人材流動化時代の法務キャリア(BLJ 10月号)

遅ればせながら、今月発売の「Business Law Journal 10月号」を読んでみました。

今月のメイン特集は「人材流動化時代の法務キャリア」です。
「覆面座談会-私が転職した理由」やら「経験してみて分かった転職のノウハウ」、
「採用担当者はここを見る」等、現在、転職を考えている法務担当の方には役に立つ
内容ですので、まだ未読の方は是非一読しましょう。

なお、今回の特集は主に「法務」→「法務」へのキャリアアップ転職を前提として
取り扱っていまして、「異業種」→「法務」への転職には触れられていません。
そもそもこの雑誌が法務担当者向けだからということもありますが、
実務未経験から法務職への転職は非常に狭き門で目指す人も少ないないので、
そこに紙面を割いてもしょうがないという理由もあるかと思います。

ちなみに、私は「異業種(不動産売買仲介営業)」→「法務」に転職しまして、
大学は文学部で法学部ではないですし、法律知識は宅建の試験勉強で不動産関係法令と
民法に軽く触れただけですので、今思えば良く採用してくれたよなぁと思いますが、
(私が推測する、もしくは後日採用担当から聞いた)採用された理由を
いくつか記載してみたいと思います。

<採用された理由>
1.今の会社に採用された時は私もまだ若く、ぎりぎり第二新卒とみなされるレンジにいた為
  (自分で言うのは恥ずかしいですが・・)多分ポテンシャルを評価してくれたのでしょう。

  なお、司法書士を持っているか勉強していたかで、私以上に法的知識・経験を
  持っている方も選考者にいたようですが、年齢が40歳位と高く、部内の他社員の年齢を
  考慮すると使いづらそう、という判断もあったようです。
  俗に言う「35歳限界説」でしょうか。

2.現在の会社には法務部が無く、法務担当は管理部門の一人という立ち位置の為、
  法務だけでなく総務的な仕事にも抵抗無く従事できる人を探していた為

  面接では、「電球を変えたりする総務的な仕事もして貰うけど大丈夫?」という
  質問もありました(笑)

3.前任者が急遽、海外に出向することになり、すぐに入社出来る人を探していた為

  ちなみに私は会社に辞意を伝えて有給休暇の消化中に転職活動を開始したので、
  直にでも入社出来る状態にいました。

ということで、結論としては「ご縁」の要素が強く働いて、無事希望の法務職に
就くことが出来ましたが、以下に、反省点を記載しておこうと思います。

<反省点>
1.今回はたまたま直に転職に成功しましたが、このご時世、なかなか次の仕事が
  見つからない可能性もありますので、特に扶養家族を抱えている方は在職中に
  転職活動をするのがベストかと思います。
  
  長期の無職期間があるのを採用担当は気にしますので、失業手当をきっちり貰いながら
  ゆっくり仕事を探そうかな、という考え方は危険を伴います。

2.本誌に人材コンサル会社の活用について触れられていましたが、
  私は「事前面談・相談なんて面倒くさい」ということで、リクナビNEXTやら
  エンジャパンといったインターネット媒体のみで活動していました。
  今思えば、選択肢を増やす為にも、人材コンサル会社に限らず色々な媒体を
  活用した方が良かったなぁと思いました。

最後に、転職は上司に辞意を伝えてから転職先の雰囲気になじむまで、
かなり気力を使い疲れますが、個人的には前職に留まって不安・不満を抱えながら
仕事をしているよりも、思い切って転職して良かったと思います。
これだけ星の数ほど会社がある中で、新卒で入った会社が自分に最適である保証は何もありませんし。

ただ、転職市場が拡大して「転職」に対する周囲の目も一昔ほど厳しくなくなってきたとはいえ、
必ず成功するとは限りませんし、転職スパイラルに陥ってしまう可能性もありますので、
しっかりとした考え方・対策を持って臨みましょう(←上から目線ですみません・・)

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2010年 10月号 [雑誌]BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2010年 10月号 [雑誌]
(2010/08/21)
不明

