電子情報開示制度(e ディスカバリ)対応を見据えたメールの保存期間について(BLJ 2016年12月号)

遅ればせながら、ビジネスロー・ジャーナル2016年12月号をようやく読み終わりました。

本号では、「改正個人情報保護法 前面施行への準備」と題した特集が組まれておりましたが、私の所属している会社の事業・業界の特性上、上記特集記事の内容は全くの無関係というわけでもなく、勉強になりましたが、個人的には、eディスカバリ、フォレンジック等に関するサービスを提供しているクロール・オントラック社の松本氏がファシリテーターとなった、「企業が抱える文書管理における本当の課題とは? 企業担当者×コンサルタントが現場の実情を語る(座談会:前編)」という記事広告が心に留まりましたので、その内容を書き留めておきたいと思います。

本座談会でのいくつかのテーマの内、「各企業の課題の共通点と相違点」というテーマについて、「グローバルに医薬品関連事業を展開する日本企業の法務部に勤務」しているというAさんの問題意識を持った発言部分を抜粋させて頂きます。


当社の一番の課題は、eメールの保存期間の設定です。業務の効率性という観点からは過去のメールを迅速かつ簡単に閲覧できなければいけませんが、かといって保存期間が長くなりすぎると廃棄に関する判断がしにくくなるとも感じています。
また、日本の本社だけでなく、世界中の子会社での文書管理も大きな課題です。米国のeディスカバリやEUの一般データ保護規則(GDPR)などへの対応や、サーバを設置する国・地域の問題など、今後さらに複雑になっていくと懸念しています。


Aさんのように医薬品関連事業を展開する会社でなくても、上記と同じような問題を抱えている会社は多いかと思います。

ちなみに、当社では、現在、全役職員(海外子会社のナショナルスタッフを含む)のメールを、某期間しか保存出来ていない中(守秘義務の観点から明確な期間は言えませんが。守秘義務の対象なのかは知りませんが)、近々、色々な意図もあり、半永久的にメールのログを残すべく、新たなシステムを入れることを検討しております。

ただ、eディスカバリ対応を考えますと、米国での訴訟が発生して、eメール(添付ファイルを含む)を開示しなければならない事態となった場合、メールが半永久的に保存されていますと、eディスカバリで指定された事項に関するメールだけを抽出して開示するにしても、残存しているメールが膨大な状況の中、開示の要否を判断するだけでも相当な労力が発生するのではないかと、個人的に懸念しております。

また、当社の役職員が、当該訴訟関連で当社に「不利な」メールがやり取りしている場合もあると考えますと、メールの保存期間が短ければ短い程、上記のようなメールを開示しなくても良いので、メールの保存期間は短い方が良い、という考え方もあるかもしれません。

一方、これも諸刃の刃で、当該訴訟関連で当社に「有利な」メールを過去、やり取りしていた場合でも、メールの保存期間を短く設定していた場合、有利な証拠メールが自動削除されてしまい、証拠として提出出来無いことになりますので、メールの保存期間をどうするのか、というのは難しい問題ですね。

なお、電子情報開示制度(e ディスカバリ)上、合理的基準に基づいて設定した保存期間が終了したことにより、メール等を廃棄・消去していた場合には、制裁の対象外となるようですが、メールの合理的な保管期間の基準とは何なのか、気になるところですね。

上述も考慮しつつ、メールの保存期間を決定していきたいと思います。なお、たとえ、半永久的にメールを保存していたとしても、クロールオントラック社の有するデータ解析・検索ソフトを持ってすれば、上記のような膨大なメール問題に悩ませられることもないのかと思いますので、クロールオントラック社に相談してみるのも一つの手ですね(笑)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・アメリカの法廷で闘うとしたら―日本とどれほど違うか(國生 一彦氏著作)

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・ハンドブック アメリカ・ビジネス法 U.S.BUSINESS LAW HANDBOOK
 (吉川 達夫氏、飯田 浩司氏著作)
 ※上記書籍で気付かされた点について、近日中に記事を書こうと思います。

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・入門商・民訴・刑訴判例まんが本(立花 千尋氏、岡坂 浩樹氏著作)

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・法律入門 判例まんが本〈1〉憲法・民法・刑法(同上)

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・資本論 (まんがで読破) 文庫

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・続・資本論 (まんがで読破) 文庫

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・きみは知らないほうがいい(岩瀬 成子氏著作)

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(某勉強会の場での)「英文契約書レビューに役立つ アメリカ契約実務の基礎」(レクシスネクシス・ジャパン社)の出版記念無料セミナー・懇親会開催に関する告知!

