(書籍)中国における保税委託加工貿易に関する優遇制度 保税手冊の利用法及び保税貨物の管理上の課題と対応策(Kindle版)(張 安徳氏 著作)を読んで

最近、仕事で中国保税取引に関与する機会があり、今さらながら基本的な理解を深めようと、Kindle unlimitedにて無料で読める「中国における保税委託加工貿易に関する優遇制度 保税手冊の利用法及び保税貨物の管理上の課題と対応策(Kindle版)(張 安徳氏 著作)という電子本を読んでみました。

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本書で参考になったのは、これまで個人的にはなんとなくの言葉の定義しか理解していなかった「加工手冊」による管理方法です。

中国の保税取引について解説した本はあまり出ていない中、本書は2016年出版と少し古い本ではありますが、上記保税取引について概要を説明してくれる希少価値の高い本なので、上記テーマについて興味・関心がある方は手に取ってみてはいかがでしょうか。


[蛇足]
2010年前に書かれた保税取引の解説本をアマゾンで何冊か見つけましたが、中国の法令・ルールの改正スピードが速い中、さすがに10年も経過していると内容が古くなっているので、間違った知識を頭に入れることになりそうで、手に出せないですね。

保税取引について詳しい方であれば、あえて以前のルールを読んで、今のルールが出来た経過等に思いをはせて、理解を深めるという読み方はあるでしょう。しかし、(私のような)基礎知識も無い方が、First Taketとして、古い税務・会計に関するルールが書かれた本を読み始める弊害は大きいので、止めておきましょう。

中国は人件費が高騰してきていて、チャイナリスクもあるので、中国で加工ビジネスをすることは今後のトレンドではない為、中国の加工ビジネスに関する書籍が新たに出版されることは無いでしょうが、個人的には、以前出版された改訂版の出版を望んています。


さて、本書で参考になった箇所を個人的な備忘の為に、以下にまとめて書き留めておきたいと思います。

[参考となった内容]
・加工手冊による輸入品の管理手順
 ①委託加工契約(輸出契約)に基づいて該当する輸入する物品を記載して税関に登録
 ②製品を輸出する都度、輸出された数量を税関で消し込んでいく
 ③輸出 が完了した時、消し込んでいき、全ての消込が終了すると手冊は完了する。

・加工品の製造において仕損が想定される場合は、予め税関に認められた仕損率に
 基づいて加工品の製造費に必要な部材・原材料の輸入数量を決める。

 手冊通りに残りが生じた場合、輸出していない部分には納税義務が発生する。

・保税手冊により輸入された部品・原材料は税関の管理下に置かれる為、
 手冊には正しい保税輸入品・保税輸出品の数量・品目を記載して、消込していく必要がある。

 手冊通りに輸出加工取引が進まない場合、税関のデータベース上でエラーが出て
 調査対象となる場合があり、上記違反が見つかった場合は、保税ビジネスが出来なくなるなどの
 デメリットが発生する場合がある。
 
・保税品を手冊に基づいて消込処理をすることなく想定外の顧客に転売したり、
 当初の用途以外に使用したりすると、手冊との不一致が生じることになるので、
 後で税関に怒られることになる。


[hitorihoumuメモ]
上記の通り、保税品は税関により厳格に管理されています。その為、保税部材を使って抜き取り加工した端材については、「廃棄物」ではありますが、あくまで保税物の為、当該端材を処分するにも、保留されていた税金を納税して税関の許可を受けた受けで処理する必要となります。

上記管理がずさんな工場の場合、「保税」と「非保税」の端材を区分して管理しておらず、両者を一緒くたして同じように買取業者等に引き渡して売却処分していたりすると、「手冊」で届け出た内容と相違が生じて問題となる場合がありますので、注意するようにしましょう。

また、「端材」といえば、全般的な管理がずさんな工場の場合、「手冊」の管理とは別の問題として、工場の社員が端材を会社の了解を得ずに買取業者に売却して、売却代金を自分の懐に入れる不正ケースがあるようです。

