「経営陣から独立した通報窓口」とは何なのか(CGコード対応)
遅ればせながら、先日、Business Law Journal 2016年4月号を読み終わりました。
2016年4月号では、田辺総合法律事務所 松林先生の「内部通報制度の現状」という特集が掲載されておりました。
早速ですが、個人的に心に留まった箇所を以下に抜粋させて頂きます。
<以下、本誌抜粋>
前述のコーポレートガバナンス・コード 補充原則2-5が例示する社外取締役と監査役による合議体や、個別の社外取締役や監査役会を窓口とするかどうかは議論が分かれる。
外部の法律事務所等も通常は補充原則2-5にいう「経営陣から独立した窓口」に該当するとされている 注2)ので、社外取締役等を窓口としなくてもこの項目を満たすことは可能であり、コーポレートガバナンス・コード対応という文脈ではなく、純粋に各社における内部通報の実効性確保の観点から選択することになる。
注2)油布志行・渡邉浩司・谷口達哉ほか「コーポレートガバナンス・
コード原案」の解説(2)商事法務 2063号51項
<抜粋終了>
なお、上記抜粋箇所の「注2)」で参照されている商事法務の該当箇所も、以下の抜粋させて頂きます。
<以下、商事法務 2063号51項 抜粋>
実務上は、外部の法律事務所等を通報窓口とする例もみられるが、そのような対応も、通常は、「経営陣から独立した窓口」に該当すると考えて良いだろう。
<抜粋終了>
なお、商事法務の上記記事は、約1年前の2015年3月25日号に掲載されていたものですので、2015年6月1日付でコーポレートガバナンス・コードの適用が開始し、その後の運用が進み、解釈が変わってきている可能性もあります。
しかし、商事法務の上記記事は、金融庁と東京証券取引所を共同事務局とする有識者会議が取りまとめて2015年3月5日に公表された「コーポレートガバナンス・コード原案」について、
・油布志行氏(金融庁総務企画局企業開示課長)
・渡邉浩司氏(東京証券取引所上場部企画グループ課長)
・谷口達哉氏(金融庁総務企画局企業開示課専門官)
・善家啓文氏(金融庁総務企画局企業開示課専門官)
という、コーポレートガバナンス・コード原案の作成サイドの方達による解説ですので、ままだまだ依拠出来る内容なのかと思います。
個人的な関心事としては、内部通報制度について定めたコーポレートガバナンス・コード 補充原則2-5をコンプライすることを考えた場合、「経営陣から独立した窓口」とは何なのか、ということです。
以前、
「コーポレートガバナンス・コード」への対応について(当社の状況)
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-493.html
という記事を書きましたが、上記記事にも記載の通り、私の所属会社がコード対応の為にコンサルを依頼した会社と提携している某法律事務所(四大法律事務所の内の一つ)に確認したところ、
<以下、上記ブログ記事抜粋>
仮に、外形的に見て、通報窓口を外部の弁護士(顧問弁護士等)に設置していた場合でも、当該通報窓口から通報内容を受ける自社側の窓口が、経営陣から独立した者ではなく、例えばコーポレート部門となっている場合、「経営陣から独立した窓口」を設置しているとはいえないようです。
当然のことながら、どこかの段階で、会社は通報内容を把握する必要がありますが、その第一窓口として、経営陣から独立した窓口(外部の弁護士や、通報窓口サービスを提供している会社等の全くの外部機関ではなく、社外取締役や監査役等、会社に対して通報内容を報告する義務はあるものの、仮に会社が通報内容を握りつぶしたとしても、通報内容について自分でも取締役会等で問題提起出来る者)を設置する必要があるようです。
<抜粋終了>
という考え方もあり、「経営陣から独立した窓口」とは何なのか、未だに解を見出せずにいます。
仮に、コーポレートガバナンス・コード 補充原則2-5に忠実に従うべく、当該コードに例示されている、社外取締役と監査役による合議体や、個別の社外取締役や監査役会を窓口とするにしても、例えば、不正会計というような大きな問題に関する内部通報を受けるだけでなく、時には、細々としたグチ・やっかみレベルの通報を受けることも想定され、その場合、上記合議体や役員がさばききれるのか、通報窓口として適任なのか、という実務上の問題もあります。
コーポレートガバナンス・コード 補充原則2-5の例示通りではなくても、会社が「経営陣から独立した窓口」を設置したと株主に自信を持って(株主総会等で)説明しきれる制度を作れば、コンプライ出来るわけですし、まさに各社の事情に応じて、制度を構築すべきテーマなのでしょうね。
なお、私の所属会社では、他にもコンプライできてないコードもあり、上記コードをコンプライすればオールコンプライ出来るわけでもないので、社内でじっくり議論して、あるべき姿を模索していきたいと思います。