早速ですが、私が度々参加している、都内某所の某法務勉強会の場にて、今般、「英文契約書レビューに役立つ アメリカ契約実務の基礎」(レクシスネクシス・ジャパン株式会社)を出版された、アンダーソン毛利友常法律事務所の石原坦弁護士、島田充生弁護士のご厚意により、下記の通り、12月2日(金)19:00~20:00に「出版記念無料セミナー」を開催して頂くことになりました。

(アンダーソン毛利友常法律事務所セミナー事務局からの案内メールを受領して既にご存知の方も多いかと思いますが)11月28日、12月1日には、アンダーソン毛利友常法律事務所自身が、上記書籍に関するセミナー(定員各180名)を同事務所内で開催されるようです。

しかし、上記勉強会でのセミナーでは、参加者が計40名と少人数の為、質疑応答がし易く・インタラクティブ・先生方との懇親会付きということで、より深く学ぶことが出来るかと思います。

もし、アンダーソン毛利友常法律事務所が開催する上記セミナーに出席されるという方も、復習&発展学習の機会としてご参加されてはいかがでしょうか。

つきましては、上記セミナーに参加をご希望の方がいましたら、本ブログのメールフォームにて、ご参加される方の氏名・所属先(社名等)・連絡先(メールアドレス)をご連絡下さい。上記勉強会の主催者に代理で申し込みをさせて頂きます。お申し込みを受領後、私から受領確認のメールをさせて頂き、その後、参加の可否が確定した段階で、改めて結果を回答致します。参加希望者の方から受領した個人情報は、上記申し込み対応に限り、使用させて頂きます。

上記法務勉強会の存在や、本セミナー開催の件は、あえて大々的な告知をしていないこともあり、上記方法での申し込みとなる件、ご理解をお願い致します。今のところ、従来、上記勉強会に参加されている方々と、本ブログにのみ、上記セミナーの件を告知させて頂いています。

なお、先着順であることと、会場の都合上、定員が50名と制限がありますので、折角お申し込み頂いても、ご参加出来無い場合がございます。予めご了承下さい。

ちなみに、当初、私は上記勉強会(セミナー)への参加を予定していて、非常に楽しみにしていたのですが、急遽、上記セミナー日程にて出張が入ってしまい、告知をしておきながら大変恐縮ですが、私はセミナーには参加出来なくなりました。。

といっても、本告知は、決して、アンダーソン毛利友常法律事務所決の名前を語って、参加希望者の個人情報を収集しようとすることを意図した記事ではありませんので、ご安心下さい。

「自分で自分を怪しい者ではない、というヤツが一番怪しい」という説もありますが、私は決して怪しい者ではありませんので(笑)


日  時:2016年12月2日(金)19:00~20:00(開場18:30)
会  場:東京都港区新橋にある某社の会議室
     ※参加が確定された方のみ、詳細な場所・連絡先等をお伝えします。
懇親会:上記勉強会後、20:30~22:30まで、場所を移して、
      講師の方を交えて懇親会を行います。
      懇親会場の定員(40名)の都合上、懇親会・交流会への欠席の有無も
      申し込み時に合わせて教えて下さい。
      セミナーのみ参加されることでも結構です。
定  員:50名
参加費:セミナーは無料ですが、その後の懇親会に参加される方は、
      その場で参加費(4,000円。飲食代)を主催者にお支払下さい。
書籍配布:当日、書籍の無料配布はありません。
       なお、事前に書籍を読み込んでセミナーに参加することで、もし、
       疑問点等があれば、当日、著者に直接、質問することが出来ますし、
       本書籍の内容の吸収率をUPさせることが出来るかと思いますので、
       本書籍をご自身で事前に入手して、ご一読後、セミナーに
       参加されることを強くオススメします。
   
<レクシスネクシス・ジャパンによる上記書籍の内容紹介>
英文契約のレビューを業務としている法務担当者において、レビューのベースとなる米国法について学びたいという声はよく聞く。しかし学術的観点で学べる「米国契約法」の書籍はあれど、なかなか実務的観点から書かれた良書がない。本書はまさにそこでこういったニーズにこたえるものであり、契約書レビューに今日から役立つヒントが満載である。契約法のルールや判例が契約条項のどの項目に結びつくのか、すぐにわかるように工夫しており、他部署から「なぜそのような条項に変更しなければならないんですか?」という質問に、根拠をもって的確に回答できるようになる。渉外実務を多く手掛けている著者陣による論理と経験のノウハウを伝授。契約文言サンプルや陥りやすい間違いをわかりやすく指摘するコラムなども合わせて読むことで、英文契約初心者も、経験のある人も満足できる内容となっている。

<講師紹介>
石原坦(イシハラヒロシ)アンダーソン・毛利・友常法律事務所/パートナー
日本国弁護士・ニューヨーク州弁護士・カリフォルニア州弁護士
クロスボーダーM&A、国際商取引、渉外企業法務全般を専門とする。M&Aでは、日本企業による海外企業の買収等の豊富な実務経験を有する。国際商取引では、日本企業と海外企業とのライセンス契約、製造委託契約等の交渉、現地法人の設立等に関するアドバイスを多数行う。また、日本銀行及び総合商社への出向経験を有し、クライアントのビジネス・ニーズを踏まえた迅速かつ的確なアドバイスに定評がある。
2015年4月~アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。
https://www.amt-law.com/professional/profile/HSI

島田充生(シマダミツオ)アンダーソン・毛利・友常法律事務所/アソシエイト
倒産・事業再生案件を専門とし、債務者、債権者、スポンサー候補等の多様なステークホルダーを代理するほか、M&A/企業再編業務に関しても豊富な経験を有する。また、外国投資信託の日本国内での公募・私募に際し、法的問題点についての助言や開示書類の作成・検討を継続的に行っている。
2015年4月~アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。
https://www.amt-law.com/professional/profile/MOS


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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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