(1)仕事が人についている状態はダメ、(2)所有権留保の実行方法 他
(1)仕事が人についている状態はダメ
ゴールデンウィーク明けから先週金曜日までずっと、契約審査等の通常業務そっちのけで、土日も返上して朝から深夜まで、某特命案件に掛かりっきりで対応しておりました。時間と戦いながらの長時間労働したので、さすがに心身共に疲弊しましたね。燃え尽きたので、今日は、溜まりに溜まっている通常業務達を置き去りにして、この記事を書いています・・。
この忙しさの際にも再認識させられましたが、法務業務に限らず、少人数体制で業務対応をしていますと、何か突発的な重い業務が発生した場合、とたんに仕事が回らなくなる、というのは何とかしないといけないですね。
ただ、大企業であればまだしも、私の所属会社のような中堅企業ですと、常時、余剰人員を抱えておくというのは難しいので、部門を超えたジョブローテーション、後輩の指導を早期に進めて、特定業務が人(私)についている状態を改善するしかないですね。言うが易しですが・・。
(2)所有権留保の実行方法
GW前に読み終わっていた「与信・債権回収管理ハンドブック改訂新版(橋本 喜治氏著作)」に、所有権留保の実行方法として、下記のような書式で、所有権留保条項を定めている売買契約を「解約」し、債務者の同意を取った上で商品を引揚げる方法が解説されていました。
上記について少し考えさせられましたので、その内容を個人的な備忘の為に書き留めておきたいと思います。
上記の引用部品で個人的に理解出来なかったのが、「所有権留保物件引渡合意書」第3条を定めている意図です。
本合意書第1条で、売買契約を「合意解約」し、第2条で、契約解約に伴う原状回復義務に基づいて、乙(買主)が本物件を甲(売主)に引渡す、というところまでは理解出来ました。
一方、本合意書第3条では、「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって売主の買主に対する売掛金に充当することに同意する」と定められているではありませんか。契約を解約したのに、なぜ売掛金が存続しているのか。
原契約書の「契約解約」条項にどのような定めがあるのかにもよるかと思いますが、本合意書の第3条の意味合いを個人的に以下の通り考えてみました。
(仮説-1)
実は、「所有権留保物件引渡合意書」で解約した売買契約とは別の売買契約があり、その別の売買代金の売掛金に対して、処分代金を充当することを意図している可能性があります。しかし、これでは買主としては痛くも痒くもありませんので、売主が担保を取った意味がありません。
(仮説-2)
上記書式では、原契約を「合意解約」したと定められており、「合意解除」とは記載されておりません。
「解除」は、締結した契約の効力が最初から存在しなかったのと同じ状態にすることを意味するのに対し、「解約」は、契約の効力を将来に向ってのみ消滅することを意味します。その為、本合意書では、原契約(=割賦販売契約書)を将来に向かって消滅させ、「合意解約」前に発生していた売掛金は引き続き存続し、その売掛金に対して、返還を受けた本物件の処分代金を充当することを意図している可能性があります。しかし、これについても、買主としては痛くも痒くもありませんので、売主が担保を取った意味がありません。
未だに上記書式の合意書第3条の意味が分かりませんが、暇な時(お風呂に使っている時)にでも、第3条を設けた他の可能性について、もう少し考えてみたいと思います。
(3)契約解除条項に損害賠償義務を設ける必要性
売主が所有権留保を実行する場合には、売買契約を解除した上で、商品を引き揚げるのが一般的になっているようです。モノの本によると、契約を解除することで、売主の引渡し義務を消滅させておく意味があるようです。
ただ、契約を解除した場合、売主の商品引渡し義務は消滅するものの、一方で、売主の代金請求権も消滅してしまい、受領済の代金があれば、売主は返還しなければなりませんので、契約解除のタイミングについては留意したいものですね。
また、単純な契約解除条項しか定めていないと、売主としては、原状回復の結果、経年劣化したモノが返還されるだけで、損をする場合がありますので、契約解除条項には、売主が契約を解除し、商品の返還を受けてもなお、契約解除に伴い売主に損害が生じた場合、売主は買主に対して当該損害の賠償を請求出来る権利が生じる旨、定めておきたいものですね。
そういう意味では、上記の「所有権留保物件引渡合意書」第3条には、
「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって売主の買主に対する売掛金に充当することに同意する。」
と定めるのではなく、
「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって、原契約書 第○条(契約解除)に基づき、契約解除をしたことに伴い発生した、売主の買主に対する損害賠償請求権に売主の買主に対する売掛金に充当することに同意する。」
と定めた方が良さそうですね。
ということで、つらつらの書き連ねてみましたが、疲れがまだ残っているからか、まとまりの無い文章となりましたが(いつもかもしれませんが・・)、そろそろ筆を置きたいと思います。

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ゴールデンウィーク明けから先週金曜日までずっと、契約審査等の通常業務そっちのけで、土日も返上して朝から深夜まで、某特命案件に掛かりっきりで対応しておりました。時間と戦いながらの長時間労働したので、さすがに心身共に疲弊しましたね。燃え尽きたので、今日は、溜まりに溜まっている通常業務達を置き去りにして、この記事を書いています・・。
