「一事が万事」を念頭に契約書のドラフト・スキーム検討をすべき
先般、「書籍:架空取引(講談社文庫)(高任 和夫氏著作)」を読んだ流れで、「架空循環取引―法務・会計・税務の実務対応(霞 晴久氏、米澤 勝氏、中西 和幸氏)」を読んでみました。
私の所属している会社の業界は某商材を扱う専門商社なのですが、メーカーと比較して、循環取引に巻き込まれやすい業界と言えますので、その分、注意が必要となります。
早速ですが、本書で参考になった箇所を以下の通り抜粋しておきたいと思います。
下記抜粋は、不正が発生した時の対応時について解説された箇所の一部です。
上記は不正発生時の対応だけでなく、契約書のドラフトやスキーム作りにも念頭に入れておくべき考え方ですね。
個人的には、イレギュラーな案件、ケースについて契約書をドラフトする際、当事者間の合意内容を明確に定めることは当然ですが、「この契約書を第三者(特に税務当局や監査法人)が見た場合、どう考えるだろうか」という視点も入れてドラフトするよう心掛けています。
目の前の案件だけ考えればこのドラフト・スキームで説明可能かもしれないものの、このドラフトで締結した結果、これまで税務当局や監査法人に説明してきた内容と異なるケースが1件誕生することになる場合、目の前の案件以外にも、イレギュラーな対応をしているケースが他にもあるのではないか、という疑念を第三者(特に税務当局や監査法人)に与えてしまう可能性がありますので、今後とも、「一事が万事」を頭の片隅に置いてドラフト対応していきたいと思います。
[その他本書にて参考になった事項]
(1)過去、繊維業界にて、商流に介在する会社の決算期が異なることを利用して、
不良在庫の問題を回避する目的から循環取引が実施されたたケースあり。
(2)架空取引を計上してまで営業成績を良く見せようとする倫理上の問題だけでなく、
「出荷基準」という日本の会計基準の脆弱性や、「商社取引」だからということで
問題を正当化が発生してしまうことが、循環取引の遠因となっている。
(3)失注の穴埋めを目的として、架空循環取引が開始するケースあり
(4)循環取引であったことを理由にして、売買取引は無効であると主張するには、
相手方の悪意を立証する必要があるが、通常、上記立証は難しい。
(5)背任罪を問うには、「図利加害目的」が要件の一つとなるが、会社の為を思って
循環取引に関与したと主張する社員の「図利加害目的」を立証することは難しい。
(6)循環取引において、売主側から売買代金の支払い請求を受けた場合に
考えられる買主の反論根拠
[根拠]
売買契約の不成立(買主側の担当者の無権代理による無効など)
契約成立の時点で給付が不可能(原始的不能)であることによる無効
契約要素の錯誤による無効
同時履行の抗弁権に基づく債務の履行拒否
(7)循環取引において、買主側から売主側に対して支払い済の売買代金の
返還請求をする場合に考えられる根拠
[根拠]
売買契約の無効による売買代金の返還
売買契約の無効又は取り消しによる不当利得変換請求
不法行為による損害賠償請求
[hitorihoumuのメモ]
裁判に勝つことだけを考えれば、上記反論や主張もアリなんだとは思いますが、
仮に、上場企業の場合、自社が自ら、通常の売買取引ではなく、
不正な金融取引(循環取引)であったとして売買契約の無効を主張した場合、
循環取引の存在を自ら認めたことになり、過年度の決算を自ら否定することにも
繋がりますので、過年度の決算の訂正を求められることになる為、
諸刃の刃な戦法ですね。
「裁判に敗訴すること」と「過年度決算の訂正」を天秤に掛けて
判断することになるんでしょうか。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック(山口 周氏著作)
[本書にて参考になった事項]
(1)良いスライドはスライド内に明快な主張がある(ポジションを取っている)
自己の主張をせずに解釈は聞き手に委ねる、という態度ではダメ
(2)プレゼンは聞き手の理解のスピードと説明のリズムを同期させる必要あり
↓
その為、1スライドには1メッセージのみ
(3)スライド作成のプロセス
× スライド作成 → メッセージ作成 → ストーリー化
○ メッセージ作成 → ストーリー化 → スライド作成
(4)いきなりスライドを作成せずに構成案、デッサンから作成すべし。
(5)同じ言葉が2回以上、1枚のスライドに登場した場合は、
レイアウト構造に改善の余地有り
(6)色は3色まで。4色以上ではないと表現出来無い、ということは無い。
[hitorihoumuのメモ]
4色以上を使ってやたらカラフルなプレゼン資料を目にすることがありますが、
美術の時間ではないのですし、「見ていて綺麗」なことと
「分かり易いこと」は必ずしも一致するものではないので、
常に分かり易い資料となるよう、極力、シンプルなレイアウト、
色使い、表現の資料作りを心掛けたいと思います。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
【超】一枚企画書の書き方(高橋 憲行氏著作)

私の所属している会社の業界は某商材を扱う専門商社なのですが、メーカーと比較して、循環取引に巻き込まれやすい業界と言えますので、その分、注意が必要となります。
