の債権について「人的保証」と「物上保証(抵当権等)」が併存している場合、債務者自身が当該物上保証を提供している場合は、債権者はまずは債務者自身が提供した物上保証を先に実行してからでないと、第三者の保証人に保証債務の履行を請求できない、というルールがあります。
言い方を変えると、第三者の保証人は、債務者が提供した物上保証が実行されるまでは、保証債務の履行を拒否することが出来ます。
2.たくさん担保があった方が債権回収上、良いというものではない in China
担保の提供について交渉している場合、債務者が保有する不動産・動産への抵当権設定の他、債務者である法人の法定代表人、親会社等による債務保証等が選択肢に上がる場合があります。
この場合、「よく分からないけど、貰える担保であればなんでも貰いますよ」というということで、あれやこれやに担保権の設定をした中、債権者の思惑としては、債務者が抵当権として提供した不動産・動産の価値は二束三文なので、第三者である債務者の親会社の債務保証に一番、回収可能性を期待しているという場合を考えてみましょう。

このような場合、特に当事者間で約定が無い場合は、中国民法典 第392条(物的担保と人的担保)のルールに基づき、債務者が債務不履行をして、債権者としては直ぐに親会社に保証債務の履行を請求したくても、「まずは債務者の物的担保権を実行してから出直してきてください」と保証人に言われてしまうリスクがあります。
中国の場合、実務上、債務不履行をした場合、担保権者は直ぐに抵当権を実行できるわけではなく、まずは訴訟で請求権を確定させた後ではないと抵当権の実行が出来ないという実務になっています。
その為、上記事態となった場合、まずは、回収可能性が低い担保権を実行する為の裁判を提起して、その後、回収不能であることが法的に確認された後(強制執行の終了に関する裁定書を受領した後)に保証人に保証債務の履行を請求する、という二段階方式を取る必要があり、弁護士費用、人件費、時間が膨大に係ることになります。
賢い?債務者・保証人であれば、上記ルールを念頭に、初めから保証債務を履行するつもりはない中で、一見すると支払能力の高い親会社等が人的保証を提供するということで安心させておいて、債務者がお金を支払わずにトンズラするという、作戦に出てくる可能性があります。
上記事態とならないように、「人的保証」と「物上保証(抵当権等)」が併存させて担保を取得する場合は、債務不履行の場合は直ちに保証人に保証債務の履行を請求出来る旨、保証契約書に約定しておきたいものですね。
それでも、中国においては「執行難」が依然として問題となっていますので、裁判で回収出来るから大丈夫と安易に考えず、与信設定の際には十分、リスクを考慮して取引開始・与信増額の判断を行うようにしましょう。
3.次回記事の予告
次回の記事では、上記テーマの続編である、「たくさん担保があった方が債権回収に良いというものではない(Part 2) in China」を投稿予定なので、次回もぜってぇ見てくれよな!
<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
マンガ-教養としてのプログラミング講座
(清水亮氏、タテノカズヒロ氏)
プログラムに限らず、エクセルの計算式についても上記が当てはまるでしょう。もし、手順の説明の仕方が下手の場合、エラーが出やすくなったり、メンテナンスが難しくなるので、シンプルな構成となるように気を付けたいものですね。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
物流とロジスティクスの基本 この1冊ですべてわかる
(湯浅和夫氏)

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先輩がやさしく教えるシステム管理者の知識と実務
(木下 肇)
[本書で参考になった内容]
サーバは複数ユーザーでの利用が前提となるが、サーバ自体は基本的に、1台で1つの機能を提供するように構成されている。その為、サーバは一般的に「機能名+サーバ」という呼び方をする。
データセンターは、顧客のサーバを預かるサービスを提供している。ホスティングサービス(=レンタルサーバ)とは異なる。
「社内ネットワーク内に設置されたサーバ」と「インターネット上のサーバ」では、攻撃のされやすさが異なる。グローバルIPアドレスで直接、インターネット上で通信をする後者のサーバは攻撃を受けやすい。
監視のコツは、これが動作していればOKというポイントを見つけ出すこと。
PCのHDDが故障した場合、基本的な解決策はHDDの交換しかない。その為、故障が疑われる動作をしている場合は、速やかにバックアップの取得を最優先にしてデータを失わないようにする。故障は「物理障害」と「論理障害」に分けられる

