反対株主の株式買取請求権について
当社は、今年の株主総会に他社との合併に関する議案を上程し、承認・可決されました。
なお、会社法第785条により、合併に反対する株主は規定の手順に従い、自己の株式を
「公正な価格」で買い取るよう会社に請求することが出来ます。
この「買取請求権を行使できる反対株主」の定義について、先般、社内で議論が生じましたので、
備忘録として記載しておこうと思います。
あるアドバイザーは、下記の「会社法第785条第2項第1号イ」を文字通りに捉えて、
株主総会の開催前に、書面の議決権行書に合併に反対である旨を記載をして送付した株主
(今回、何人かいました)は、会社法第785条の「当該株主総会に先立って当該吸収合併等に
反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知」したことと解釈出来るが、
改めて株主総会に「出席して」反対を表明した者はいないので、買取請求権を有する用件を
満たしている一般株主はいないと解釈出来る、とのことでした。
その為、つい最近までは上記の解釈で問題ないと当社内でも決着していました。
しかし、先般、中央三井信託銀行証券代行部 著作『株主総会のポイント〈平成21年版〉』を
ふと確認した所、「議決権行使書が行使期限までに会社に到達しており、
かつ反対の表示のある場合には、それだけで反対である旨の事前の通知と総会場での
反対の意思表示の両方の役割を果たすこととなると解される。」と記載されていました。
そこで、他のアドバイザーに確認した所、「当該株主総会において」という文言の
意味を広く解釈して、後者の通り解釈するのが妥当である、と指摘を受けました。
結局の所、当社には端株を所有する株主がいる為、会社法 第785条の
「当該株主総会において議決権を行使することができない株主」がいることから、
株式買取請求を行うことが出来る株主がいることとなり、いずれにしても全ての株主に対して
合併に関する通知をしなければなりませんでしたので、日経新聞への公告の準備をしていました。
その為、どちらの解釈をしたとしても法律上の問題が生じることはありませんでしたが、
しかし、書面で議決権行使書を提示した株主が、買取請求権の要求を提示してきたときに、
用件を満たしていないとして、安易に却下していた可能性があると考えると、
事前に気付いてよかったと思います。
良く考えれば、例えば、北海道に本店所在地がある会社の株式を、沖縄に在住の株主が
保有していて、株式買取請求権を行使したい場合、前者の解釈上は、書面で議決権行使書を
送付して、かつ、北海道まではるばる株主総会に参加しに行かなければならないのか、
と考えると、妥当ではありません。「法律とは一般常識を明文化したものである」という
大前提に立てば、もっと違和感に早く気付くべき所でした。
結局のところ、どちらの解釈が正しいのかは分かりませんが、解釈が微妙な問題については、
進んでセカンドオピニオンを求める必要があるな、とも感じさせてくれたケースでした。
会社法 第785条
1.吸収合併等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、
消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することが
できる。
一 第783条第2項に規定する場合
二 前条第3項に規定する場合
2.前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主
(第783条第4項に規定する場合における同項に規定する持分等の割当てを受ける株主を除く。)
をいう。
一 吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合
次に掲げる株主
イ 当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知し、
かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を
行使することができるものに限る。)
ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
二 前号に規定する場合以外の場合 すべての株主
※以下、第785条第3項から第7項は、便宜上記載を省略します。
なお、会社法第785条により、合併に反対する株主は規定の手順に従い、自己の株式を
「公正な価格」で買い取るよう会社に請求することが出来ます。
この「買取請求権を行使できる反対株主」の定義について、先般、社内で議論が生じましたので、
備忘録として記載しておこうと思います。
あるアドバイザーは、下記の「会社法第785条第2項第1号イ」を文字通りに捉えて、
株主総会の開催前に、書面の議決権行書に合併に反対である旨を記載をして送付した株主
(今回、何人かいました)は、会社法第785条の「当該株主総会に先立って当該吸収合併等に
反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知」したことと解釈出来るが、
改めて株主総会に「出席して」反対を表明した者はいないので、買取請求権を有する用件を
満たしている一般株主はいないと解釈出来る、とのことでした。
その為、つい最近までは上記の解釈で問題ないと当社内でも決着していました。
しかし、先般、中央三井信託銀行証券代行部 著作『株主総会のポイント〈平成21年版〉』を
ふと確認した所、「議決権行使書が行使期限までに会社に到達しており、
かつ反対の表示のある場合には、それだけで反対である旨の事前の通知と総会場での
反対の意思表示の両方の役割を果たすこととなると解される。」と記載されていました。
そこで、他のアドバイザーに確認した所、「当該株主総会において」という文言の
意味を広く解釈して、後者の通り解釈するのが妥当である、と指摘を受けました。
結局の所、当社には端株を所有する株主がいる為、会社法 第785条の
「当該株主総会において議決権を行使することができない株主」がいることから、
株式買取請求を行うことが出来る株主がいることとなり、いずれにしても全ての株主に対して
合併に関する通知をしなければなりませんでしたので、日経新聞への公告の準備をしていました。
その為、どちらの解釈をしたとしても法律上の問題が生じることはありませんでしたが、
しかし、書面で議決権行使書を提示した株主が、買取請求権の要求を提示してきたときに、
用件を満たしていないとして、安易に却下していた可能性があると考えると、
事前に気付いてよかったと思います。
良く考えれば、例えば、北海道に本店所在地がある会社の株式を、沖縄に在住の株主が
保有していて、株式買取請求権を行使したい場合、前者の解釈上は、書面で議決権行使書を
送付して、かつ、北海道まではるばる株主総会に参加しに行かなければならないのか、
と考えると、妥当ではありません。「法律とは一般常識を明文化したものである」という
大前提に立てば、もっと違和感に早く気付くべき所でした。
結局のところ、どちらの解釈が正しいのかは分かりませんが、解釈が微妙な問題については、
進んでセカンドオピニオンを求める必要があるな、とも感じさせてくれたケースでした。
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会社法 第785条
1.吸収合併等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、
消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することが
できる。
一 第783条第2項に規定する場合
二 前条第3項に規定する場合
2.前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主
(第783条第4項に規定する場合における同項に規定する持分等の割当てを受ける株主を除く。)
をいう。
一 吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合
次に掲げる株主
イ 当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知し、
かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を
行使することができるものに限る。)
ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
二 前号に規定する場合以外の場合 すべての株主
※以下、第785条第3項から第7項は、便宜上記載を省略します。
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