(中国)ライセンス契約上の達成目標を契約上、明確に定めるべし 他
1.中国への技術ライセンス、技術譲渡の場合の売主の保証義務
今般は、前回UPした記事に引き続き、「中国ビジネス法体系 第2版(藤本 豪氏著作)」を読んで心に留まった事項を書きとめておこうと思います。
早速ですが、上記書籍のP89を以下に抜粋させて頂きます。
中国への技術ライセンスに限らず、特許権の譲渡やライセンスとは異なり、目に見えないノウハウや技術のライセンス契約では、「契約に定められた技術目標」、「ライセンス対象物」は何なのかを明確にしないと、後々、もめることになりますので、注意したいものですね。
特に、今後、日本では民法が改正されて、「瑕疵」が「契約不適合」という概念になる中、契約の目的とは何なのかより重要となりますので、取引毎に明確に定めておきたいものです。
2.個別ケースのご紹介+教訓
そういえば、以前、技術輸出入管理条例の上記保証義務規定が争点とはなっただけではありませんが、遭遇したケースとして、こんな事例がありました。
上記ケースの顛末は秘密ですが、上記ケースの教訓としては下記の3点です。
2.ラインセンス契約上の技術供与者側の責任限定方法
「中国法実務教本―進出から撤退まで(大江橋法律事務所 中国プラクティスグループ 編集」によると、「技術輸出入管理条例は、国務院が制定する行政法規に該当し、技術輸出入管理条例に定める目標達成の保証規定は強行規定の性質を持つので、保証義務を契約に定めつつ、保証の条件を合理的な範囲に限定する等の対応をとることが実務となっている」旨、解説されています。
また、「図解入門ビジネス中国ビジネス法務の基本がよ~くわかる本(遠藤 誠氏著作、孫 彦氏著作)によると、保証条件の限定の仕方として、下記のような内容を契約に定める方法が実務上、取られている旨、解説されていました。
正直、日中間のライセンス契約にはあまり関与したくはありませんが、ドラフト・審査しなければならない場合には、上記を念頭にして対応したいと思います。


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弁護士 転ばぬ先の経営失敗談(北 周士氏著作)
[本書で心に留まった考え方等]
私は弁護士でも無く、独立・開業を予定しているわけでもありませんが、
普段の仕事に活かせる箇所もあるかと思い、本書を読んでみました。
(1)案件を引き継ぐ場合は、現時点で取っている選択肢・現時点の争点だけでなく、
これまで選択しなかった選択肢、選択しなかった理由、過去の争点、
思考についても引き継ぐべき。思考の連続性を意識して引き続く必要あり。
(2)開業に際して、「弁護士しか出来無いこと」、「弁護士でなくても出来ること」を分類して、
全部自分がやらなければならないと考えず、事務局に任せられることは任せる。
[メモ]
自分がやった方が早い病は早く治したいもんですね。
(3)「何か変だ」と思った場合は受任しない。
事件が欲しいという一心で受任すると痛い目に合う。
[メモ]
人材の採用についても同じことが言えますね。。。
(4)特に感情的になっている個人の依頼人が抱えている訴訟のイメージは、
訴訟は「正義」を示す場であり、「相手を懲らしめる場」というものが多い。
一方、弁護士の認識は、「権利が認められるかどうかを判断する場」、
「一つの解決手段」というものであり、双方の認識に差があることに留意すべき。
(5)ミスを隠さない。ミスをした際の正直な対応で信頼感が増すこともある。
(6)連絡されすぎで怒る依頼者はほとんどいないが、連絡が少なくて怒る依頼者は多い。
[メモ]
進捗が無くて連絡しないでいると、さらに連絡し難い感じになってくるので、
1週間に一回とか期間を決めて、必ず定期的に報告・連絡するようにしたいもんですね。