端材と言っても在庫と同じであり、価値のあるものですので、しっかり管理をしていかないといけませんね。




[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
商人道 (ビッグコミックス) (細野 不二彦氏 著作)※1巻~3巻(全3巻)

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[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
中国ビジネス投資Q&A(2022年改訂)(水野真澄氏 著作)

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[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
中国のもっとヤバい正体 中国のヤバい正体(孫向文氏 著作)

[本書で心に留まった内容]
不正が蔓延すると真面目にやっている会社も不正をしないと倒産しかねないことになり、
不正がさらに蔓延するという負のループ・間違った競争社会となる。

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[超個人的な備忘メモ:最近読んだ資料]
広東省における加工貿易マニュアル(2019 年 8 月、JETRO)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/kanan/pdf/201908-others.pdf
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書籍:元証券マン 日本の保育を変える!

今般は、「元証券マン 日本の保育を変える!」という本を読んでみました。
本書では、株式会社JPホールディングという会社を設立し、保育園を運営している著者が、
現在の保育の現状とあるべき姿について記しています。

本書は、単なる株式会社JPホールディングの会社案内、宣伝に留まらない、
日本の保育全般に関わる内容となっており、私は2歳の娘が保育園に通っているので、
興味深く読むことが出来、また勉強になりました。

本書の中で印象に残ったのが、保育園はもっと情報を公開すべき、という主張です。

JPホールディングでは、さすがに、保育園内にカメラを設置して保育園内の様子を
保護者に常時公開することは、検討の末に導入を止めたようですが、どんなに軽微な
問題(もう手元に書籍が無いのでどんな問題か忘れましたが・・)でも、所管の行政と
保護者各位に報告を徹底することで、お叱りを受ける機会は多いものの、
結果的に行政や保護者からの信頼を得ている、という件です。

保育園では、(私も何度か参加したことのある)親子参観等を介して、保育園の様子を
少し垣間見ることは出来ますが、日々、保育園で何が起きているのかについては、
保育士さんが日々の子供の様子を数行書いてくれる「保育園手帳」か、送迎時の
保育士さんとの会話でしか知ることが出来ません。

良い情報だけでなく、悪い情報も隠すことなく公開しようという同社の姿勢は、
どこかの電力会社にも見習って欲しいものですね。

ということで、本書を読んで同社の理念に共感したので(&結構、配当率が高く、
これから伸びていく業界に位置しているという点と、1単元購入すると、
株主優待としてお米のあきたこまちを5キロ貰えることもあり 笑)、
同社の株式をとりあえず1単元(=100株)購入してみました。

なお、本ブログでJPホールディングについて取り上げたのは、
同社の株価上昇を意図したものではありませんので。
本ブログにそこまで影響力ないですし。
投資は自己責任でお願いします。

ちなみに、私はチェックをしていませんが、同社は某巨大掲示板にて
かなり叩かれているようですので、気になる方はご確認ください。

<目次>
第1章 保育事業スタート時の思い(保育園を始めた二つの動機;
    保育事業のスタート;保育園運営の難しさ;保育に欠かせない専門知識の習得;
    保育園運営の理念;保育園運営で大切なこと;保育園のさまざまな種類)
第2章 保育の質を高める(保育士を育てるための研修;保育士は楽しく働くことが大切;
    保育士の連帯と意識改革;保育士のメンタルヘルス;園長を育てるということ;
    保育士を大切にするということ)
第3章 保育園利用者との関係づくり(保育における利用者満足;クレームへの正しい
    対応;コンプライアンスの大切さ)
第4章 保育で大切にしたいこと(究極の保育サービスをめざして;子どもの力を
    引き出す保育;食育は子どもの生活の基本;長時間保育の是非論;
    子どもたちの発達支援)
第5章 保育の将来はどうなるか(待機児童の問題解決に向けて;保育園の事業主体;
    保育園経営のセーフティーネット;保育園を選べること;
    日本の保育が変わるために)