早速ですが、本書で参考になった箇所を以下の通り抜粋しておきたいと思います。
下記抜粋は、不正が発生した時の対応時について解説された箇所の一部です。
この同種同類の問題が他部門に波及していないかどうかを検証することは極めて重要となる。この類似問題の有無については、当然、会社の外部監査人も極めて強い関心を持つものと考えられる。会社のある部門で循環取引が発覚した以上、当該部門だけでなく企業全体の業務において、当該年度のみならず、過年度における決算期に対しても影響が及ぶからである。
上記は不正発生時の対応だけでなく、契約書のドラフトやスキーム作りにも念頭に入れておくべき考え方ですね。
個人的には、イレギュラーな案件、ケースについて契約書をドラフトする際、当事者間の合意内容を明確に定めることは当然ですが、「この契約書を第三者(特に税務当局や監査法人)が見た場合、どう考えるだろうか」という視点も入れてドラフトするよう心掛けています。
目の前の案件だけ考えればこのドラフト・スキームで説明可能かもしれないものの、このドラフトで締結した結果、これまで税務当局や監査法人に説明してきた内容と異なるケースが1件誕生することになる場合、目の前の案件以外にも、イレギュラーな対応をしているケースが他にもあるのではないか、という疑念を第三者(特に税務当局や監査法人)に与えてしまう可能性がありますので、今後とも、「一事が万事」を頭の片隅に置いてドラフト対応していきたいと思います。
[その他本書にて参考になった事項]
(1)過去、繊維業界にて、商流に介在する会社の決算期が異なることを利用して、
不良在庫の問題を回避する目的から循環取引が実施されたたケースあり。
(2)架空取引を計上してまで営業成績を良く見せようとする倫理上の問題だけでなく、
「出荷基準」という日本の会計基準の脆弱性や、「商社取引」だからということで
問題を正当化が発生してしまうことが、循環取引の遠因となっている。
(3)失注の穴埋めを目的として、架空循環取引が開始するケースあり
(4)循環取引であったことを理由にして、売買取引は無効であると主張するには、
相手方の悪意を立証する必要があるが、通常、上記立証は難しい。
(5)背任罪を問うには、「図利加害目的」が要件の一つとなるが、会社の為を思って
循環取引に関与したと主張する社員の「図利加害目的」を立証することは難しい。
(6)循環取引において、売主側から売買代金の支払い請求を受けた場合に
考えられる買主の反論根拠
[根拠]
売買契約の不成立(買主側の担当者の無権代理による無効など)
契約成立の時点で給付が不可能(原始的不能)であることによる無効
契約要素の錯誤による無効
同時履行の抗弁権に基づく債務の履行拒否
(7)循環取引において、買主側から売主側に対して支払い済の売買代金の
返還請求をする場合に考えられる根拠
[根拠]
売買契約の無効による売買代金の返還
売買契約の無効又は取り消しによる不当利得変換請求
不法行為による損害賠償請求
[hitorihoumuのメモ]
裁判に勝つことだけを考えれば、上記反論や主張もアリなんだとは思いますが、
仮に、上場企業の場合、自社が自ら、通常の売買取引ではなく、
不正な金融取引(循環取引)であったとして売買契約の無効を主張した場合、
循環取引の存在を自ら認めたことになり、過年度の決算を自ら否定することにも
繋がりますので、過年度の決算の訂正を求められることになる為、
諸刃の刃な戦法ですね。
「裁判に敗訴すること」と「過年度決算の訂正」を天秤に掛けて
判断することになるんでしょうか。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック(山口 周氏著作)
[本書にて参考になった事項]
(1)良いスライドはスライド内に明快な主張がある(ポジションを取っている)
自己の主張をせずに解釈は聞き手に委ねる、という態度ではダメ
(2)プレゼンは聞き手の理解のスピードと説明のリズムを同期させる必要あり
↓
その為、1スライドには1メッセージのみ
(3)スライド作成のプロセス
× スライド作成 → メッセージ作成 → ストーリー化
○ メッセージ作成 → ストーリー化 → スライド作成
(4)いきなりスライドを作成せずに構成案、デッサンから作成すべし。
(5)同じ言葉が2回以上、1枚のスライドに登場した場合は、
レイアウト構造に改善の余地有り
(6)色は3色まで。4色以上ではないと表現出来無い、ということは無い。
[hitorihoumuのメモ]
4色以上を使ってやたらカラフルなプレゼン資料を目にすることがありますが、
美術の時間ではないのですし、「見ていて綺麗」なことと
「分かり易いこと」は必ずしも一致するものではないので、
常に分かり易い資料となるよう、極力、シンプルなレイアウト、
色使い、表現の資料作りを心掛けたいと思います。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
【超】一枚企画書の書き方(高橋 憲行氏著作)

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