保証義務、担保責任の免責に関する中国の強行法規に注意(ビジ法2013年10月号)
今般は、ビジネス法務2013年10月号を読んでみました。
私が個人的に参考になった箇所は2点ありまして、1点目は、「判例を活かすと契約書は良くなる!」という特集にて掲載されていた、市橋智峰弁護士が著した「知的財産 4つの裁判例から学ぶ 知的財産契約でモメない方法」という記事の以下の部分です。
下記は、中国企業との技術契約における保証義務について解説した箇所で
<以下、抜粋>
外国企業と中国企業の取引を規制する中国技術輸出入管理条例は強行法規と考えられており、そこに規定された技術保証義務(同条例25条)、第三者権利侵害補償義務(同24条3項)は特約によっても排除することができないというのが一般的な理解である。
そうすると、「供与者は一切責任を負わない」と規定したとしても、当該条項は違法無効とされ、その結果、文字どおりの効果を得られない可能性が高い。
(中略)
(ただし、)保証(補償)については、前提条件を課すことは許されると考えられている。
<抜粋終了>
と解説されています。
そこで、「保証責任は免責される」というような内容とするのではなく、「○○を前提条件として△△であることを保証する。」というような条件付の保証条項とすることを提案されています。
「中国技術輸出入管理条例」については、2012年12月1日付の「中国法人とのライセンス契約の留意点について」という記事でも取り上げましたが、中国の強行法規については注意が必要ですね。日本法でOKだから中国法でもOKだろうと安易に考えないようにしたいものです。
また、個人的に参考になった箇所の2点目は、上記特集とは異なり、「実務解説」のコーナーにて小柴仁弁護士が著した「中国契約法における『瑕疵担保責任』を意識した売買契約書」という記事に記載されていた内容です。
この記事では、2012年7月1日付で中国にて施行された最高人民法院の司法解釈「売買契約紛争事件の審理における法的適用の問題に関する解釈」を取り上げて、日本法に基づいて作成した売買契約書の雛形を単純に中国に翻訳して、中国企業との取引に安易に使用することは止めたほうが良いと指摘されています。
詳細は上記記事を参照して頂きたいのですが、注意すべきは、この司法解釈によれば、中国法では日本法と異なり、契約書で瑕疵担保免責を定めても、担保責任を完全に排除することは難しいという点です。
その為、本書では、上記リスクを避ける為に、「瑕疵担保責任は免責される」という内容とするのではなく、(合理的と思われる期間に設定した)所定期間について、隠れた瑕疵についての担保責任を定め、当該期間が経過した場合、売主は担保責任を免責される、という内容にすることを提案しています。
しかし、個人的に参考になった箇所の1点目についても同じことが言えますが、技術保証義務、第三者権利侵害補償義務や瑕疵担保責任について、完全な免責を受けたい場合はどうすれば良いのかについては、上記の2つの記事では答えが記載されておりませんでした。そもそも、完全な免責を求めることは難しいと主張されているので、当たり前かもしれませんが・・。
準拠法を中国法にして、紛争の解決方法を「仲裁」にした場合はどうか考えてみましたが、仲裁官は上記司法解釈を考慮して仲裁を実施するのか否かについて(個人的に)不明であるので、「仲裁」にしとけばおkとも一概には言えませんし、仮に、仲裁官が上記司法解釈を無視した判決をした場合、当該仲裁判決が中国人民法院にそのまま受理されて執行出来るのか、という疑問もあります。
契約書に上記司法解釈の適用排除条項を定めるという選択肢もあるかと思いますが、現実的では無いでしょう。
私が所属する会社が中国企業と締結する契約書にて、技術保証義務、第三者権利侵害補償義務もしくは瑕疵担保責任について当社は完全に免責される旨を定めるケースはおそらく無いかと思いますが、中国にて上記責任の免責を受ける為の裏技?について、個人的な課題として調査を進めてみたいと思います。
私が個人的に参考になった箇所は2点ありまして、1点目は、「判例を活かすと契約書は良くなる!」という特集にて掲載されていた、市橋智峰弁護士が著した「知的財産 4つの裁判例から学ぶ 知的財産契約でモメない方法」という記事の以下の部分です。
下記は、中国企業との技術契約における保証義務について解説した箇所で
<以下、抜粋>
外国企業と中国企業の取引を規制する中国技術輸出入管理条例は強行法規と考えられており、そこに規定された技術保証義務(同条例25条)、第三者権利侵害補償義務(同24条3項)は特約によっても排除することができないというのが一般的な理解である。
そうすると、「供与者は一切責任を負わない」と規定したとしても、当該条項は違法無効とされ、その結果、文字どおりの効果を得られない可能性が高い。
(中略)
(ただし、)保証(補償)については、前提条件を課すことは許されると考えられている。
<抜粋終了>
と解説されています。
そこで、「保証責任は免責される」というような内容とするのではなく、「○○を前提条件として△△であることを保証する。」というような条件付の保証条項とすることを提案されています。
「中国技術輸出入管理条例」については、2012年12月1日付の「中国法人とのライセンス契約の留意点について」という記事でも取り上げましたが、中国の強行法規については注意が必要ですね。日本法でOKだから中国法でもOKだろうと安易に考えないようにしたいものです。
また、個人的に参考になった箇所の2点目は、上記特集とは異なり、「実務解説」のコーナーにて小柴仁弁護士が著した「中国契約法における『瑕疵担保責任』を意識した売買契約書」という記事に記載されていた内容です。
この記事では、2012年7月1日付で中国にて施行された最高人民法院の司法解釈「売買契約紛争事件の審理における法的適用の問題に関する解釈」を取り上げて、日本法に基づいて作成した売買契約書の雛形を単純に中国に翻訳して、中国企業との取引に安易に使用することは止めたほうが良いと指摘されています。
詳細は上記記事を参照して頂きたいのですが、注意すべきは、この司法解釈によれば、中国法では日本法と異なり、契約書で瑕疵担保免責を定めても、担保責任を完全に排除することは難しいという点です。
その為、本書では、上記リスクを避ける為に、「瑕疵担保責任は免責される」という内容とするのではなく、(合理的と思われる期間に設定した)所定期間について、隠れた瑕疵についての担保責任を定め、当該期間が経過した場合、売主は担保責任を免責される、という内容にすることを提案しています。
しかし、個人的に参考になった箇所の1点目についても同じことが言えますが、技術保証義務、第三者権利侵害補償義務や瑕疵担保責任について、完全な免責を受けたい場合はどうすれば良いのかについては、上記の2つの記事では答えが記載されておりませんでした。そもそも、完全な免責を求めることは難しいと主張されているので、当たり前かもしれませんが・・。
準拠法を中国法にして、紛争の解決方法を「仲裁」にした場合はどうか考えてみましたが、仲裁官は上記司法解釈を考慮して仲裁を実施するのか否かについて(個人的に)不明であるので、「仲裁」にしとけばおkとも一概には言えませんし、仮に、仲裁官が上記司法解釈を無視した判決をした場合、当該仲裁判決が中国人民法院にそのまま受理されて執行出来るのか、という疑問もあります。
契約書に上記司法解釈の適用排除条項を定めるという選択肢もあるかと思いますが、現実的では無いでしょう。
私が所属する会社が中国企業と締結する契約書にて、技術保証義務、第三者権利侵害補償義務もしくは瑕疵担保責任について当社は完全に免責される旨を定めるケースはおそらく無いかと思いますが、中国にて上記責任の免責を受ける為の裏技?について、個人的な課題として調査を進めてみたいと思います。
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