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書籍:弁護士のための租税法 第2版

今般は、「弁護士のための租税法 第2版」という本を読んでいました。

著者が『弁護士がクライアントにとって十分といえるアドバイスを提供するためには、
ある程度の税務の知識は不可欠なのである。しかも、知識を詰め込むだけでは足りなくて、
アドバイスの前提となっている税理士としての「目線」も意識する必要がある。
すなわち税理士の目から見て、どういう状態だとクライアントにとって「有利」であり、
あるいは「不利」なのか。弁護士としても、税理士と同じ「目線」を共有するべきだ。』
と主張している通り、本書では税務の本にありがちな小難しい計算式は出てこず、
あくまで税務上の考え方を簡潔に分かりやすく解説してくれます。

弁護士に限らず、私の様な法務担当が契約書を作成する際、「契約自由の原則」から、
作成した契約書に問題があり、契約書が無効になってしまうリスクはほとんど想定されませんが、
法律的には問題の無い契約書でも、その内容や文言によっては、契約当事者に想定外の課税関係を
生じさせてしまう可能性もあるわけです。

その為、「税務は難しそうだからちょっと」という弁護士や法務担当の方も、細かい計算式、
税務手続きまでは覚えなくとも、最低限、税務の基本的な「考え方」を抑えておくことは
質の高い法務サービスを提供する上でも必要ではないでしょうか。
本書を読むことはその一助になるかと思います。

なお、話は急に変わりますが、私の住んでいる家の近くに、A商店という小さい個人経営と思われる
お店があり、電子レンジからスリッパまで色々な日用品を販売しています。
しかし、販売しているどの商品も市価に比べて非常に高く、例えば、ヤマダ電気なら2,000円位で
販売してそうな旧型電子レンジが、「目玉商品!」というPOPが貼付されてショーウィンドウに
置かれているにも関わらず、12,000円で販売しているような有様なので、一応お店を開けて
営業しているものの、客が入っているのを見た事がありません。
ちなみにこのA商店ですが、隣地にある計20台程の月極駐車場も経営しており、空きはほぼ無い状態です。

この商売っ気の無いA商店を営業している理由をいつも、A商店の前を通り過ぎる前に考えるのですが、
今の所、私の予想は以下の三つに絞られてきました。

(1)月極駐車場の収入で生活費は十分稼げているので、A商店はあくまで店主の道楽か、
   もしくはたまに訪れる客との世間話を生甲斐にして営業している。
(2)近隣の小学校の指定上履き販売所等に指定されているなど、大口の取引先のおかげで実は
   意外と儲かっている。
(3)A商店の事業で意図的に発生させた赤字分(給与や自動車購入費用)を、月極駐車場の
   不動産所得と損益通算することで節税を図っている。

まぁ、店主の真意は直接聞いてみないと永遠に知る由もありませんが・・
いずれにしても、将来生まれ変わったら、節税に頭を悩ませる程の資産を保有している家の
息子に生まれたいものです(笑)

弁護士のための租税法 [第2版]弁護士のための租税法 [第2版]
(2010/07/27)
村田 守弘加本 亘

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テーマ : ビジネス
ジャンル : ビジネス

書籍:Q&A100 取引先の倒産対応マニュアル

現在、私が所属している会社には、取引先が倒産した場合のマニュアル的なものがありません。
その為、(言葉は悪いですが)場当たり的といいますか、営業部門や管理部門の「人」が
現在有する経験知に頼っている所が多いので、対応する者によってその質に良し悪しが出ますし、
仮に対応した者が辞めてしまった場合、そこでの経験知が社内にしっかり蓄積されていきません。
その為、随時改訂していくことを前提として、取引先倒産時の対応方法を文書化・マニュアル化
したいなぁずっと思っていました。
そこで近々そのベースを作成し、関係各位にお諮りしながら肉付けして完成させようと思っていまして、
今般はそのアイデアを得るべく、「Q&A100 取引先の倒産対応マニュアル」という本を読んでみました。

本書は、計113個のQ&A形式で構成されていまして、脚注に判例や参考条文を参照しながら、
実務的な対応方法を教えてくれます。
営業担当者に周知徹底すべき内容、量としては本書一冊で十分ですので、本書を社内で購入して
各部門に配布して読み込んで貰えれば、あえてこれから苦労してマニュアルを作成する必要は
ないかもしれませんが・・(笑)、当社に特有の事情もあるかと思いますので、
本書を参考にマニュアル作成に着手したいと思います。

