ロイヤリティの支払方法について(書籍:やさしくわかる英文契約書)
最近、世に出ている「英文契約書の作り方」みたいな書籍を全部読破してみよう
(=既に読んでいて本ブログにて取り上げた書籍の再読も含む。初読時には
スルーしていた箇所が、今になって心に響くかもしれないので。)と思い立ち、
ウォーミングアップ編として、牧野 和夫氏著作「やさしくわかる英文契約書」を
図書館で借りて読んでみました。
本書では、この手の本の構成と同様、英文契約書を読む上での基礎知識(英米法と
大陸法の違いとか)から始まり、一般条項の解説、サンプル契約書を用いた解説、
という体裁になっています。
本書の難易度としては、タイトル通り、契約書に関連する海外の法律や契約英語は
詳しくないけど、英文契約書を読まなければならない法務担当者(1、2年目の方)や、
海外事業部に異動になった営業担当者の方向けかと思いました。
なお、本書で一点、気になる箇所がありましたので、書き留めておきたいと思います。
まずは、本書のロイヤリティ契約書の解説箇所で、ロイヤリティの支払い方法を
解説した箇所の一部(サンプル条文の記載は省略)を以下に抜粋したいと思います。
「この契約のロイヤリティの支払いは出来高払いですので、ライセンシーからの販売・
ロイヤリティ報告に基づいてライセンサーがロイヤリティの支払いのための請求書を
発行し、それに対してライセンシーが支払いを行います。この例では毎年1回しか
請求を行いませんが、ライセンサーとしては、金利分を損したり、回収できない
リスクもあるいので、より頻繁に、年2回(semi-annually,bu-annually)、あるいは
年4回(quarterly)で請求する場合も多くなっています。」
というように、本書では、年1回の販売高とロイヤリティ金額の報告及び支払という
例文・解説が記載されていました。
なお、僭越ながら補足させて頂きますが、厳密な発生主義会計を適用しなければならない
上場企業では、その月(もしくはその期)に発生したロイヤリティはその月(もしくは
その期)の内に会計処理する必要があります。
そこで、当方がライセンサーの場合で、年一回の支払いを受けるのであれば、毎月、
月額の販売高をライセンシーに報告させる義務を契約書に明記し、毎月、未受領の
ロイヤリティを未収入金に計上する等の対応が必要となります。
さらに、海外関係会社とのロイヤリティの授受であれば、移転価格税制上の観点から、
ロイヤリティの分配率について適正かを再考する必要がありますね。
「契約自由の原則」により、公序良俗に違反する内容、強行法規に触れる内容がなければ、
法律上有効な契約書を作成することは容易ですが、法律上はOKでも、会計上、
税務上はアウトな場合もありますので、ロイヤリティ契約書に限らず、単純な
売買契約書ではない、イレギュラーな契約書の審査を行う場合には、適宜、
関係部署に問題が生じない内容かを確認したいところです。
また、法務担当としては、詳しい会計・税務の知識が無くても(=私も含む)、
「これは何となく問題がありそうだから、関係部署に相談してみようかな」という
勘が働く程度の会計・税務の基礎知識を身に付けたいところですね。
<目次>
1 英文契約書の基礎知識(国際ビジネスにおける契約書の意味;
英文契約書の効力が及ぶ範囲;英文契約書が成立する法的要件;
英文契約書で取り決める内容)
2 契約交渉の流れとルール(契約交渉にあたる事前の準備;
契約書の起案(ドラフティング);契約交渉のポイント:交渉が難航したときの対応策;
レター・オブ・インテントの活用とリスク)
3 英文契約書の読み方(英文契約書の基本構造;法律英語の基礎知識;
契約書でよく使われる英語表現;契約書で使われる独得の英語表現;
英文契約書を読みこなすコツ)
4 重要条項の読み方(保証条項;不可抗力条項と損害賠償免責条項;
解除条項と権利放棄条項;準拠法と紛争解決条項;その他の一般条項)
5 タイプ別 英文契約書の重要ポイント(国際売買契約;国際販売代理店契約;
国際ライセンス契約(1)製造技術;国際ライセンス契約(2)ソフトウェア
国際ライセンス契約(3)特許;国際共同開発契約;
国際役務提供契約(PSAとSOW);国際企業合併売買契約
国際合弁事業契約;国際秘密保持契約)
