非貿易取引の支払時の源泉徴収漏れに注意(特に5万ドル以下の少額支払のお漏らしに注意)

1.非居住者の中国国内源泉所得に関する支払時の源泉徴収義務

中国の非居住企業が獲得する中国国内源泉所得(当該非居企業が中国国内にPEを持たない場合)については、原則、中国国内の支払人が控除納付義務者となり、源泉控除納付により源泉徴収を行う必要があります。

上記源泉徴収手続の流れは以下の通りです。


[源泉徴収手続きの簡単な流れ]
(1)契約書の登録備案(届出)
   源泉徴収義務者は、関連する契約の締結から30日以内に
   税務局に契約書を届け出て税務登記が必要
 
(2)納税
   源泉徴収義務者は、源泉徴収したお金を税務局に納税する

(3)支払の登録備案(届出)
   国外に対して5万米ドルを超える非貿易に関する外貨送金を支払う場合、
   上記(1)の備案の他に、税務局に支払に関する届出(備案)が別途必要。

   海外送金時に銀行から上記備案書類の提出を求められる。

   ※上海では、上記「(1)契約書の登録備案」と「(3)支払の登録備案」は
     税務局のWEBサイトで申請が可能であり、又、上記(2)の納税は電子納付が可能。


上記手続の詳細について知りたい方は、(個人的に最近読んで参考になった)「中国企業所得税の制度と実務(2022年9月出版)(水野 真澄 (著・監修)、税理士法人山田&パートナーズ (著))」のP73を参照下さい。

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2.非貿易取引の支払時の源泉徴収漏れに注意(特に5万ドル以下の少額支払のお漏らしに注意)

中国法人が日本の親会社に対して配当やロイヤリティを支払うケースは、毎月・毎年、定期的に発生することであり、又、日本側から源泉徴収したエビデンスの提出を求められることもあり、抜かりなく上記手順で源泉徴収対応を進めているかと思います。

又、上記1(3)の通り、中国において「国外に対して5万米ドルを超える非貿易に関する外貨送金を支払う場合、税務局に支払に関する届出(備案)が必要」であり、大きな非貿易取引の対価を支払い場合は、銀行から支払前に備案書類の提出を求められるので、少なくとも支払前には気づくと思います。

しかし、5万ドル以下の少額の非貿易取引(非居住者が提供する中国国内で発生する各種サービス取引)の場合は、上記支払時の登録備案をしなくても海外送金が出来てしまう為、うっかり源泉徴収をせずに送金してしまうケースも発生するかもしれません。

この場合、その後の税務調査で源泉徴収していないことを税務局から指摘されて後から納付をした場合でも、支払先・非居住者である第三者から税金相当額を別途回収するのは難しく、最終的には、源泉徴収義務者が本来は負担する必要のない税金分を負担せざるを得なくなる場合もありますので、源泉徴収漏れがないように十分注意したいものですね。

法人によっては支払に関する社内支払申請書に基づいて支払処理をしている会社もあるかと思いますが、そのような会社は、申請書の中に源泉徴収の有無というチェック項目を設けてもいいかもしれません。

また、海外法人と非貿易取引に関する契約書を取り交わす場合は、契約金額は、源泉税を徴収後の支払金額も合わせて明記するようにして、支払時のタイミングになって、契約書に記載の金額が「源泉税徴収前の金額」なのか「税引き後の金額なのか」をモメないようにしたいものですね。

5万ドルの送金規制については以前、下記記事を書いたので関連記事としてリンクを記載しておきます。


非貿易項目(役務提供等)の5万ドル送金規制を逃れるために分割払いをしてもダメ in 中国
2023年5月6日 投稿
https://hitorihoumu.blog.fc2.com/blog-entry-730.html




<その他、本書で参考になった・再認識させられた事項>
・中国企業が負担する従業員福利費の内、給与総額の14%を上限として損金算入が認められる(実施条例・第40条)

・中国企業が負担する教育費の内、給与総額の8%を上限として損金算入が認められる。給与総額の8%を超過した教育費については、翌年度の納税年度に繰り越して損金算入が可能(実施条例・第42条)



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
中国個人所得税の制度と実務(2020年9月出版)
(水野 真澄 (著・監修)、税理士法人山田&パートナーズ (著))

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(朗報) 中国個人情報保護法 越境移転規制の緩和に関するパブコメ(9/28)が出た件