この忙しさの際にも再認識させられましたが、法務業務に限らず、少人数体制で業務対応をしていますと、何か突発的な重い業務が発生した場合、とたんに仕事が回らなくなる、というのは何とかしないといけないですね。
ただ、大企業であればまだしも、私の所属会社のような中堅企業ですと、常時、余剰人員を抱えておくというのは難しいので、部門を超えたジョブローテーション、後輩の指導を早期に進めて、特定業務が人(私)についている状態を改善するしかないですね。言うが易しですが・・。
(2)所有権留保の実行方法
GW前に読み終わっていた「与信・債権回収管理ハンドブック改訂新版(橋本 喜治氏著作)」に、所有権留保の実行方法として、下記のような書式で、所有権留保条項を定めている売買契約を「解約」し、債務者の同意を取った上で商品を引揚げる方法が解説されていました。
上記について少し考えさせられましたので、その内容を個人的な備忘の為に書き留めておきたいと思います。
【図表173 所有権留保物件引渡合意書】
所有権留保物件引渡合意書
1.甲株式会社(以下、甲という)と乙株式会社(以下、乙という)は、
平成○年○月○日付甲、乙間の割賦販売契約書(以下、原契約書という)に
基づき甲が乙に対して販売した下記の甲の所有権留保物件について、
本日原契約を合意解約した。
2.乙は前項の解約に基づき本物件を甲に引渡し、甲はこの引渡しを受けた。
3.乙は、甲が本物件を任意に処分し、処分代金をもって甲の乙に対する
売掛金に充当することに同意する。
物件の表示
○○○○
平成○年○月○日
(hitorihoumu注)捺印欄の記載を省略します。
上記の引用部品で個人的に理解出来なかったのが、「所有権留保物件引渡合意書」第3条を定めている意図です。
本合意書第1条で、売買契約を「合意解約」し、第2条で、契約解約に伴う原状回復義務に基づいて、乙(買主)が本物件を甲(売主)に引渡す、というところまでは理解出来ました。
一方、本合意書第3条では、「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって売主の買主に対する売掛金に充当することに同意する」と定められているではありませんか。契約を解約したのに、なぜ売掛金が存続しているのか。
原契約書の「契約解約」条項にどのような定めがあるのかにもよるかと思いますが、本合意書の第3条の意味合いを個人的に以下の通り考えてみました。
(仮説-1)
実は、「所有権留保物件引渡合意書」で解約した売買契約とは別の売買契約があり、その別の売買代金の売掛金に対して、処分代金を充当することを意図している可能性があります。しかし、これでは買主としては痛くも痒くもありませんので、売主が担保を取った意味がありません。
(仮説-2)
上記書式では、原契約を「合意解約」したと定められており、「合意解除」とは記載されておりません。
「解除」は、締結した契約の効力が最初から存在しなかったのと同じ状態にすることを意味するのに対し、「解約」は、契約の効力を将来に向ってのみ消滅することを意味します。その為、本合意書では、原契約(=割賦販売契約書)を将来に向かって消滅させ、「合意解約」前に発生していた売掛金は引き続き存続し、その売掛金に対して、返還を受けた本物件の処分代金を充当することを意図している可能性があります。しかし、これについても、買主としては痛くも痒くもありませんので、売主が担保を取った意味がありません。
未だに上記書式の合意書第3条の意味が分かりませんが、暇な時(お風呂に使っている時)にでも、第3条を設けた他の可能性について、もう少し考えてみたいと思います。
(3)契約解除条項に損害賠償義務を設ける必要性
売主が所有権留保を実行する場合には、売買契約を解除した上で、商品を引き揚げるのが一般的になっているようです。モノの本によると、契約を解除することで、売主の引渡し義務を消滅させておく意味があるようです。
ただ、契約を解除した場合、売主の商品引渡し義務は消滅するものの、一方で、売主の代金請求権も消滅してしまい、受領済の代金があれば、売主は返還しなければなりませんので、契約解除のタイミングについては留意したいものですね。
また、単純な契約解除条項しか定めていないと、売主としては、原状回復の結果、経年劣化したモノが返還されるだけで、損をする場合がありますので、契約解除条項には、売主が契約を解除し、商品の返還を受けてもなお、契約解除に伴い売主に損害が生じた場合、売主は買主に対して当該損害の賠償を請求出来る権利が生じる旨、定めておきたいものですね。
そういう意味では、上記の「所有権留保物件引渡合意書」第3条には、
「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって売主の買主に対する売掛金に充当することに同意する。」
と定めるのではなく、
「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって、原契約書 第○条(契約解除)に基づき、契約解除をしたことに伴い発生した、売主の買主に対する損害賠償請求権に
と定めた方が良さそうですね。
ということで、つらつらの書き連ねてみましたが、疲れがまだ残っているからか、まとまりの無い文章となりましたが(いつもかもしれませんが・・)、そろそろ筆を置きたいと思います。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本 その1)>
プライベートバンカー カネ守りと新富裕層(清武 英利氏著作)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本 その2)>
一億人の英文法 すべての日本人に贈る「話すため」の英文法
大西 泰斗氏、ポール・マクベイ氏著作

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