(=既に読んでいて本ブログにて取り上げた書籍の再読も含む。初読時には
スルーしていた箇所が、今になって心に響くかもしれないので。)と思い立ち、
ウォーミングアップ編として、牧野 和夫氏著作「やさしくわかる英文契約書」を
図書館で借りて読んでみました。
本書では、この手の本の構成と同様、英文契約書を読む上での基礎知識(英米法と
大陸法の違いとか)から始まり、一般条項の解説、サンプル契約書を用いた解説、
という体裁になっています。
本書の難易度としては、タイトル通り、契約書に関連する海外の法律や契約英語は
詳しくないけど、英文契約書を読まなければならない法務担当者(1、2年目の方)や、
海外事業部に異動になった営業担当者の方向けかと思いました。
なお、本書で一点、気になる箇所がありましたので、書き留めておきたいと思います。
まずは、本書のロイヤリティ契約書の解説箇所で、ロイヤリティの支払い方法を
解説した箇所の一部(サンプル条文の記載は省略)を以下に抜粋したいと思います。
「この契約のロイヤリティの支払いは出来高払いですので、ライセンシーからの販売・
ロイヤリティ報告に基づいてライセンサーがロイヤリティの支払いのための請求書を
発行し、それに対してライセンシーが支払いを行います。この例では毎年1回しか
請求を行いませんが、ライセンサーとしては、金利分を損したり、回収できない
リスクもあるいので、より頻繁に、年2回(semi-annually,bu-annually)、あるいは
年4回(quarterly)で請求する場合も多くなっています。」
というように、本書では、年1回の販売高とロイヤリティ金額の報告及び支払という
例文・解説が記載されていました。
なお、僭越ながら補足させて頂きますが、厳密な発生主義会計を適用しなければならない
上場企業では、その月(もしくはその期)に発生したロイヤリティはその月(もしくは
その期)の内に会計処理する必要があります。
そこで、当方がライセンサーの場合で、年一回の支払いを受けるのであれば、毎月、
月額の販売高をライセンシーに報告させる義務を契約書に明記し、毎月、未受領の
ロイヤリティを未収入金に計上する等の対応が必要となります。
さらに、海外関係会社とのロイヤリティの授受であれば、移転価格税制上の観点から、
ロイヤリティの分配率について適正かを再考する必要がありますね。
「契約自由の原則」により、公序良俗に違反する内容、強行法規に触れる内容がなければ、
法律上有効な契約書を作成することは容易ですが、法律上はOKでも、会計上、
税務上はアウトな場合もありますので、ロイヤリティ契約書に限らず、単純な
売買契約書ではない、イレギュラーな契約書の審査を行う場合には、適宜、
関係部署に問題が生じない内容かを確認したいところです。
また、法務担当としては、詳しい会計・税務の知識が無くても(=私も含む)、
「これは何となく問題がありそうだから、関係部署に相談してみようかな」という
勘が働く程度の会計・税務の基礎知識を身に付けたいところですね。
<目次>
1 英文契約書の基礎知識(国際ビジネスにおける契約書の意味;
英文契約書の効力が及ぶ範囲;英文契約書が成立する法的要件;
英文契約書で取り決める内容)
2 契約交渉の流れとルール(契約交渉にあたる事前の準備;
契約書の起案(ドラフティング);契約交渉のポイント:交渉が難航したときの対応策;
レター・オブ・インテントの活用とリスク)
3 英文契約書の読み方(英文契約書の基本構造;法律英語の基礎知識;
契約書でよく使われる英語表現;契約書で使われる独得の英語表現;
英文契約書を読みこなすコツ)
4 重要条項の読み方(保証条項;不可抗力条項と損害賠償免責条項;
解除条項と権利放棄条項;準拠法と紛争解決条項;その他の一般条項)
5 タイプ別 英文契約書の重要ポイント(国際売買契約;国際販売代理店契約;
国際ライセンス契約(1)製造技術;国際ライセンス契約(2)ソフトウェア
国際ライセンス契約(3)特許;国際共同開発契約;
国際役務提供契約(PSAとSOW);国際企業合併売買契約
国際合弁事業契約;国際秘密保持契約)
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