書籍:渋谷ではたらく社長の告白 

今般は、総務・法務関連ではありませんが、サイバーエージェント社 藤田社長著作の「渋谷ではたらく社長の告白」という本を読んでみました。

本書では、Amebaの運営会社でお馴染みのサイバーエージェント社の藤田社長が、福井の実家から上京して大学に進学し、インテリジェンス社に就職後に直ぐに独立して、サーバーエージェント社を設立して東証マザーズに上場させて4年位経ったあたりまでの著者の半生が書かれています。

詳しい内容はネタバレになりますので書きませんが、「走りながら考える」というよりは、「とりあえず走ってから考える」というような著者の行動力、バイタリティには恐れ入りました。

私のような普通の人は、よーく考えた結果、大変そうだしやっぱり行動しない、というケースが多いかと思いますが、ベンチャー企業を引っ張って成功する社長には、これ位のエネルギーが必要なんでしょうね。

ただ、所々、(誠に失礼ながら)良くそんな無計画な感じで成功出来たな、という場面がちょくちょく出てきますが、その辺を切り抜けられるあたりが、人と運を引き付ける著者の人間力のなせる業なのでしょう。

なので、本書を、ベンチャー企業としての成功ノウハウ本として参考にしようとすると、痛い目を見る人もいるかと思いますのでご注意を(笑) 私のように、サイバーエージェント社の提供しているサービスに全然詳しくなくても、本書は読み物としては楽しく読めますので、機会があれば是非一読されてはいかがでしょうか。

<目次>
1章 裏切り、それでも手放せなかった夢
2章 ゼロからの起業
3章 ネットバブルの波に乗る
4章 バブル崩壊、孤独と彷徨
5章 ランナーズ・ハイ

渋谷ではたらく社長の告白 (幻冬舎文庫)渋谷ではたらく社長の告白 (幻冬舎文庫)
(2007/08)
藤田 晋

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「不利な条項・懸念事項のある契約書の開示」はじめました

最近、不利な条項・懸念事項のある契約書を、社内に開示する運用を始めました。

これまで、契約書の締結結果は、私が所属する法務部門が一元管理しており、社内には公開しておりませんでした。

その為、交渉の結果、やむなく、不利な条項・懸念事項のある契約書を締結することになった場合、上記契約書の締結について承認申請書類を提出した営業担当部門、担当役員、決裁者である社長、法務部門と法務部門を所管する管理部門の偉い方達のみが、その内容を把握している状態でした。

そこで、これまでは、不利な条項・懸念事項のある契約書を締結後、しばらくして、その取引先と、他の営業部門が取引することになった場合、契約書上の懸念点・留意点が、営業部門間にて情報共有されず、他の営業部門が懸念点・留意点を認識せずに取引を開始してしまうリスクがありました。

上記リスクへの対応として、不利な条項・懸念事項のある契約書を社内に開示することにしまして、既に取引のある取引先と、他の営業部門が取引を開始する場合には、法務部門が開示する「不利な条項・懸念事項のある契約書一覧」を必ず参照しなければならない、というルールを導入することにしました。

対象となる契約書のコピーまでを開示するのは、情報管理の面から不安があったので、契約書の当事者名、締結日、契約締結当時の担当営業部門名、不利な条項・懸念事項の概要をエクセルシート(PW付)に記載して開示することとし、詳細が知りたい場合には、法務部門に問い合わせて貰うようにしました。

また、便宜上、上記運用を開始した後に不利な条項・懸念事項のある契約書が締結された場合に、その情報を開示することにしましたが、時間を見つけて、過去分の承認申請書類を参照して、上記一覧を随時、リバイスしていきたいと思います。

以上、上記運用の開始について社内向けに配信したメールの文面を多少編集して、本日の記事を作成してみました(笑)

不利な条項を単純に削除すれば良いというものでもない(その2)

以前、表題と同じテーマの記事を書きましたが、今回、上記教訓について改めて考えさせられましたので、その内容を備忘の為にまとめておきたいと思います。

先日、外資系サプライヤーから提示された基本契約書を確認したところ、以下のような条項が定められていました。


「第○条(製造物責任の免責)
サプライヤーは、製品の欠陥に起因して発生した製造物責任問題
について責任を負担せず、買主(=私の所属会社)が自己の費用と
責任で本件問題を解決する。」


上記のような条文は到底、受け入れできないので、サプライヤーが製造物責任を負担する旨、修正した修正案を提示したところ、先方から拒否されました。

しかし、サプライヤーから、「普通、本条項は一切修正しないんだけど、今回は特別だよ。」ということで、第○条(製造物責任の免責)を削除する提案を受けました。

「当社の意向を配慮して貰い、不利な条文が削除されて良かった~(^o^)/ 万一、製造物責任問題が発生したら、製造物責任法に基づいて解決すれば良いね。」ということで、上記条項の交渉を終いにするところでしたが、改めてよーく基本契約書を見直したところ、以下のような条文が記載されていました。