元証券マン 日本の保育を変える!元証券マン 日本の保育を変える!
(2012/03/07)
山口洋

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書籍:2時間でわかる外国為替 - FX投資の前に読め

今回は、「2時間でわかる外国為替 - FX投資の前に読め」という本を読んでみました。

ちなみに、私はこれまで「良く分からないものには手を出さない」ことをモットーに、
主に株式への投資を進めてきまして(といっても、株式なら良く理解出来ているわけではありませんが・・)、
個人的には、FX:外国為替は「良く分からないものの最たるもの」として、これまで投資対象として
敬遠してきましたが、本書で為替の仕組みや多様な変動要因等を改めて勉強したことで、
FXは私の投資対象からより遠のくこととなりました(笑)

但し、本書に記載のFX投資の心得は株式投資にも通じるものがありまして、
例えば、ストップロス(損切り)の大切さや、目指すべきは予想的中率の向上よりはあくまで投下資本に対する
総リターン率の向上である、というようなことは、どんな投資をするにしても普遍的な考えなんだなぁ
というのが分かったのは収穫でした。

なお、少し長くなりますが、本書で個人的に心に留まった個所を備忘の為に書き留めておこうと思います。

^^^^(以下、本書抜粋)^^^^^^^

ディーラー同士で「ショートカバーでドルが上がった」と言い、新聞でも「ポジション調整の売り」
だとかするコメントをよく見かけます。
わかったようでわからないコメントです。

(中略)

こうした誰も知らないし知るすべがない状況がよく起こるので、為替は簡単ではないのです。
ただ自分で理解できない動きがあったときは、あれこれ悩まないで「ポジション調整」だとか
「ショートカバー」と思って自分を納得させ、次の相場展開に備えたほうが賢明です。
エコノミストや経済評論家のように、経済のファンダメンタルズに強引に結びつけて理解しようとするよりは、
はるかに健全で生産的です。

(中略)

とにかく為替変動の全てを論理的に理解しよう、などとは絶対に思わないでください。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

上記の抜粋事項は株式投資にも通じる考え方で、やはり自分の想定が外れて損失を抱えた場合は、
従来の予想を正当化・後押ししてくれる材料を他に探すのではなく、また、
「評価損は実現させなければ本当の損ではない」、とかよく分からない言い訳を言ってないでさっさと損切りし、
他の有望な投資対象に資金を振り分け、機会ロスを極力避ける断固たる決断力を持ちたいものです。

なお、今後私がもしFX投資をするのであれば(多分無いと思いますが・・・)、
FX投資は丁半博打位に考えて、相場の大まかなトレンドに沿った順張り投資をしていこうと思います。

<目次>
第1部 為替の基本を知る(「ドル円」だけではわからない;為替レートはなぜ動くか;
    金利との関係を知り、為替を立体的に見る)
第2部 プロの「技」を知る(リスクヘッジのさまざまな手法;なぜ為替レート予測は
    外れるのか;為替レートは操作できるか)
第3部 投資のコツを知る(成功者に学ぶ相場観;「どうしたら上手くやれるか」の
    16カ条)
付録  主な通貨の特徴

2時間でわかる外国為替 FX投資の前に読め (朝日新書)2時間でわかる外国為替 FX投資の前に読め (朝日新書)
(2008/11/13)
小口 幸伸

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書籍:ナニワ金融道 スーパー不況を乗りきるゼニの美学

先週、ふとブックオフで漫画の「ナニワ金融道(以下、ナニ金)」を手に取り、
大学の時に図書館で読んで以来で懐かしいなぁ、と何気なく1巻を買ってみたところ、
気付いたらハマッてしまい、一気に全19巻を読み上げてしまいました。
私に影響されたのか奥さんもハマッてしまい、電車で出かける時に
二人で座席に座ってナニ金を読みふけることもありました(笑)

ということで、その流れでナニ金の著者、故・青木雄二さんが書かれた
表題の文庫本『ナニワ金融道―スーパー不況を乗りきるゼニの美学』を読んでみました。
本書には、青木さんの「お金」に対する考え方が書かれており、ナニ金の根底にある
考え方を知ることが出来ました。
青木さんはガチガチの共産主義者ですので、本書の全てに共感することは出来ませんが、