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
先輩がやさしく教えるセキュリティの知識と実務 Kindle版
(橋本 和則氏)
[本書で参考になった内容]
PCがマルウェアに侵されると、そのPCが攻撃者の「踏み台」に使われることがある。その為、自分のPCには大したデータ入っていないからウィルスに感染しても構わないと思っても、自分のPCが悪意の攻撃者の「踏み台」となり「被害者」だけでなく「攻撃者」となってしまう場合があるので安易な考えは禁物。
PCの動作がおかしい場合、マルウェアの可能性も考えられるが、ハードウェアの故障や経年劣化の可能性も考えられる。トラブルの原因の見極めが出来ないと、マルウェアの可能性を排除できないというリスクと不安を負うことになる。PCを構成するハードウェアの役割を知っていれば、トラブル時にハードウェア的な要因であるか否かを見極めて対処することが出来る。
「ウィンドウズキー」+「L」でロック出来る。
タスクマネージャーからマルウェアを探すことは上級者向けなので、安易に初心者が手を出すべきではない。PCの稼働に必要なプログラムを誤って削除してしまうリスクがある。
iPhoneのリモートワイプ機能を使えば、当該端末上の全データを消去して初期化出来るが、Apple IDとの紐づけも無効となるので位置情報も追えなくなる。その為、リモートワイプ機能はどうしても見つからない場合の情報漏洩を最優先に置いた最後の手段と考える。
UPS(無停電電源装置)は「停電時に正常なシャットダウンを行う為の装置」。数十分以上の稼働は出来ない。
「ミラーリング」と「データバックアップ」はデータ保存のやり方が異なる。
1.ミラーリング:
複数のHDDに同じタイミングで同じデータを上書き保存する。
1つのHDDが故障した場合にはデータを復元できるが、
同じタイミングで同じデータを上書きしているので誤ってデータを
改変してしまうと復元できない。
2.データバックアップ
データを上書きせずに複製して、バックアップをとった時点ごとにデータを保存する。
データを削除してしまっても削除前の時点に戻って復元が可能。

特に脈略は無いですが、今回は中国における担保設定について記事を書いてみたいと思います。
自社の債権(売掛債権等)を保全する為に、取引先(債務者)から担保の取得を検討することがあると思います。その際、中国においては、「人的保証」と「物上保証(抵当権等)」の優先順位について十分考慮する必要があります。
中国民法典 第392条(物的担保と人的担保)によると、当事者間で約定が無い場合で、同一の債権について「人的保証」と「物上保証(抵当権等)」が併存している場合、債務者自身が当該物上保証を提供している場合は、債権者はまずは債務者自身が提供した物上保証を先に実行してからでないと、第三者の保証人に保証債務の履行を請求できない、というルールがあります。
言い方を変えると、第三者の保証人は、債務者が提供した物上保証が実行されるまでは、保証債務の履行を拒否することが出来ます。
[中国民法典 第392条(物的担保と人的担保)]
被担保債権に物的担保だけでなく人的担保もある場合,債務者が履行期の到来した債務を履行せず,又は当事者が約定した担保物権の実行事由が発生したとき,債権者は約定に従って債権を実現しなければならない。
約定がない又は約定が不明確であり,債務者自らが物的担保を提供した場合,債権者は,まず当該物的担保から債権を実現しなければならない。
第三者が物的担保を提供した場合には,債権者は,物的担保から債権を実行することができ,保証人に保証責任の負担を請求することもできる。担保を提供した第三者は,担保責任を負担した後,債務者に対して求償権を有する。
2.たくさん担保があった方が債権回収上、良いというものではない in China
担保の提供について交渉している場合、債務者が保有する不動産・動産への抵当権設定の他、債務者である法人の法定代表人、親会社等による債務保証等が選択肢に上がる場合があります。
この場合、「よく分からないけど、貰える担保であればなんでも貰いますよ」というということで、あれやこれやに担保権の設定をした中、債権者の思惑としては、債務者が抵当権として提供した不動産・動産の価値は二束三文なので、第三者である債務者の親会社の債務保証に一番、回収可能性を期待しているという場合を考えてみましょう。