1.越境移転規制(中国国内から国外に個人情報を提供する場合の規制)

中国の個人情報保護法に係る越境移転規制(中国国内から国外に個人情報を提供する場合の規制)上、越境移転を行う中国の会社は、2023年11月末を期限として、複数の選択肢のから一つの保護措置を講じる義務が定められております。

EU一般データ保護規則(GDPR)と同様、個人情報の「提供元(中国法人)」と「提供先(中国外の法人)」との間で個人情報移転に関する標準契約書を締結するスキームを選択した場合、下記対応が必要となっております。


[対応事項(標準契約を締結するケース)]
①標準契約書の締結
②影響性評価報告書の作成(PIA)
③上記①と②を行政へ届出
④行政の審査


上記対応事項の詳細については下記情報サイトに詳しく解説されていますのでご参照下さい。


企業法務ナビ
中国「個人情報越境移転標準契約届出ガイドライン(第1版)」の解説
https://www.corporate-legal.jp/matomes/5294


面倒くさいのは、上記④の行政審査ですね。新しい法令である為、行政審査の厳格性が読めずに、どこまでしっかりやらないといけないのか分からない中、対応期限が近づいてきてどうしたものかと悩んでいた会社が多いかと思います。
私の会社も同様です・・orz



2.(朗報) 中国個人情報保護法 越境移転規制の緩和に関するパブコメ(9/28)が出た件

そんな会社に朗報ですが、中国の越境移転規制について対応準備を進めている会社であれば既にご存じかと思いますが、2023年9月28日に中国国家インターネット情報弁公室が当該規制に関する実施規定に関するパブコメを公開したようです。

当該パブコメの詳細は下記の弁護士事務所が発行しているニューズレターを参照頂きたいのですが、一番の大きなポイントは、越境移転する個人情報の数量が1万人未満の会社は、事前の必要措置を講じる必要は無いと、規制を緩和する内容となっている件です。

また、従業員(日本人出向者等)の個人情報を管理する上で必要な範囲内であれば、標準契約書の締結等の措置を講じる必要は無いという内容も含まれているようです。


牛島総合法室事務所 ニューズレター(2023年10月3日)
中国「国境を越えたデータの流れの規制と促進に関する規定」のパブリックコメント案の公開
https://www.ushijima-law.gr.jp/client-alert_seminar/client-alert/china_crossborder_flow_draft/



長島・大野・常松法律事務所 ニューズレター(2023年10月)
【速報】中国:個人情報の越境移転の規制緩和なるか~データの越境移転の促進及び規範化規定(パブコメ版)の公表~
https://www.noandt.com/publications/publication20231005-1/


グローバルにビジネスを実施していれば、中国国内から国外に個人情報を一切提供しないという会社は無い中、その全ての企業を審査対象とした場合、当該企業だけでなく、審査する行政側の負担も大きすぎて実務的ではないと国は考えたのでしょう。

そこで、主にB to Cビジネスを実施している大量の個人情報を取り扱う大企業だけをターゲットに限定するような規制内容に変更することを検討しているようですね。

私の所属会社でも上記規制への対応準備は検討してきましたが、対応負荷が大きいなと悩んでいたところでしたので、今回のパブコメ通りの実施規定案が制定されることを願っています。

上記法令対応に関するコンサルを、数年に一回やってくる特需と考えて一稼ぎしようと考えていた法律事務所、コンサル等はパブコメに反対するかもしれませんが・・。



3.名刺管理システム(Sansan等)のサービスは上記規制に基づく行政審査上、OK出るのか?

私の所属会社の日本親会社では、オンラインでの名刺管理サービス(Sansan)を利用していますが、各国の越境移転規制がある為、上記サービスをグローバルに利用することは今のところ、控えており、日本国内に限定してサービスを利用しています。

グローバルで名刺管理サービスを利用する上で、「個人情報の主体から越境移転の同意を得る」ハードルについては、個人情報の保護ポリシー(利用目的等を記載)をHPに公表した上で、「名刺交換をしたことでグル-プ会社間で個人情報として共有されることについて黙示の合意があった」という建付けで、個人主体から同意を得ていたと主張することは可能かもしれません。

