「開発危険の抗弁」における「科学・技術水準」の定義とは?
今回も特にネタが無いのですが小ネタを。
ご承知の通り、製造物責任法上、製造者には「開発危険の抗弁」というものが認められています。
取引基本契約書に関する交渉では、「開発危険の抗弁」を意識した修正案を提示してくる取引先もいます。私が法務担当の駆け出しの頃、当社の販売先から、当社雛形基本契約書に定められている製造物責任条項の「開発危険の抗弁」について記載した箇所に対して、以下のような修正案を提示されたことがありました。
<販売先から提示された修正箇所は下記の赤線部>
※以下、乙(=当社)が製造物責任条項上の責任を免責されるケース
乙が目的物を製造した時点における世界最高の科学・技術水準では、目的物の欠陥を発見することが出来なかったことを乙が証明した場合
その当時、製造物責任法について詳しく理解出来ていなかった私は、「なんて子供じみた修正案なんだろう。」と思ったものです。。。
しかし、「開発危険の抗弁」でいうところの「科学・技術の水準」とは、「その業界の平均的な水準」ではなく、製造物が流通に置かれた時点での「世界最高の科学・技術の水準」を意味していることを考えますと、上記修正案は、単に、製造物責任法の考え方と同じ内容に修正するものであり、決して不当な要求ではなかったわけです。
ということで、製造者としては、PL事故が発生した場合、一応、「開発危険の抗弁」を主張する予知はあるものの、製造者は、理研クラスの世界最高水準の科学・技術をしても欠陥が発見出来なかったことを証明する必要がありますので、実質、この抗弁が認められるケースは非常に少ないのでしょうね。
当社がサプライヤーから提示されるサプライヤーの雛形基本契約書に、上記のような条文(=「世界最高の」というような文言が無いパターン)が記載されているケースはあります。
上記条文を設けていた場合で、万一、PL事故が発生して、「科学・技術水準」の定義についてサプライヤーとの間で解釈の相違が生じた場合、「世界最高の科学・技術水準」と裁判所や仲裁廷も判断するかと思い、今のところ、「世界最高の」という文言を追加してくれというような要望をサプライヤーに提示したことはありませんが、私の認識が甘いのでしょうか・・。
ご承知の通り、製造物責任法上、製造者には「開発危険の抗弁」というものが認められています。
取引基本契約書に関する交渉では、「開発危険の抗弁」を意識した修正案を提示してくる取引先もいます。私が法務担当の駆け出しの頃、当社の販売先から、当社雛形基本契約書に定められている製造物責任条項の「開発危険の抗弁」について記載した箇所に対して、以下のような修正案を提示されたことがありました。
<販売先から提示された修正箇所は下記の赤線部>
※以下、乙(=当社)が製造物責任条項上の責任を免責されるケース
乙が目的物を製造した時点における世界最高の科学・技術水準では、目的物の欠陥を発見することが出来なかったことを乙が証明した場合
その当時、製造物責任法について詳しく理解出来ていなかった私は、「なんて子供じみた修正案なんだろう。」と思ったものです。。。
しかし、「開発危険の抗弁」でいうところの「科学・技術の水準」とは、「その業界の平均的な水準」ではなく、製造物が流通に置かれた時点での「世界最高の科学・技術の水準」を意味していることを考えますと、上記修正案は、単に、製造物責任法の考え方と同じ内容に修正するものであり、決して不当な要求ではなかったわけです。
ということで、製造者としては、PL事故が発生した場合、一応、「開発危険の抗弁」を主張する予知はあるものの、製造者は、理研クラスの世界最高水準の科学・技術をしても欠陥が発見出来なかったことを証明する必要がありますので、実質、この抗弁が認められるケースは非常に少ないのでしょうね。
当社がサプライヤーから提示されるサプライヤーの雛形基本契約書に、上記のような条文(=「世界最高の」というような文言が無いパターン)が記載されているケースはあります。
上記条文を設けていた場合で、万一、PL事故が発生して、「科学・技術水準」の定義についてサプライヤーとの間で解釈の相違が生じた場合、「世界最高の科学・技術水準」と裁判所や仲裁廷も判断するかと思い、今のところ、「世界最高の」という文言を追加してくれというような要望をサプライヤーに提示したことはありませんが、私の認識が甘いのでしょうか・・。
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