資産を隠匿する被執行者にプレッシャーを掛ける(懲らしめる)方法 in China

先日、中国の中規模弁護士事務所の律師と会う機会がありました。

そこで、中国では勝訴判決を得ても執行による回収が困難なケースが多い中、回収可能性を高める方法は無いか聞いてみたところ、被執行者に資産があるにもかかわらず、資産を隠匿する等して、執行を回避しようとする場合、その被執行者の法定代表人に対して高額消費制限命令を出すよう、裁判所に申請する方法もあるとのアイデアを貰いました。

上記申請が認められた場合、その法定代表人は、航空機の搭乗禁止、新幹線の利用禁止等の措置を受けることになり、結果として、法令代表者にプレッシャーを掛ける(嫌がらせをする)ことが出来るようです。

また、例えば、被執行者が、執行を回避しようと、自社のグループ会社に資産を意図的に移転する等して資産を隠匿した場合、それを立証出来れば、グループ会社に対する資産移転を無効にすることが出来、また、中国の刑法上の「執行拒否罪」を問うことも出来るようです。ただ、上記を立証するのはなかなか難しいようですね・・。

上記手法の効果は(個人的には)未知数ですが、今度、中国の係争案件時に上記方法を検討してみようと思います。

本当は、上記のような方法に頼らず、保全措置(仮差押)を申請して十分な資産を押さえてから提訴したいところですが、債権が焦げ付いて、訴訟による回収を検討する段階では、相手方の財務状況が悪化していて、保全措置(仮差押)対象となる、被告側が隠したくなるような資産がそもそも無いというケースの方が多いのが現状ですが・・。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・会計士は見た!(前川 修満氏著作)

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・ヤバい決算書(長谷川 正人氏著作)
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「納入を受けた製品が第三者の知的財産権を侵害したこと」は「隠れた瑕疵」と主張出来るか!?

基本契約書上、「瑕疵担保責任条項」と「知的財産権の不侵害保証条項」の2つが定められているケースが一般的かと思いますが、もし、「瑕疵担保責任条項」しか無い基本契約書を締結している場合で、納入を受けた製品が第三者の知的財産権を侵害した場合、上記事態は納入製品に「隠れた瑕疵」があるとして、売主・請負人に瑕疵担保責任を請求出来るのか、という疑問をお持ちになった方もいるかとおもいます。私だけでしょうか?

積年の疑問を晴らすべく、遅ればせながら、上記について某先生に相談してみましたので、その結果を、個人的な備忘の為と誰かの参考の為に、以下の通り書き留めておきたいと思います。ご利用は自己責任でお願いします。


[回答(要約)]
売買の目的物(主に土地)に公法上の瑕疵等があった場合に、瑕疵担保責任を認めた判例がいくつかある。

しかし、売買の目的物が第三者の知的財産権を侵害していたことについて、民法570条の瑕疵担保責任があると判断した判例は現時点では見当たらない。

とはいえ、「納入した製品が第三者の知的財産権を侵害したこと」=「隠れた瑕疵」という判断が今後、裁判所によりなされることは無い、というわけではないが、買主・注文者の立場としては、安全を見て、上記侵害が発生した場合に売主・請負人に対して補償請求出来るよう、

1.「瑕疵担保責任条項」に、「納入した製品が第三者の知的財産権を
  侵害すること」は「隠れた瑕疵」であると明示するか、もしくは、

2.「瑕疵担保責任条項」とは別に「知的財産権の不侵害保証条項」を
  従来通り、合わせて定める、

という対応をしておいた方が良い。



とのことでした。すっきりしましたね。

売主側から、「知的財産権の不侵害保証条項」の削除依頼を受けた場合、

「万一、侵害問題が発生したら、瑕疵担保責任条項に基づいて請求可能だからおk」

ということで安易に削除依頼に応じないようにしたいものですね。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>

・和解交渉と条項作成の実務(田中 豊氏著作)

[本書で参考になった事項・考えさせられた事項]
1.民事訴訟法上には明文の規定はないが、判例・学説上、利害関係人(当事者以外の第三者)は、
  訴訟上の和解に参加することが許されている。

  この場合、利害関係人が和解手続に参加したいと裁判所に申立てをするケースもあり、
  また、訴訟の当事者が利害関係人を訴訟上の和解手続に参加させたいと申立てをする
  ケースもある。

2.訴訟上の和解が成立しなかった場合、和解手続を主宰した裁判官と同一の裁判官が
  判決を出してはならない、という制度は今のところ無い。

  裁判官を経験された著者によれば、裁判官は、和解協議中に当事者が提示した
  自らの弱み等について、和解協議の不成立後、判決・心証を形成する際の根拠に
  することは無いので、安心して和解協議に参加して欲しい、とはいうものの、
  実際はどうなんでしょうね。。。

3.「給付条項」なのか「確認条項」・「形成条項」なのかが紛らわしい表現は避けるべき。

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・ビジネス英語ライティング・ルールズ (日経文庫)
 (森田 修氏著作、マルコム・ヘンドリックス氏著作)

[本書で参考になった事項・再確認させられた事項]
1.「 I 」が主語の文章を使いすぎると、自分のことばかりを話している感じを受けてしまい、
  人によっては幼稚な文章と思われるケースあり。

2.「接続副詞(例:however)」と「接続詞(例:but)」は異なり、「接続副詞」単独では
  文同士をつなぐことは出来無い。「接続副詞」を使って文と文をつなぐ場合には、
  セミコロンで区切る必要がある。

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・国際交渉の法律英語 そのまま文書化できる戦略的表現
 (中村 秀雄氏著作)


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・業務委託〈アウトソーシング〉契約書の作成と審査の実務
 (滝川宜信氏著作)


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・知識ゼロからの中国ビジネス入門
 (吉村章氏著作)


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・部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書
 「プレーイング・マネージャー」になってはいけない-
 (出口治明氏著作)


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hitorihoumu

Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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