なお、本書で個人的に参考になった部分の一部を、少し長いですが備忘の為に以下に
書き留めておこうと思います。

^^^(以下、本書抜粋)^^^^^

5.民事保全手続の留意点
実務上、銀行との間の取引約款等においては、仮差押命令が発令されることが
当該契約の期限の利益喪失事由となっていることがあります(Q5参照)。
取引先が期限の利益を喪失した場合、例えば銀行との取引においては、担保権の実行を受け、
取立が始まる可能性があります。取引先が倒産した場合は、民事保全の執行が、
取引先の資金ショートを引き起し、ひいては、取引先倒産の引き金となる可能性もあります。
取引先が倒産した場合は、民事保全手続きは失効、または中止され、その目的を達成する
ことができなくなり、今後の事業継続からの返済も見込まれなくなる可能性もあります。
したがって、民事保全手続きの利用にあたっては、その後の取引先の倒産の可能性についても
十分検討する必要があります。

^^^^^^^^^^^^^^^^^

保全手続きは、取引先の経営状況が悪く、強制執行時に対象資産がすっからかんになるのを防ぐ為に行う、
という側面もあることを考えますと、「取引先倒産の引き金となる可能性」と「保全の目的」を
天秤に掛けて判断するのはなかなか難しいですが、「とりあえず保全しておきましょうか」というような
安易な判断をして後々自分のクビを絞めないように、十分検討して実行したいと思います。

<目次>
第Ⅰ部 債権者編
第1章 倒産に関連する法令
第2章 債権者の視点から見た倒産への対応法
第3章 債権者の税務処理
第4章 債務者経営陣への責任追及
第5章 クロスボーダー倒産手続への対処法

第Ⅱ部債務者企業編
第1章 倒産時に発生する主要な問題への対処法
第2章 債務者の税務処理

Q&A100 取引先の倒産対応マニュアルQ&A100 取引先の倒産対応マニュアル
(2010/01/13)
阿部 信一郎

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書籍:中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収Q&A100

今般は、「中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収Q&A100」という本を読んでみました。
ちなみに、本書の存在には出版当初から気付いていましたが、定価が5,040円と結構高いので
購入を先送りにしていました。
しかし、先日、出版社の第一法規社から本書の著者である韓晏元氏のセミナーと本書の紹介の
DMが送付されてきまして、これを機に、上司におねだりして図書費で購入して貰いました(笑)

さて、これまでいくつか中国の法務関係の本を読んできましたが、本書は題名の通り、
中国での債権管理・保全・回収をメインとした本で、内容も実務で使えるレベルの細かい内容にも
触れていますし、Q&A形式で頭に入りやすい構成にもなっています。
その為、中国に現地法人がある、もしくは中国企業との取引がある会社の営業担当、法務担当は、
興味のある章だけでも一読されることをオススメします。

本書には、個人的に参考になって、会社の所有物にもかかわらず思わずラインマーカーを引いてしまった
箇所が多数ありますが(笑)、その一部を、備忘の為に以下に要約して箇条書きしておこうと思います。

<参考になった内容>
1.中国企業からの債権回収を開始する前に、自社が納入した製品に瑕疵がなかったことを
  (さりげなく)書面で確認する必要あり。そうしないと、後々の裁判で、購入した製品に瑕疵が
  あったと抗弁されて、裁判の先延ばしをされる可能性がある。

2.日本企業が中国企業に与信を設定する場合は、支払日が通関日より90日を超える場合は、
  外貨規制を受けて、当該中国企業は外債登記を義務が生じる(L/C取引は除く)。
  これが無いと中国企業は海外送金出来ない。
  また、中国企業が支払い遅延をして支払日が通関日より90日を超える場合にも、
  上記と同様に外債登記が必要。

【備忘メモ】
外債登記はあくまで中国の債務者に登記設定義務があるので、ちゃんと登記手続きをしているのか、
手続書類を後日に提出させたり、信頼できる弁護士事務所等を介して管理する必要があるなと思いました。