2016年4月号では、田辺総合法律事務所 松林先生の「内部通報制度の現状」という特集が掲載されておりました。
早速ですが、個人的に心に留まった箇所を以下に抜粋させて頂きます。
<以下、本誌抜粋>
前述のコーポレートガバナンス・コード 補充原則2-5が例示する社外取締役と監査役による合議体や、個別の社外取締役や監査役会を窓口とするかどうかは議論が分かれる。
外部の法律事務所等も通常は補充原則2-5にいう「経営陣から独立した窓口」に該当するとされている 注2)ので、社外取締役等を窓口としなくてもこの項目を満たすことは可能であり、コーポレートガバナンス・コード対応という文脈ではなく、純粋に各社における内部通報の実効性確保の観点から選択することになる。
注2)油布志行・渡邉浩司・谷口達哉ほか「コーポレートガバナンス・
コード原案」の解説(2)商事法務 2063号51項
<抜粋終了>
なお、上記抜粋箇所の「注2)」で参照されている商事法務の該当箇所も、以下の抜粋させて頂きます。
<以下、商事法務 2063号51項 抜粋>
実務上は、外部の法律事務所等を通報窓口とする例もみられるが、そのような対応も、通常は、「経営陣から独立した窓口」に該当すると考えて良いだろう。
<抜粋終了>
なお、商事法務の上記記事は、約1年前の2015年3月25日号に掲載されていたものですので、2015年6月1日付でコーポレートガバナンス・コードの適用が開始し、その後の運用が進み、解釈が変わってきている可能性もあります。
しかし、商事法務の上記記事は、金融庁と東京証券取引所を共同事務局とする有識者会議が取りまとめて2015年3月5日に公表された「コーポレートガバナンス・コード原案」について、
・油布志行氏(金融庁総務企画局企業開示課長)
・渡邉浩司氏(東京証券取引所上場部企画グループ課長)
・谷口達哉氏(金融庁総務企画局企業開示課専門官)
・善家啓文氏(金融庁総務企画局企業開示課専門官)
という、コーポレートガバナンス・コード原案の作成サイドの方達による解説ですので、ままだまだ依拠出来る内容なのかと思います。
個人的な関心事としては、内部通報制度について定めたコーポレートガバナンス・コード 補充原則2-5をコンプライすることを考えた場合、「経営陣から独立した窓口」とは何なのか、ということです。
以前、
「コーポレートガバナンス・コード」への対応について(当社の状況)
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-493.html
という記事を書きましたが、上記記事にも記載の通り、私の所属会社がコード対応の為にコンサルを依頼した会社と提携している某法律事務所(四大法律事務所の内の一つ)に確認したところ、
<以下、上記ブログ記事抜粋>
仮に、外形的に見て、通報窓口を外部の弁護士(顧問弁護士等)に設置していた場合でも、当該通報窓口から通報内容を受ける自社側の窓口が、経営陣から独立した者ではなく、例えばコーポレート部門となっている場合、「経営陣から独立した窓口」を設置しているとはいえないようです。
当然のことながら、どこかの段階で、会社は通報内容を把握する必要がありますが、その第一窓口として、経営陣から独立した窓口(外部の弁護士や、通報窓口サービスを提供している会社等の全くの外部機関ではなく、社外取締役や監査役等、会社に対して通報内容を報告する義務はあるものの、仮に会社が通報内容を握りつぶしたとしても、通報内容について自分でも取締役会等で問題提起出来る者)を設置する必要があるようです。
<抜粋終了>
という考え方もあり、「経営陣から独立した窓口」とは何なのか、未だに解を見出せずにいます。
仮に、コーポレートガバナンス・コード 補充原則2-5に忠実に従うべく、当該コードに例示されている、社外取締役と監査役による合議体や、個別の社外取締役や監査役会を窓口とするにしても、例えば、不正会計というような大きな問題に関する内部通報を受けるだけでなく、時には、細々としたグチ・やっかみレベルの通報を受けることも想定され、その場合、上記合議体や役員がさばききれるのか、通報窓口として適任なのか、という実務上の問題もあります。
コーポレートガバナンス・コード 補充原則2-5の例示通りではなくても、会社が「経営陣から独立した窓口」を設置したと株主に自信を持って(株主総会等で)説明しきれる制度を作れば、コンプライ出来るわけですし、まさに各社の事情に応じて、制度を構築すべきテーマなのでしょうね。
なお、私の所属会社では、他にもコンプライできてないコードもあり、上記コードをコンプライすればオールコンプライ出来るわけでもないので、社内でじっくり議論して、あるべき姿を模索していきたいと思います。
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