しかし、中国であれば行政の届出・審査を受けた際、個人情報保護に関する安全対策が十分なのかと行政から指摘を受けた際、効果的に主張出来ないリスクがあります。

なお、現在、SansanのHPでは、越境移転規制に関する会社のスタンスについては公開されていません。もし、Sansanを利用している会社が中国の越境移転規制の審査を通過したというような成功事例?があれば、会社名を黒塗りした影響性評価報告書の記載例等と合わせて事例を公開して貰えれば、利用会社数もより一層大きく増えると思いますので、Sansanさん、そこのところ、どうぞよろしくお願いします。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
中国個人情報保護法制の実務 単行本 ( 2022/12/22)
(孫 彦 氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
商社マンは今日も踊る(完全版)1巻~4巻(2016/1/20)
(小田ビンチ氏著作)


[hitorihoumuメモ]
上記書籍は、2011年3月に出版された「コミック:商社マンは今日も踊る しょせん仕事は泥臭い!!」(紙の単行本)に未掲載のエピソードをいくつか追加した「完全版」(kindle版のみ。紙版は無し。kindle unlimitedで読めます)です。

2011年に紙単行本を読んで本ブログに下記記事をUPしましたが、追加版ということで今回、読んでみました。「商社マン」と言っても、大手総合商社ではなく特定の商材や業界に特化した専門商社の営業担当マンの日々を面白おかしく描いたものです。
(上記書籍を読んでもう10年超が経過したとは、月日が経つのは早いものです)


コミック:商社マンは今日も踊る しょせん仕事は泥臭い!!」を読んで
(2011年10月22日投稿)
https://hitorihoumu.blog.fc2.com/blog-entry-227.html



今後、専門商社で営業担当として仕事をしていこうとする方は、業界研究の一つとして本書を読んで見るとイメージがわくかもしれません。

誇張した表現も含まれていますので、本書の内容が全ての専門商社に当てはまると考えた場合、この業界では仕事をしたくはないと考えてしまうかもしれません。ただ、そんなことはないので、少し割り引いて、気楽にソファーに寝っ転がりながら読んでみましょう。



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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
フローチャート消費税 ―図解による消費税の課税関係(2022/11/11)
(内川 毅彦氏著作)

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書籍:「ROIC経営 実践編 事業ポートフォリオの組換えと企業価値向上」を読んで

1.書籍:「ROIC経営 実践編 事業ポートフォリオの組換えと企業価値向上」を読んで

今般は、「ROIC経営 実践編 事業ポートフォリオの組換えと企業価値向上(KPMG FAS (編集), あずさ監査法人 (編集))」を読んでみました。


[目次]
第1章 事業ポートフォリオの組換えが求められる背景
第2章 事業ポートフォリオの評価方法
第3章 事業ポートフォリオの組換え
第4章 事業ポートフォリオ評価と投資余力の把握
第5章 事業ポートフォリオ評価と投資判断プロセス
第6章 事業ポートフォリオの経営管理体制
第7章 事業間シナジーの創出手順

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本書は、「ROIC経営 稼ぐ力の創造と戦略的対話(KPMG FAS (編集)、あずさ監査法人 (編集))」の続編となります。前編を読んだ時の感想は本ブログの下記記事に記載しています。


書籍:「ROIC経営 稼ぐ力の創造と戦略的対話(KPMG FAS (編集)、あずさ監査法人 (編集))」を読みました。
2020年8月29日 投稿
https://hitorihoumu.blog.fc2.com/blog-entry-666.html



早速ですが、上記「実践編」で心に留まった箇所を以下の通り、抜粋させて頂きます。


これを見ると、企業側が資本効率を高める為に重視している取り組みは、高い順から「コスト削減の推進」、「製品・サービスの競争力強化」、「事業規模・シェア拡大」であることが分かる。つまり、ROE改善の打ち手として、コスト体質の改善と事業規模の拡大を考えている傾向が強いといえる。

これに対して、機関投資家側が資本効率改善のために企業に最も期待することは、「事業の選択と集中(経営ビジョンに即した事業ポートフォリオの見直し・組み替え)」と「収益・効率性指標を管理指標として展開(全社レベルで浸透)」の2点である。

 これは、機関投資家から企業側に投げかけられている問題提起の裏返しでもある。すなわち、不採算事業を多く抱え、経営資源を集中すべき事業の絞り込みがなされていないがゆえに収益性の低下を招いている。また、効率性も加味した収益性の評価が浸透していないのが現状である。



