表明保証保険、passive salesとは?(BLJ 2015年5月号)
遅ればせながら、ビジネスロー・ジャーナル2015年5月号を読み終わりまして、個人的に心に留まった個所が2か所をありましたので、以下に書き留めておきたいと思います。
(1)1か所目
2015年5月号では、「英文契約スキルのブラッシュアップ」という特集が組まれていまして、その中に、山田広毅弁護士と村田晴香弁護士が書かれた「海外企業買収時の売主側提案ドラフトへの返し方」という記事がありましたが、この記事で「表明保証保険」なるものがあることを知りました。
「リスクのあるところ、なんでも保険商品になりうる」と、どこかで聞いたことがあるような無いような気がしますが、上記のような保険商品があったんですね。
保険会社が、どのように表明保証違反リスクを定量化して保険料を算出するのか気になるところですが、今後、M&A関係で対応にあたる場合には、上記保険のことを頭の片隅に入れておきたいと思います。
(2)2ヶ所目
上記と同じく、「英文契約スキルのブラッシュアップ」という特集の中で、児玉実史弁護士が書かれた「販売店契約における現地企業からの対案への返し方」という記事にて、欧州経済領域(EEA)内における販売店のテリトリーに関する規制が取り上げられていました。
参考となった個所を以下に抜粋させて頂きたいと思います。
<以下、抜粋>
Ⅲ 独占販売テリトリーの遵守
独占販売テリトリーについて、日本企業は、「販売店はテリトリー外に直接または間接的に販売してはならないし、日本企業は、テリトリー内で直接または間接的に販売してはならない」との提案を行った。
これに対し、欧州経済領域(EEA)域内の一部の国をテリトリーとする予定の販売店から、このような規制はEU法に違反するとの指摘があった。日本企業が調べてみると、EEAにおいては、EEA領域に独占テリトリーを設ける場合に、販売店が独占テリトリー外に能動的に売り込みをかけること(active sales)は禁じてもよいが、EEA領域内かつ独占テリトリー外からの顧客の要請に応じて販売を行う受動的販売(passive sales)までも販売店に対して禁じることは違法であるということが判明した。そこで日本企業としては、かかる法令に対応するよう、以下のように条項を整備することにした(条項例9)
<抜粋終了>
ということで、「条項例9」では、以下の通り記載されていました。
<以下、「条項例9」抜粋>
The Distributor shall not, directly or indirectly, sell or distribute the Product outside the Territory; provided, however, the Distributor may make passive sales inside European Economic Area (EEA). In making passive sales inside EEA, the Distributor shall, upon request from JM, provide JM with evidence to show that sales in question are passive.
JM shall not, directly or indirectly, sell or distribute the Product in the Territory; provided, however, JM shall not be prohibited from making passive sales inside EEA.
<抜粋終了>
ちなみに、上記の抜粋文章(Ⅲ 独占販売テリトリーの遵守~)の後には、上記「条項例9」で工夫している点やポイントが書かれており、この点は記載を省略致しますが、気になったのは、欧州経済領域以外に所在する海外取引先との契約交渉間でも、「passive sales」「active sales」という文言がそのまま使用可能かというところです。
私の所属会社は商社なので、当社が、他の商社のテリトリーを設定した上で、当該商社と販売代理店契約を締結することは無いので(当社の顧客の要請で、特定の商社に製品を販売するように言われ、商社に製品を販売することはあります)、上記条文を当社がそのまま使うケースはありませんが、上記ケースとは全く異なりますが、当社が、当社の販売権を確保する為、サプライヤーと以下のような条文を定めて契約をする場合があります。
「サプライヤーは、日本法人の顧客(海外に所在する当該日本法人の関係会社、OEM、ODM、EMS先を含む)に製品を販売する場合には、かならず、当社を介して取引しなければならない。」
このような提案をした際に、「(商社が取引に介在することを良しとしない)日本法人の顧客から、サプライヤーに対して、商社である当社(=私の所属会社)を介さずに直接、商品を販売して欲しいと打診を受けた場合は例外にして欲しい。例外にしてくれないと、商売の機会を逸してしまうので。」と要望を受けるケースがあります。
この場合に、上記抜粋条項を参考にして、「passive salesの場合は例外とする」と、単純に、「passive sales」という文言を使用した場合、後々、「passive sales」とは何たるかについて解釈の相違が生じる可能性があるかと思います。
そこで、特に、EEA外の海外取引先と上記のような概念を踏まえた契約書を作成する場合には、「passive sales」、「active sales」という便利な文言を使うにしても、その定義をしっかり定めて締結するように対応したいと思います。