このような場合、特に当事者間で約定が無い場合は、中国民法典 第392条(物的担保と人的担保)のルールに基づき、債務者が債務不履行をして、債権者としては直ぐに親会社に保証債務の履行を請求したくても、「まずは債務者の物的担保権を実行してから出直してきてください」と保証人に言われてしまうリスクがあります。
中国の場合、実務上、債務不履行をした場合、担保権者は直ぐに抵当権を実行できるわけではなく、まずは訴訟で請求権を確定させた後ではないと抵当権の実行が出来ないという実務になっています。
その為、上記事態となった場合、まずは、回収可能性が低い担保権を実行する為の裁判を提起して、その後、回収不能であることが法的に確認された後(強制執行の終了に関する裁定書を受領した後)に保証人に保証債務の履行を請求する、という二段階方式を取る必要があり、弁護士費用、人件費、時間が膨大に係ることになります。
賢い?債務者・保証人であれば、上記ルールを念頭に、初めから保証債務を履行するつもりはない中で、一見すると支払能力の高い親会社等が人的保証を提供するということで安心させておいて、債務者がお金を支払わずにトンズラするという、作戦に出てくる可能性があります。
上記事態とならないように、「人的保証」と「物上保証(抵当権等)」が併存させて担保を取得する場合は、債務不履行の場合は直ちに保証人に保証債務の履行を請求出来る旨、保証契約書に約定しておきたいものですね。
それでも、中国においては「執行難」が依然として問題となっていますので、裁判で回収出来るから大丈夫と安易に考えず、与信設定の際には十分、リスクを考慮して取引開始・与信増額の判断を行うようにしましょう。
3.次回記事の予告
次回の記事では、上記テーマの続編である、「たくさん担保があった方が債権回収に良いというものではない(Part 2) in China」を投稿予定なので、次回もぜってぇ見てくれよな!
<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
マンガ-教養としてのプログラミング講座
(清水亮氏、タテノカズヒロ氏)
[以下、本書抜粋]
諸説ありますが、人類初のプラグラマーは、19世紀の英国人、ラブレース伯爵夫人オーガスタ・エイダ・キングと言われています
(中略)
エイダは、自動計算器を「人間が手順を説明可能な者なら、どんな作業でも自動化できる機会」と定義しました。そしての現代の我々にとってのプログラムとは、まさに「手順の説明」を意味しています。
プログラムに限らず、エクセルの計算式についても上記が当てはまるでしょう。もし、手順の説明の仕方が下手の場合、エラーが出やすくなったり、メンテナンスが難しくなるので、シンプルな構成となるように気を付けたいものですね。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
物流とロジスティクスの基本 この1冊ですべてわかる
(湯浅和夫氏)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
先輩がやさしく教えるシステム管理者の知識と実務
(木下 肇)
[本書で参考になった内容]
サーバは複数ユーザーでの利用が前提となるが、サーバ自体は基本的に、1台で1つの機能を提供するように構成されている。その為、サーバは一般的に「機能名+サーバ」という呼び方をする。
データセンターは、顧客のサーバを預かるサービスを提供している。ホスティングサービス(=レンタルサーバ)とは異なる。
「社内ネットワーク内に設置されたサーバ」と「インターネット上のサーバ」では、攻撃のされやすさが異なる。グローバルIPアドレスで直接、インターネット上で通信をする後者のサーバは攻撃を受けやすい。
監視のコツは、これが動作していればOKというポイントを見つけ出すこと。
PCのHDDが故障した場合、基本的な解決策はHDDの交換しかない。その為、故障が疑われる動作をしている場合は、速やかにバックアップの取得を最優先にしてデータを失わないようにする。故障は「物理障害」と「論理障害」に分けられる

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
先輩がやさしく教えるセキュリティの知識と実務 Kindle版
(橋本 和則氏)
[本書で参考になった内容]
PCがマルウェアに侵されると、そのPCが攻撃者の「踏み台」に使われることがある。その為、自分のPCには大したデータ入っていないからウィルスに感染しても構わないと思っても、自分のPCが悪意の攻撃者の「踏み台」となり「被害者」だけでなく「攻撃者」となってしまう場合があるので安易な考えは禁物。
PCの動作がおかしい場合、マルウェアの可能性も考えられるが、ハードウェアの故障や経年劣化の可能性も考えられる。トラブルの原因の見極めが出来ないと、マルウェアの可能性を排除できないというリスクと不安を負うことになる。PCを構成するハードウェアの役割を知っていれば、トラブル時にハードウェア的な要因であるか否かを見極めて対処することが出来る。
「ウィンドウズキー」+「L」でロック出来る。
タスクマネージャーからマルウェアを探すことは上級者向けなので、安易に初心者が手を出すべきではない。PCの稼働に必要なプログラムを誤って削除してしまうリスクがある。
iPhoneのリモートワイプ機能を使えば、当該端末上の全データを消去して初期化出来るが、Apple IDとの紐づけも無効となるので位置情報も追えなくなる。その為、リモートワイプ機能はどうしても見つからない場合の情報漏洩を最優先に置いた最後の手段と考える。
UPS(無停電電源装置)は「停電時に正常なシャットダウンを行う為の装置」。数十分以上の稼働は出来ない。
「ミラーリング」と「データバックアップ」はデータ保存のやり方が異なる。
1.ミラーリング:
複数のHDDに同じタイミングで同じデータを上書き保存する。
1つのHDDが故障した場合にはデータを復元できるが、
同じタイミングで同じデータを上書きしているので誤ってデータを
改変してしまうと復元できない。
2.データバックアップ
データを上書きせずに複製して、バックアップをとった時点ごとにデータを保存する。
データを削除してしまっても削除前の時点に戻って復元が可能。

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