「第○条(責任免責)
本契約に定めのある事項を除き、whether contractual,
tortuous or otherwise、サプライヤーは買主に対して
一切の保証責任を負担しない。」


ご承知の通り、製造物責任は不法行為(tort)責任の特則であり、上記のような責任免責条項があると、単純に第○条(製造物責任の免責)を削除しただけであれば、結局、サプライヤーは製造物責任から免責されることになります。

そこで、上記サプライヤーには、改めて製造物責任を契約書に明記するよう、修正案を提案しました。危うく、サプライヤーの術中にはまるところでしたね。

ということで、上記に限らず、「不利な条項を単純に削除すれば良いというものでもない」ということを教訓に、今後も契約審査・交渉を実施していきたいと思います。

Ceongsuさん、コメントありがとうございます!

Ceongsuさん、私の先日の記事(=「買主の責に帰すことの出来ない、売主の責に帰すべき瑕疵」って、なんじゃらほい。)に対してコメント頂きありがとうございます。非常に参考になりました。

ご指摘の通り、
(1)原材料の取引のように、「仕様書への合致」=「良品」と言える取引と、
(2)「仕様書への合致」=「良品」とは必ずしも言えない取引がありますので、
現在、想定している取引はどちらなのか、良く営業部門と相談しながら交渉を進めていきたいと思います。

また、ややこしいのが、当社のような多品種を扱う商社の場合、例えば、契約交渉時は、上記(1)の取引しか想定していないものの、将来的には、上記(2)の取引も平行して実施する可能性がある、というような場合がありますが、この場合、どうしても、契約締結時には、上記(1)だけを念頭に入れて交渉しがちになります。

また、交渉先から、「上記(2)は今の所、想定がないのだから、契約交渉上、考慮しなくても良いのでは」と強く主張されるケースもあります。

しかし、上記のような交渉先の主張を安易に受け入れた場合、後々の地雷問題を残すことになりますので、注意して交渉していきたいと思います。

今後とも指導をよろしくお願いします。

hitorihoumu

「買主の責に帰すことの出来ない、売主の責に帰すべき瑕疵」って、なんじゃらほい。

先日、私の所属している会社の雛形基本契約書に対して、サプライヤーから以下のような修正案の提示がありました。なお、これは実話であり、ブログのネタが無いから作った話ではありません。。


<修正案(=下線部が修正箇所)>
買主は、製品の引渡し後1年以内に、製品に、買主の責に帰すことの出来ない、売主の責に帰すべき瑕疵が発見した場合、売主に対して、当該瑕疵に起因して買主に発生した損害の賠償を請求することが出来る。
※当社を特定されたくないので、条文の内容を簡略化しています


どんだけ人に証明責任を転嫁させようとするかと。
「売主の責に帰すべき瑕疵」だけであればまだ気持ちは分かりますが、「買主の責に帰すことの出来ない瑕疵」ってあんた。
「予め合意していた含有禁止物質が含有していた」=「瑕疵」というパターンであれば当社にも証明出来ますが、「物理的な損傷」=「瑕疵」というパターンであれば、「当社の責に帰すことの出来ない瑕疵」だったことを証明するのなんて無理なんですけど。「無いことの証明」なんていう悪魔の証明責任を人に転嫁するような修正案の提示は止めて欲しいものですね。

ということで、「上記文言は追記は出来ないですけど、『当該瑕疵が買主の責に帰すべき瑕疵の場合には売主は免責される』という文言を原文の末尾に追記するというのはどうか」という、原文と対して変わらない代替案を提示しておきましたが、どうなることやら。

話は変わりますが、STAP細胞を発見したという小保方さんは、今の心境としては、「STAP細胞が無いことは証明出来ないのだから、STAP細胞の存在は否定出来ないのに。うぅ。」という感じかもしれませんが(違うかもしれませんが・・)、科学者であれば、しっかりとした検証結果を提示してSTAP細胞の存在を科学的に証明して欲しいものですね。

P.S.
外資系サプライヤーから提示される基本契約書に、「サプライヤーは、納入する製品が仕様書に合致することを保証する。本保証がサプライヤーの唯一の保証である。」と記載されていることが良くあります。

これは、「製品には物理的な損傷はありません。」ということが仕様書に記載されていなければ(普通、記載されていないですが・・)、納入製品に物理的な損傷があったとしても、買主は上記契約書に基づいて補償を請求出来ない、ということなのでしょうか。

その辺が良く分からないので、「物理的な瑕疵が無い事」も保証の範囲に加えるよう、修正案を提示することがありますが、上記修正案を提示することが妥当なのかどうか、正直分かりません。。

上記については個人的な課題として調査を進めておきたいと思います。
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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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