ROICは、効率性を表す指標として非常に優れているが、規模感やビジネスモデルが異なる事業(資本主役型かアセットライト型)が混在する場合には、ROICの高低と創出している付加価値の多寡が必ずしも一致しない。ROICが評価軸として適しているのは、ビジネスモデルや規模感がある程度近似している事業の場合である。自社で抱える事業の性質を踏まえ、「率」の指標か、あるいは「規模」指標かを選択する必要がある。



2.自社の効率性指標の展開状況と課題

詳しいことは言えませんが、私が所属している企業グループでは、既に収益・効率性指標を社内管理指標(外部には非開示)として展開しており、各事業部門(といっても事業は基本的に専門商社の販売事業だけで、各地域・国に営業拠点を設けている)の指標を算出して経営層に報告しています。

また、各事業部が比較的大きな新規取引を開始する場合は、当該ビジネスに関する効率性指標を算出して、当該ビジネス開始の妥当性を検討する際の参考情報にもしています。

現状の課題としては、各営業拠点は、各拠点長の意向とは関係無く、担当している顧客・取引規模・利益率等はバラバラであり、拠点毎の人数・規模も大きく異なるところにあります。

そのような中、上記効率性指標を基に、各事業拠点間を横で比較・評価をしようとすると、上記配属ガチャの問題によって不公平感が生じる為、人事評価制度には落とし込んでいません。

もし人事評価制度に落とし込むとしたら、各営業拠点の過去の実績をベースにした各拠点毎の目標を定めて、当該目標の達成率を基に評価をしていくことになるでしょうが、上記運用は導入していません。

また、各事業部門別の「率」の指標では、分母に運転資本(売掛債権+在庫―買掛金)を利用していますが、以前、下記記事にも記載の通り、会社グループ方針により、各部門の意思とは関わらず、不可抗力的に運転資金が大きく必要となる状態となっている場合があり、その点でも不公平がある為、参考情報としての指標とはなりますが、絶対的な管理指標にはなりえていない状態です・・orz


部門別資本効率の評価の難しさに関する一考察
2021年2月27日投稿
https://hitorihoumu.blog.fc2.com/blog-entry-680.html



各事業部門に上記指標を落とし込む上では、「利益率を上げていきましょう」ということ以外は、当該管理指標の向上のためにも、「新規取引先と取引を開始する際は、支払いは長く、回収は短くなるように、支払・回収条件を良く交渉しましょう」、「在庫は極力、減らしましょう」ということ伝えていくことしか出来ておらず(これしかやりようがないのかもしれませんが)、まだまだ、今の管理指標が社内の隅々まで浸透しているとは言えないと考えています・・orz

やはり、KPIを設ける以上は、何らかの形で人事評価と繋げないと、人は動きませんね。

ということで、現在、導入している管理指標は、経営層が「事業の選択と集中(経営ビジョンに即した事業ポートフォリオの見直し・組み替え)」を考える上での参考情報にはなっているかもしれませんが、末端の営業担当が当該効率性指標を常に意識した営業活動が出来るようにするにはどうすれば良いか、日本本社勤務時代に上記指標の導入に関わった者の責任として、引き続き、検討を進めていこうと思います。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた(永井孝尚氏)

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[本書で参考になった内容]
 ・「新訂 競争の戦略(M・E ポーター)」

 競争しているのは同業者だけでない。
 「売手」「買手」「新規参入者」「代替品」も競争相手

・「競争戦略論(M・E ポーター)」

 まず「何をやらないか」を決める。

・「イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンエン)」

 イノベーションのジレンマ

 「リーダー企業は競争感覚を研ぎ澄まし、顧客に注意深く耳を傾け、
  新技術に積極的に投資するからこそ、リーダーの地位を失う」

[hitorihoumuメモ]
顧客に注意深く耳を傾けるまではいいものの、既存の自社商品が優れた特色を持つがゆえに、当該商品をベースにした考えから脱却出来ず、自社商品の特色を改良することのみに目を奪われ、顧客の別の需要に目が届かない、ということですね。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた(永井孝尚氏)

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[本書で参考になった内容]

「私たちがビジネスで出会う悩みの多くは、世の本にすでに解決策が書いてある(中略)読書はそんな実体験を短時間で大量に疑似体験できる。膨大なビジネスのシミュレーションを低コストでできる」

