秘密保持契約書における「相手方の秘密情報を開示することが出来る対象者(被開示者)」、「本目的」の定義に関する留意点
1.秘密保持契約書における「相手方の秘密情報を開示することが出来る対象者(被開示者)」の定義に関する留意点
先日、某社から秘密保持契約書の提示を受けまして、契約当事者は、相手方から開示を受けた秘密情報を、相手方の書面による同意無く、第三者に開示することが禁止されるものの、その例外規定として、予め開示を承諾されている対象者(被開示者)が以下の通り定められておりました。
個人的に懸念を感じたのは、上記抜粋の(c)でして、上記(c)では、これから締結しようとしている秘密保持契約書と同様の契約書を締結した第三者には、本目的の範囲内で自由に相手方の秘密情報を開示することが出来ると定められております。
仮に、「本目的」の定義が、「甲乙間にて○○製品を取引することの可能性に関する評価・検討」というような定義だった場合、契約当事者(A社)は、相手方(メーカー:B社)から開示を受けた秘密情報を、B社と取引することの可能性に関する評価・検討をする為に、B社の競合メーカー(C社)と秘密保持契約を締結した上で、C社に対して開示することが出来てしまい、B社としては大きな不都合が生じます。
一見すると、同様の秘密保持契約を締結した相手であれば、自社の秘密情報を開示してもいいかなと思ってしまいそうになりますが、目の前の契約内容で、本当に自社の秘密情報が守られるのかどうかは、よくよく考える必要がありますね。
なお、上記とは別の契約書に定められておりましたが、同じようなケースとして、秘密情報の受領者(Receiving Party)は、相手方の秘密情報を、自己の「directors, officers, employees and contractors」に対して、自己の義務と同様の秘密保持義務を課した上で、本目的の範囲内で開示することが出来る、と定められているというパターンにも結構出くわします。
斜め読みしているとスルーしてしまいそうになりますが、「contractors」とは具体的に誰を想定しているのか確認の上、曖昧な回答であれば、上記文言は削除して、想定外の「contractors」に自社の秘密情報が開示されないように留意したいものですね。
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2.秘密保持契約書における「目的」の定義に関する留意点
先日、某社から秘密保持契約書の提示を受けまして、秘密情報を授受する「目的」が以下の通り定められておりました。
秘密保持契約書について解説された書籍、ブログ等でも良く言われていることですが、上記のように、秘密保持契約書を締結する目的を広範囲に定めた場合、当該契約書上、秘密情報を第三者に開示することは制限されてはいますが、相手方の社内で、「甲乙間で秘密情報の交換を行う」という名目の下、当社が想定していなかった目的に秘密情報を使用されても、当社が文句を言えない言い回しにもなっております。
その為、秘密保持契約書上の「目的」の定義については、適度な限定となるよう留意したいものですね。
<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・「儲かる会社」の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力
(山根 節氏著作)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・会社「経理・財務」の基本テキスト (五訂版)
(NTTビジネスアソシエ株式会社著作、金児 昭氏編集)

先日、某社から秘密保持契約書の提示を受けまして、契約当事者は、相手方から開示を受けた秘密情報を、相手方の書面による同意無く、第三者に開示することが禁止されるものの、その例外規定として、予め開示を承諾されている対象者(被開示者)が以下の通り定められておりました。
(a) To the directors, statutory auditors, officers and employees of the Receiving Party
whose duties justify their need to know such Confidential Information;
(b) To attorneys, accountants and other professional advisors of the Receiving Party,
who are bound by the confidentiality obligation under the law; and
(c) To any party who entered into the same non-disclosure agreement
with the Receiving Party, as that entered into by the Parties herein,
with respect to the Purpose.
※会社を特定されないよう、多少、文言を変更しております。
個人的に懸念を感じたのは、上記抜粋の(c)でして、上記(c)では、これから締結しようとしている秘密保持契約書と同様の契約書を締結した第三者には、本目的の範囲内で自由に相手方の秘密情報を開示することが出来ると定められております。
仮に、「本目的」の定義が、「甲乙間にて○○製品を取引することの可能性に関する評価・検討」というような定義だった場合、契約当事者(A社)は、相手方(メーカー:B社)から開示を受けた秘密情報を、B社と取引することの可能性に関する評価・検討をする為に、B社の競合メーカー(C社)と秘密保持契約を締結した上で、C社に対して開示することが出来てしまい、B社としては大きな不都合が生じます。
一見すると、同様の秘密保持契約を締結した相手であれば、自社の秘密情報を開示してもいいかなと思ってしまいそうになりますが、目の前の契約内容で、本当に自社の秘密情報が守られるのかどうかは、よくよく考える必要がありますね。
なお、上記とは別の契約書に定められておりましたが、同じようなケースとして、秘密情報の受領者(Receiving Party)は、相手方の秘密情報を、自己の「directors, officers, employees and contractors」に対して、自己の義務と同様の秘密保持義務を課した上で、本目的の範囲内で開示することが出来る、と定められているというパターンにも結構出くわします。
斜め読みしているとスルーしてしまいそうになりますが、「contractors」とは具体的に誰を想定しているのか確認の上、曖昧な回答であれば、上記文言は削除して、想定外の「contractors」に自社の秘密情報が開示されないように留意したいものですね。
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2.秘密保持契約書における「目的」の定義に関する留意点
先日、某社から秘密保持契約書の提示を受けまして、秘密情報を授受する「目的」が以下の通り定められておりました。
甲及び乙は、甲乙間で秘密情報の交換を行うにあたり(以下「本目的」という)、秘密保持契約書を締結する。
(注)本契約上、「秘密情報」の定義は一般的な文言であり、特定のプロジェクト、具体的な取引、
製品名等の記載はありませんでした。
秘密保持契約書について解説された書籍、ブログ等でも良く言われていることですが、上記のように、秘密保持契約書を締結する目的を広範囲に定めた場合、当該契約書上、秘密情報を第三者に開示することは制限されてはいますが、相手方の社内で、「甲乙間で秘密情報の交換を行う」という名目の下、当社が想定していなかった目的に秘密情報を使用されても、当社が文句を言えない言い回しにもなっております。
その為、秘密保持契約書上の「目的」の定義については、適度な限定となるよう留意したいものですね。
<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・「儲かる会社」の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力
(山根 節氏著作)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・会社「経理・財務」の基本テキスト (五訂版)
(NTTビジネスアソシエ株式会社著作、金児 昭氏編集)

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