「うまい話なんて絶対転がってないわ!」
「ホンマにオイシイ話があるんなら、誰でも人には決して漏らさんと自分でこっそり独占するわ。」
「ダマされないような教育をなぜしない」
「サラリーマンも、自営業者と同じように自己申告にしたらどないやろか。
 そうすれば、自分が払っている税金に対して、認識も違ってくるんやないか。」

といった主張はまさにその通りです。
特に上から二つについては、当たり前の話ではありますが、未だに悪徳商法に引っ掛かってしまう人が
後を絶えないことを考えますと、ノーリスクハイリターンは無い、眉唾ものの「ここだけの話」には
気をつけなければいけない、ということは、義務教育でも教えなければいけないと思います。

さて、ナニ金では色々な金融詐欺が登場しますが、本書ではクレジットカードのスキミングについて
注意喚起しています。

^^(以下、本書抜粋)^^^^^^^^^^^^

やたらにクレジットカードちらつかせるのはやめといたほうがええ。
海外旅行していかがわしい店に入ったら、知らんうちにカード抜き取られて不正使用され、
日本に帰ったら本人宛に目の玉飛び出るような金額の、使った覚えのない請求書が届いたりするで。

(中略)
 
抜き取られなくても、海外ではクレジットカードから目を離したら最後と思わなアカン。
専用の読み取り機を使って、二、三秒で簡単に磁気データをコピーをされてしまうで。
たとえば高級レストランで支払いするとき、席に着いたままカードをウェイターに渡すのは
一番危ない。客の目が届かないところで、悠々とコピーできるからな。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

ちなみに、私も一度、スキミングにあったことがあります。
4年位前、前職(不動産業)の先輩と二次会でフィリピンパブに行った時に、
二人とも現金の持ち合わせが無かった為、私がクレジットカードで払うことになりました。

その数日後、クレジットカード会社から電話があり、以下のようなやり取りがありました。

クレ:昨日、秋葉原の電気屋で20万円程の買い物をされましたか。
私 :いえ。昨日は仕事で会社にいました。
クレ:不正使用の疑いがあります。通常、偽造クレジットカードは、風俗店等で
   クレジットカードを使った際に、スキミングされるケースがほとんどなんですが、
   最近、その手の店にいかれましたか?
私 :(本当は行きましたが)・・・いえ、行っていません。
クレ:当社は、被害にあったお店を突き止めればこれ以上の被害者を出さずに済みますので、
   正直にお話頂きたいのですが、本当にその手の店に行ってないでしょうか。
私 :・・・行ってません。
クレ:そうですか・・。では、偽造カードによる不正使用として、当社(カード会社)が
   今回の代金は補償しますので、○○さん(私)には負担は生じませんので。

というやり取りがあり、結局、スキミングによる被害はありませんでした。
あくまで私がその手の店に行っていることが前提の会話には辟易しましたが、
何とか金銭的な負担が無くて良かったです。

なお、クレジットカードには通常、「盗難保険」という保険が付いているケースがほとんどで、
クレットカード会社により異なりますが、被害の後、60~90日の保険適用期間内に
不正使用が認められれば、補償を受けることが出来ます。
本人に重大な過失がない限り、不正使用された金額はクレジットカード会社が保証してくれるのです。

とはいえ、海外でスキミングされた場合に、上記の私のケースの様に、クレジットカード会社自らが
偽造カードの調査・確認をしてくれるとは限りません。
かといって、「今日から全くクレジットカードを使用しない!!」と決めてしまうのも生活を不便にしますので、
「使う場所を考える」、「カード会社からの請求書には必ず目を通して、不正な使用が無いか
確認する」という事を心掛けて、上手くクレジットカードと付き合っていきたいと思います。

ナニワ金融道―スーパー不況を乗りきるゼニの美学 (講談社プラスアルファ文庫)ナニワ金融道―スーパー不況を乗りきるゼニの美学 (講談社プラスアルファ文庫)
(2009/06/18)
青木 雄二