[hitorihoumuメモ]
先日読んだ「コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル(メン獄 (著))」に、「既に答えがある問題を自分で解いてはいけない」と書かれていましたが、今、自分が直面している問題は、以前に誰かが既に直面した問題と類似しているか同じ問題かもしれません。

その為、既に解決策を知っていそうな社内のキーパーソンを押さえておいて、何かあれば直ぐに聞ける状態にしておくことも大事ですし、又、日々の読書を通じて、各種問題の基本的な解決方法の考え方を事前に学んでおくことも大事ですね。その為にも、読書の習慣はビジネスのパーソンとしては是非、早めに身に付けておきたいものです。

・「現代の経営(上・下) P・Fドラッカー」
 「我々の事業は何か」を問い続けるべき

・「仮説思考(内田和成氏)」
 答えを出すのが早い人は、必ずしも頭の回転が速い人というわけではなく、
 早い段階で自分なりの「仮説」を立てることが出来る人。
 仮説思考は後天的に身に付けることは可能。

 仮説:まだ証明されていないが、最も答えに近いと思われる答え

「ザ・ゴール(エリヤフ・ゴールドラッド)」
TOC理論(制約条件の理論)のカギは、ボトルネックの見極めと対応

ボトルネックが解消すると、新たなボトルネックが生まれる。

・「プロフェッショナルマネージャー(ハロルド・ジェニーン)」
 「マネージャーには、『揺るがすことのできない事実』を確認するひたむきさ、知的好奇心、
 少々の無作法さ、さらに、ときには現場で顔を突き合わせて自分で確かめることも必要だ」

 「誰が正しいか?」ではなく「何が正しいか?」

[hitorihoumuメモ]
私の部下の中には、私に対して報告をしてくるときに、「事実」、「意見」、「希望的観測」、「ネットで調べた情報」がごちゃ混ぜとなっていて、全て「事実」のような言い方をして来る人がいます。

自信満々で報告してくるものの、どうも話の内容が腹落ちせず、違和感を感じた場合は、鵜吞みにせずに突き詰めて質問をしていくと、色々と穴が見えてきて、再確認した結果、報告してきた事項に間違いが見つかる(そして自分の確認不足を認めたがらない)、ということがままあるので、疲れますね・・orz

判断を間違えないようにするために、本当にそうかを見極める目と、そんなものかなと、あきらめない心が必要ですね。

〇〇弁護士がこう言っている、会計士の▲▲先生がああ言っている、ということは、社内を説得する上での確かな材料にはならないので、先生にアドバイスを依頼するにしても、ゆるぎない確かな事実(法律問題であれば法令等)を掴むようにしましょう。




<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
ロジカル・シンキング(照屋 華子氏、岡田 恵子氏)

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落とし穴2
それは事実ですか?それともあなたの判断、仮設ですか?と問われた途端に、信憑性は半減する。

「なぜ?」と聞かれたとき、その理由として示すことのできるものには2種類ある。1つは、客観的な事実としての根拠であり、もう1つは、判断・仮説としての根拠だ。これはどちらが優れていてどちらが劣っている、というものではない。

(中略)

もし、事実であるとすれば、具体的にどのような現象を指しているのかを示すべきだし、伝えての判断であるのなら、何故どういうところに着目してそう思ったのかを示さなければ、根拠を明確に説明したことにはならない。」



話の漏れは、「一点突破、全面崩壊」につながる。

論理的に相手に伝える上では、相手に「余計な作業をさせない」ということがとても大事だ。だから、伝え手は、予め自分の思考をきっちり整理し、大きな重複・漏れ・ずれ、そして話の飛びがないようにチェックして貰いたい。

[hitorihoumuメモ]
上述の通り、自分の部下には、聞き手(私)の思考に負担を掛けないよう、しっかり自分で言いたいことを整理してから報・連・相して貰いたいものですし、自分も上記を十分気を付けていきたいと思います。

人によっては、人に話をしながら自分の頭の中を整理していくタイプの話し方をする人がいますが、話の壁打ち相手となっている人の時間を奪うことになるので、止めて欲しいですね・・。とはいえ、部下でもない限りは、本人に上記を気付かせるのは難しいですね。