(1)1か所目
2015年5月号では、「英文契約スキルのブラッシュアップ」という特集が組まれていまして、その中に、山田広毅弁護士と村田晴香弁護士が書かれた「海外企業買収時の売主側提案ドラフトへの返し方」という記事がありましたが、この記事で「表明保証保険」なるものがあることを知りました。
「リスクのあるところ、なんでも保険商品になりうる」と、どこかで聞いたことがあるような無いような気がしますが、上記のような保険商品があったんですね。
保険会社が、どのように表明保証違反リスクを定量化して保険料を算出するのか気になるところですが、今後、M&A関係で対応にあたる場合には、上記保険のことを頭の片隅に入れておきたいと思います。
(2)2ヶ所目
上記と同じく、「英文契約スキルのブラッシュアップ」という特集の中で、児玉実史弁護士が書かれた「販売店契約における現地企業からの対案への返し方」という記事にて、欧州経済領域(EEA)内における販売店のテリトリーに関する規制が取り上げられていました。
参考となった個所を以下に抜粋させて頂きたいと思います。
<以下、抜粋>
Ⅲ 独占販売テリトリーの遵守
独占販売テリトリーについて、日本企業は、「販売店はテリトリー外に直接または間接的に販売してはならないし、日本企業は、テリトリー内で直接または間接的に販売してはならない」との提案を行った。
これに対し、欧州経済領域(EEA)域内の一部の国をテリトリーとする予定の販売店から、このような規制はEU法に違反するとの指摘があった。日本企業が調べてみると、EEAにおいては、EEA領域に独占テリトリーを設ける場合に、販売店が独占テリトリー外に能動的に売り込みをかけること(active sales)は禁じてもよいが、EEA領域内かつ独占テリトリー外からの顧客の要請に応じて販売を行う受動的販売(passive sales)までも販売店に対して禁じることは違法であるということが判明した。そこで日本企業としては、かかる法令に対応するよう、以下のように条項を整備することにした(条項例9)
<抜粋終了>
ということで、「条項例9」では、以下の通り記載されていました。
<以下、「条項例9」抜粋>
The Distributor shall not, directly or indirectly, sell or distribute the Product outside the Territory; provided, however, the Distributor may make passive sales inside European Economic Area (EEA). In making passive sales inside EEA, the Distributor shall, upon request from JM, provide JM with evidence to show that sales in question are passive.
JM shall not, directly or indirectly, sell or distribute the Product in the Territory; provided, however, JM shall not be prohibited from making passive sales inside EEA.
<抜粋終了>
ちなみに、上記の抜粋文章(Ⅲ 独占販売テリトリーの遵守~)の後には、上記「条項例9」で工夫している点やポイントが書かれており、この点は記載を省略致しますが、気になったのは、欧州経済領域以外に所在する海外取引先との契約交渉間でも、「passive sales」「active sales」という文言がそのまま使用可能かというところです。
私の所属会社は商社なので、当社が、他の商社のテリトリーを設定した上で、当該商社と販売代理店契約を締結することは無いので(当社の顧客の要請で、特定の商社に製品を販売するように言われ、商社に製品を販売することはあります)、上記条文を当社がそのまま使うケースはありませんが、上記ケースとは全く異なりますが、当社が、当社の販売権を確保する為、サプライヤーと以下のような条文を定めて契約をする場合があります。
「サプライヤーは、日本法人の顧客(海外に所在する当該日本法人の関係会社、OEM、ODM、EMS先を含む)に製品を販売する場合には、かならず、当社を介して取引しなければならない。」
このような提案をした際に、「(商社が取引に介在することを良しとしない)日本法人の顧客から、サプライヤーに対して、商社である当社(=私の所属会社)を介さずに直接、商品を販売して欲しいと打診を受けた場合は例外にして欲しい。例外にしてくれないと、商売の機会を逸してしまうので。」と要望を受けるケースがあります。
この場合に、上記抜粋条項を参考にして、「passive salesの場合は例外とする」と、単純に、「passive sales」という文言を使用した場合、後々、「passive sales」とは何たるかについて解釈の相違が生じる可能性があるかと思います。
そこで、特に、EEA外の海外取引先と上記のような概念を踏まえた契約書を作成する場合には、「passive sales」、「active sales」という便利な文言を使うにしても、その定義をしっかり定めて締結するように対応したいと思います。
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