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書籍:失敗に学ぶ不動産の鉄則

本書は、個人、不動産業者そして金融機関が、不動産取引においてこれまで繰り返し
失敗してきた原因を分析し、今後、各々がどのように行動するべきかを解説されています。

その中で、ここ数年前に発生したミニバブルの形成と崩壊の経過に関する記述は、ちょうどこの頃、
不動産仲介営業マンとしてその真っ只中にいた私としては、非常に深く読むことが出来ました。

本書で個人的に心に留まった箇所はいくつかありますが、その一つを書き留めておこうと思います。

^^^^(以下、本書抜粋)^^^

大幅値引きの「新価格」はお徳か

1990年のバブルが崩壊した直後、不動産価格は予想をはるかに超える水準まで下落しました。
特に、大都市の都心部の商業地はバブルのピーク時の十分の一以下まで下落し、土地神話の
崩壊を実感させられました。
住宅の価格についても相当なレベルまで低下してしまいました。
価格下落に拍車がかかったことで、マンションデベロッパーは新築住宅の完成在庫の処分を急ぎました。

例えば、8,000万円の新築マンションを2,000万円割引し、「新価格」として6,000万円に設定しました。
その結果、多くの人が、「2,000万円も値下げして売るなら、お得だ」と意気込んで買いました。
そして数年後・・・。事情があって中古マンションとして売却をしようとすると、すぐには
売れない上に、最終的には購入価格の半値でしか売却できませんでした。
人間の心理として、「8,000万円の物件を2,000万円引きで」と言われれば、正直、一瞬、
大きく心を揺さぶられるでしょう。
しかし、よくよく考えてみれば、最初の8,000万円という値付けそのものに妥当性がなかったのです。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

先日、小、中、高校と同じ学校で、卒業後もずっと連絡を取り合ってきた友達と約1年ぶり位に
飲む機会がありました。
その彼は、最近新築マンションを買ったとのことで、ちょうど上記抜粋の例と同様に、
ここ数年の間に起きたミニバブル崩壊に伴うマンション業者の停滞在庫処分により、
当初の販売価格が約3,000万位の所を、2,500万円で出来たと嬉しそうに話してくれました。

しかし、その購入価格は果たして妥当な価格だったのでしょうか。
通常、マンション業者は、マンションの竣工から逆算してだいたい3年前にその用地を取得します。
そうしますと、友人が取得した売れ残り新築マンション(未入居、築後1年以内)の土地は、
だいたい不動産バブルの最終期である2,006年位に取得したことになります。

最近では、特に法人が抱えていた大規模な土地の売却の際には、競争入札で行うことが
主流になっておりますが、当時は、各マンション業者とも、これでは採算が合わないんじゃないか、
というとんでもない高い価格で次々と落札していきました。

マンション業界は基本的に自転車操業の業界ですので、バカ高い価格でも飯のタネになる土地を
購入するしかなく、また、外資の不動産ファンドによる需要と、金融機関の「いけいけどんどん」な
融資姿勢もあり、マンション用地は需要過剰・供給過少状態となり、価格はどんどん高騰していきました。
当然、建物部分の建築コストの削減にも限界があるわけで、必然的に新築マンションの販売価格も
高騰していきます。

上記の事を考えますと、その時は、嬉しそうな友人に水を差すようなことは言えませんでしたが
果たして良い買い物だったのか、そもそも当初の販売価格は妥当だったのか、という思いは拭えませんでした。
しかし、不動産価格の上昇&転売を前提に購入するのではなく、あくまで最後まで自分が
使用することを前提に不動産を購入するのであれば、資金繰りが厳しくない程度の住宅ローンを
組んでいるかぎり、高い価格で不動産を購入しても良いのではないか、という考え方にも一理あります。

「住宅ローンは年収の5倍が目安」という説が営業マンの常套句でもありますが、
「借りられる価格」=「借りる価格」と短絡的に考えるのではなく、年収が下がるリスクや
リストラされるリスク等を総合的に考慮し、資金繰りに余裕を持った住宅ローンの設定を
心がけたいものです。


失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)
(2009/01)
幸田 昌則

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hitorihoumu

Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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