書籍「とにかく仕組み化-人の上に立ち続けるための思考法」を読んで

1.書籍「とにかく仕組み化-人の上に立ち続けるための思考法」を読んで

今回は、アマゾンや各所の紹介欄で目にする機会が多い「とにかく仕組み化-人の上に立ち続けるための思考法」という本を読んでみました。


 [目次]
 第1章 正しく線を引く―「責任と権限」
 第2章 本当の意味での怖い人―「危機感」
 第3章 負けを認められること―「比較と平等」
 第4章 神の見えざる手―「企業理念」
 第5章 より大きなことを成す―「進行感」
 終章  「仕組み化」のない別世界

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早速、本書で心に留まった箇所を抜粋させて頂きます。


「なぜミスをしたんだ?」と“個人”を責めるか。

「どうすれば防げたのだろう?」と、“仕組み”を責めるか。

その一瞬の判断だけで、あなたの行く末が決まる。



「あの部長のせいだよね」
「あの新人が育たないだけだよね」

と、同僚とグチをいうだけで終わっていないだろうか。


よく考えれば当たり前の話ではありますが、人間誰しもミスをするものであり、また、優秀な人がずっと会社にいる保証はないという前提で会社の組織・仕組みづくりをしていかないと、安定的な組織運営は出来ないですね。

上記の真理に目に向けないようにして、もしくは気づかずに、問題が起きたら人のミスを指摘して終いにしたり、この部署には優秀な人がいない・人が足りないと嘆いても問題の解決はしないでしょう。目の前に見えている問題が問題の全てと考えず、トヨタの問題解決方式である「なぜなぜ分析」を通じて、問題の本質の掘り下げが必要になりますね。



2.私の事例(属人化の排除に向けた取り組み)

今の私の所属組織は、一応、東証一部上場の子会社ではありますが、社員は100名程度の小規模法人ですので、至る所に属人化された業務が存在しています。

また、(重要なキーパーソン)社員の定年問題・後継者育成問題も控えています。

各種業務を洗い出して、一人でしか対応できない業務が無いようにジョブローテーションを行い、一人が抜けても仕事が回る仕組みを作ろうとしています。また、社内にそもそもローテーションが出来る人がいないし、採用も予算的に出来ない場合は、外部委託する選択肢も考えて、急にキーパーソンが退職をしても安定的に仕事が回るような組織作りを進めています。ただ、まだ現在進行形であり、上記課題は山積みです orz

なお、現在、私に与えられたコーポレート駐在員としてのミッションは、私が直接的に所属している法人の改善だけでなく、私のようなコーポレート出向者のいない、さらに小規模の他のグル-プ会社にあるコーポレート業務も安定的・円滑に回るような仕組みを作ることも含まれています。

更に小規模のグループ会社法人では、業務が属人化されているケースが多く、重要なキーパーソンが抜けた場合でも問題が無く仕事が回るよう、他のグループ会社がバックアップ出来る体制を作っていくのはなかなか難しいものです。

他のグループ会社をバックアップすることを前提として、余剰人員を常に抱えていくほどの余裕もありませんが、横串のサポートがし易いように、各種法人毎にバラバラしている業務の標準化を進めたり、マニュアル化を進めたり、最終的には統括会社やシェアードカンパニーを作ることも視野に、将来(3年後、5年後)の絵を書いてみようと思います。

後4年後位には私は日本に帰任する計画にはなっていますので、良い置き土産が出来るよう、仕組化を頑張りたいと思います。



3.卑近な例(中国語の勉強を仕組化)

最後に、本書で参考になった内容を備忘の為に以下に抜粋させて頂きます。


自らの手で仕組化を替える側の人になる必要がある。

「性弱説」に基づいて仕組化をしないといけない。
組織は放っておくと属人化していく。属人化に甘えてはいけない。

「簡単な行動」と「続けられない習慣」を結びつける発想が必要

「優秀な人」がいることが、「優秀な組織」ではない。
「優秀な人が不在でも、チームとして機能することで勝てる組織」が優秀な組織

「誰が担当しても同じパフォーマンスを出すことができる」という仕組みが必要

決裁権限の社内ルールに定めの無い既得権益は排除しないといけない。
「そんな話、私は聞いていない」と主張してくる、正当な権限を持たない人を
無くさないと社内は混乱するしモチベーションが上がらない。


仕事以外で、本書を読んで参考になり、実行に移した卑近な例としては、「通勤」と「犬の散歩中」は中国語の勉強を行うこと、というマイルール(仕組み)を作り、学習の習慣化をしたことです。もう2ヶ月くらいは継続出来ています。