3.中国には、「収支両条線(外貨収入と外貨支出を2つのルートでそれぞれ行うこと)」制度があり、
  外貨収入と外貨支出との相殺は原則禁止されている。その為、日本企業と中国企業との相殺は出来ない。

4.外貨規制では、海外への送金の際には何らかの名目が必要となるが、現在、売掛債権の譲渡による
  海外への送金は出来ない。その為、第三債務者が中国企業である債権を授受しても、
  当該第三債務者から送金を受けることが出来ない。但し、第三債務者が日本企業の場合は問題なし。

【備忘メモ】
債権回収の一つの手段として、債務者の売掛金の譲渡を受ける事は有効とずっと考えていましたが、
上記の通りどうやら意味がないようです・・。
裁判所を介した強制執行の場合でも同様なのか、近日中に顧問弁護士に確認してみたいと思います。

5.中国では、債権回収会社・サービサー、(債務者の資産調査等をする)探偵会社の存在は違法であり、
  これらの会社は不当な手段で債権回収、調査を行う場合も多く、アングラな世界と繋がっている
  ケースも多いので、コンプライアンス違反に加担しない為にも上記会社への依頼は避ける必要ある。

<目次>
第1章 債権回収の流れ
第2章 取引き開始前(取引相手の信用調査および与信枠設定;売買契約書作成時の留意点;
    有利な条項を盛り込むには)
第3章 取引き開始後の債権管理(債権回収の内部制度の構築;与信管理;手形管理;時効管理)
第4章 話し合いによる債権回収(所定期間内に売掛金の入金がない場合;強制執行力付き公正証書の作成;
    担保取得時および取得後の留意点;抵当契約の締結;質権設定契約の締結;保証契約の締結;
    対外担保の留意点;担保権の実行)
第5章 強制手段による債権回収(執行目当ての資産の調査;執行目当ての資産の保全;支払催促;
    訴訟提起;仲裁の申立て;強制執行の申立て)

中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収Q&A100 (★中国債権は、事前の予防・診断・発見が全てを制す!★)中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収Q&A100 (★中国債権は、事前の予防・診断・発見が全てを制す!★)
(2010/05/21)
韓 晏元奥北 秀嗣

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アマゾンのレビューに注意!!

今般は、既にご存知の方も多いと思いますが、オンライン書店のアマゾンで本を買う際に
気をつけておきたいポイントをご紹介したいと思います。

ちなみに私は、面白そうな本を新聞や雑誌の広告欄等で見つけた場合には、とりあえず
(個人的な印象では)書籍の目次が掲載されている率が高い「紀伊国屋書店BookWeb」で
目次を確認し、面白そうであれば、アマゾンのカスタマーレビューを見て、コメントの内容が
良くて評価が高そうであれば、原則オンラインで買っちゃう、という流れになっています。

しかし、このアマゾンのカスタマーレビューがなかなかの曲者なんです。
たまに、カスタマーレビューで評価が高かったから本屋で中身を確認せずにオンラインで買ってみたら、
たいして面白くも無かった、役に立たなかったという経験はないでしょうか。

これは、レビューを書いている人と自分の感覚が違うから、という単純な理由も考えられますが、
(あくまで私の個人的な推測ですが・・)このレビューを著者や編集者、出版社の方が書いている
可能性もあるわけです。
出版関係者もアマゾンのカスタマーレビューの影響力を知っているのでしょう。

そこで、この書籍関係者が書いたレビューを見分ける一つの方法をお教えします。
レビューを書いている方の名前の箇所をクリックしてプロフィール画面を開き、
その方が他にどんな本についてレビューを書いているかを確認してみてください。

ここで、そのレビューアーが、自分が購入を検討している本以外についても複数のレビューを
書いているようであれば、ある程度そのレビューアーのレビューは信頼できると考えましょう。

しかし、例えば5人のレビューアーが星5つの評価をしていて、どのコメントも
ベタ褒めしている本について、それぞれのプロフィールを確認した時に、
5人とも自分が購入を検討している本しかレビューを書いていない場合は注意が必要です。
そんなときは、本屋で内容を確認してから購入を判断しましょう。

上記の方法はあくまで目安でしかありませんが、出版関係者の思惑にまんまと
はまらないように気を付けたいものです。
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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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