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今般は、前回UPした記事に引き続き、「中国ビジネス法体系 第2版(藤本 豪氏著作)」を読んで心に留まった事項を書きとめておこうと思います。
早速ですが、上記書籍のP89を以下に抜粋させて頂きます。
技術輸入契約における技術の供与者(ライセンサー、譲渡人等)には、以下の事柄が義務づけられている。
1.技術の供与者は、自己が権利者であることを保証しなければならない
2.技術の供与者は、被供与者が第三者から権利侵害の訴訟を提起されて供与者に
通知した場合、その排除につき協力しなければならない
3.技術の供与者は、被供与者が当該技術を契約に従って使用することで第三者の権利を
侵害した場合、責任を負う(したがって、免責の定めを置くことは出来無い。)
4.技術の供与者は、供与する技術が完全で、瑕疵がなく、有効であり、契約に定められた
技術目標を達成できることを保証しなければならない。
上記4については、「契約に定められた技術目標を達成」できるものであったか否かを巡って紛争が生じやすい。技術の供与者としては、このような紛争リスクへの対処として、契約において、(i)技術目標を出来るだけ具体的に記載すると共に、(ii)一定の要件を満たした場合(たとえば、技術被供与者が当該技術を用いて試作した製品につき技術の供与者が検品や試験を実施し、合格証を発行した場合等)は契約に定められた技術目標が達成されたものとみなす旨を定めておくことが考えられる。
中国への技術ライセンスに限らず、特許権の譲渡やライセンスとは異なり、目に見えないノウハウや技術のライセンス契約では、「契約に定められた技術目標」、「ライセンス対象物」は何なのかを明確にしないと、後々、もめることになりますので、注意したいものですね。
特に、今後、日本では民法が改正されて、「瑕疵」が「契約不適合」という概念になる中、契約の目的とは何なのかより重要となりますので、取引毎に明確に定めておきたいものです。
2.個別ケースのご紹介+教訓
そういえば、以前、技術輸出入管理条例の上記保証義務規定が争点とはなっただけではありませんが、遭遇したケースとして、こんな事例がありました。
[ケース]
(1)当社が、取引先A社(日本法人)に某設備を販売する売買契約を締結。
(2)上記設備はA社の中国子会社に輸送・設置し、中国国内での製造に使用されることが
前提となっていた為、当社が、当該設備を用いた某製造方法について、
A社とA社の中国子会社に技術指導を行う契約を別途締結。
(3)上記契約に基づき設備を中国に輸送・設置後、当初想定した通りの製品が
製造出来無い事態が発生。
(4)取引先A社側は、当初想定した通りの製品が出来無いのは、某設備に瑕疵があり、
さらに、技術指導の仕方・内容にも問題があるが原因と主張して、
設備の売買代金と技術指導料の支払を拒否。
(5)当方及び当方のサプライヤー(設備の製造者+技術指導の提供者)の主張としては、
設備には瑕疵は無く、当方側としてはしっかり技術指導をしているものの、
A社の中国子会社側に製造工程の管理者が不在で、また、スタッフのヤル気が
足りないことが原因であり、現に、上記設備を用いて当方のサプライヤーが
中国現地で製造した際には良品が出来ることを理由に、
A社側の主張を拒絶するが、双方で見解の相違は埋まらず。。。
上記ケースの顛末は秘密ですが、上記ケースの教訓としては下記の3点です。
[教訓]
(1)技術指導契約(ライセンス契約)の目標達成基準をもっと明確に定めておけば良かった。
(2)「設備の売買」と「ライセンス契約」が何となく紐付く内容だったばかりに、
設備代金の支払いを拒否する口実を与えてしまった。
売主の立場としては、設備の検収条件をより明確に定め、さらに、瑕疵担保条項に
売主の責任範囲・瑕疵担保期間をもっと制限しておけば良かった。
(3)当社は商社であり、「当社と当社のサプライヤー」、「当社と顧客(A社)」間の
売買契約、技術指導契約の契約条項を同一内容(back to back)で締結していたので、
問題無いと安心していたところがあった。
しかし、販売先・ラインセンス供与先と契約上の問題が発生した場合、
一義的に責任を問われるのは自社であること、サプライヤーに契約通りに
権利行使してもスムーズに応じて貰えないリスクがあることを念頭に、極力、
自社の責任が限定されるよう契約交渉すればよかった。
2.ラインセンス契約上の技術供与者側の責任限定方法
「中国法実務教本―進出から撤退まで(大江橋法律事務所 中国プラクティスグループ 編集」によると、「技術輸出入管理条例は、国務院が制定する行政法規に該当し、技術輸出入管理条例に定める目標達成の保証規定は強行規定の性質を持つので、保証義務を契約に定めつつ、保証の条件を合理的な範囲に限定する等の対応をとることが実務となっている」旨、解説されています。
また、「図解入門ビジネス中国ビジネス法務の基本がよ~くわかる本(遠藤 誠氏著作、孫 彦氏著作)によると、保証条件の限定の仕方として、下記のような内容を契約に定める方法が実務上、取られている旨、解説されていました。
正直、日中間のライセンス契約にはあまり関与したくはありませんが、ドラフト・審査しなければならない場合には、上記を念頭にして対応したいと思います。
[限定方法(例)]
(1)「契約締結時点において」、第三者から権利侵害の請求を受けていないことを保証する。
(2)ライセンスした技術が、「ライセンサーが製品製造の為に日本国内で使用しているものと
同一条件で用いられる場合に限定して」、同様の効果を生じることを保証する。
(3)ライセンサーが受領したロイヤルティ額の範囲内で保証責任を負う。


<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
弁護士 転ばぬ先の経営失敗談(北 周士氏著作)
[本書で心に留まった考え方等]
私は弁護士でも無く、独立・開業を予定しているわけでもありませんが、
普段の仕事に活かせる箇所もあるかと思い、本書を読んでみました。
(1)案件を引き継ぐ場合は、現時点で取っている選択肢・現時点の争点だけでなく、
これまで選択しなかった選択肢、選択しなかった理由、過去の争点、
思考についても引き継ぐべき。思考の連続性を意識して引き続く必要あり。
(2)開業に際して、「弁護士しか出来無いこと」、「弁護士でなくても出来ること」を分類して、
全部自分がやらなければならないと考えず、事務局に任せられることは任せる。
[メモ]
自分がやった方が早い病は早く治したいもんですね。
(3)「何か変だ」と思った場合は受任しない。
事件が欲しいという一心で受任すると痛い目に合う。
[メモ]
人材の採用についても同じことが言えますね。。。
(4)特に感情的になっている個人の依頼人が抱えている訴訟のイメージは、
訴訟は「正義」を示す場であり、「相手を懲らしめる場」というものが多い。
一方、弁護士の認識は、「権利が認められるかどうかを判断する場」、
「一つの解決手段」というものであり、双方の認識に差があることに留意すべき。
(5)ミスを隠さない。ミスをした際の正直な対応で信頼感が増すこともある。
(6)連絡されすぎで怒る依頼者はほとんどいないが、連絡が少なくて怒る依頼者は多い。
[メモ]
進捗が無くて連絡しないでいると、さらに連絡し難い感じになってくるので、
1週間に一回とか期間を決めて、必ず定期的に報告・連絡するようにしたいもんですね。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
マンガでわかる 知的財産の新常識 (スッキリわかる!)
(佐藤大和氏、松田有加氏、松井貴法氏著作)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい
(正田 圭氏著作)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
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