(継続し難いけど継続したい)何かを継続化するのであれば、どうすれば習慣化(仕組化)出来るかを考えるといいかもしれませんね。

  「通勤」    → 「中国語の勉強」
  「犬の散歩」 → 「中国語の勉強」

2週間程度で、上記のシンプルな図式が頭の中にインプット出来た後は、そういうものだということで、特に苦も無く取り組みが出来ています。

上記図式通りに進めないと、なんだか気持ちが悪いという感情が出てくればしめたものですので、毎日のジョギングでもなんでも、良いことの習慣化であれば、とりあえず2週間は継続してみましょう。

書籍:「攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書」を読んで

1.「攻めの法務」とは?

今般は、「攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書(渡部友一郎 (著), 大舞キリコ (イラスト), 星井博文 (その他), BUSINESS LAWYERS (その他))」という本を読んでみました。

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「攻めの法務」については色々なところで議論がされていますが、その言葉の定義については確立されたものはなく、人によって解釈が異なります。

その為、「攻めの法務が重要」という言葉を聞いた法務関係の方の中には、その言葉から来るシンプルなイメージから、グレーな案件であってもグレーなまま、イケイケどんどんで進めることを後押しするのが「攻めの法務」と認識する方がいるかもしれません。

私の所属会社だけではないと思いますが、多くの営業担当は、契約書の審査・締結については、とっとと早く終わらせて早く取引に進みたいと考えている人が多いかと思います。そんな営業担当にとっては、少しリスクの大きい契約書・ビジネスでも直ぐにGOサインを出してくれる法務の方が、営業受けはいいかもしれません。

また、営業部門からストッパー扱いされることを恐れるあまり、言いたいことも言えない法務部門になっているケースもあるかもしれません。

その様な状況の中、「攻めの法務が重要」という便利な言葉に出会った結果、この言葉を自己正当化の道具・免罪符して、営業担当に喜ばれるからと、法務部門がどんどん契約書の審査をザルにした場合、将来、契約書に関するトラブルに発展して思わぬしっぺ返しに合い、結果的には、営業担当にも迷惑を掛ける結果になるかもしれません。

これでは、本来、あるべき法務組織の役割を果たしているとはいえないでしょう。
法務の目的は、契約書の社内審査を何とか通して「締結」させるが役割・ゴールではないですからね。



2.あるべき「攻めの法務」の姿

一方、本書の著者が考える「攻めの法務」の意味は、本書の下記目次を見れば分かる通り、よく考えもせずに「リスクがあります」とだけ言って事業部門にNOを突き付けて、安易にビジネスをストップさせるのではなく、「リスク」のないビジネスは無いのですから、事業部門が適切・妥当にリスクテイク出来るように、「十分な情報に基づく意思決定」を法的にサポートすることが「攻めの法務」と主張されています。



[本書目次] ※アマゾンの本書の紹介ページより抜粋させて頂きました。

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https://www.amazon.co.jp/%E6%94%BB%E3%82%81%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%8B%99-%E6%88%90%E9%95%B7%E3%82%92%E5%8F%B6%E3%81%88%E3%82%8B-%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-%E6%B8%A1%E9%83%A8%E5%8F%8B%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/4817848650


更に、「攻めの法務」の役割を果たす為には、リスクの「特定」と「分析」をして終いにするのではなく、次の検討段階に進む為に、「リスク発生の蓋然性」×「リスク発生時のインパクトの大きさ」を考慮した詳細な分析を行いつつ、「(取れるリスクかどうかの)評価」と「対応(リスク低減策)」までも一緒に事業部門・営業部門と伴走して考えていく必要があると解説しています。

以前、「知財部という仕事(友利昴氏著作)」という本を読んだ備忘録を書いた下記記事に記載しましたが、「で、俺はどうすればいいの?やっていいの?ダメなの?」と言われないように、最終的なビジネスジャッジは事業部門・営業部門かもしれませんが、法的な分析結果だけ営業部門に投げてつけて、後は「営業判断ですね」とだけ言い捨てる法務部門にはならないようにしたいものですね。


相談者から「で、オレはこれやっていい?ダメなの?」と言われないようにするために ※「知財部という仕事」(友利昴氏著作)という本を読んで

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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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