(中国)ライセンス契約上の達成目標を契約上、明確に定めるべし 他

1.中国への技術ライセンス、技術譲渡の場合の売主の保証義務

今般は、前回UPした記事に引き続き、「中国ビジネス法体系 第2版(藤本 豪氏著作)」を読んで心に留まった事項を書きとめておこうと思います。

早速ですが、上記書籍のP89を以下に抜粋させて頂きます。


技術輸入契約における技術の供与者(ライセンサー、譲渡人等)には、以下の事柄が義務づけられている。

1.技術の供与者は、自己が権利者であることを保証しなければならない

2.技術の供与者は、被供与者が第三者から権利侵害の訴訟を提起されて供与者に
  通知した場合、その排除につき協力しなければならない

3.技術の供与者は、被供与者が当該技術を契約に従って使用することで第三者の権利を
  侵害した場合、責任を負う(したがって、免責の定めを置くことは出来無い。)

4.技術の供与者は、供与する技術が完全で、瑕疵がなく、有効であり、契約に定められた
  技術目標を達成できることを保証しなければならない。

上記4については、「契約に定められた技術目標を達成」できるものであったか否かを巡って紛争が生じやすい。技術の供与者としては、このような紛争リスクへの対処として、契約において、(i)技術目標を出来るだけ具体的に記載すると共に、(ii)一定の要件を満たした場合(たとえば、技術被供与者が当該技術を用いて試作した製品につき技術の供与者が検品や試験を実施し、合格証を発行した場合等)は契約に定められた技術目標が達成されたものとみなす旨を定めておくことが考えられる。



中国への技術ライセンスに限らず、特許権の譲渡やライセンスとは異なり、目に見えないノウハウや技術のライセンス契約では、「契約に定められた技術目標」、「ライセンス対象物」は何なのかを明確にしないと、後々、もめることになりますので、注意したいものですね。

特に、今後、日本では民法が改正されて、「瑕疵」が「契約不適合」という概念になる中、契約の目的とは何なのかより重要となりますので、取引毎に明確に定めておきたいものです。



2.個別ケースのご紹介+教訓

そういえば、以前、技術輸出入管理条例の上記保証義務規定が争点とはなっただけではありませんが、遭遇したケースとして、こんな事例がありました。


[ケース]
(1)当社が、取引先A社(日本法人)に某設備を販売する売買契約を締結。

(2)上記設備はA社の中国子会社に輸送・設置し、中国国内での製造に使用されることが
   前提となっていた為、当社が、当該設備を用いた某製造方法について、
   A社とA社の中国子会社に技術指導を行う契約を別途締結。

(3)上記契約に基づき設備を中国に輸送・設置後、当初想定した通りの製品が
   製造出来無い事態が発生。

(4)取引先A社側は、当初想定した通りの製品が出来無いのは、某設備に瑕疵があり、
   さらに、技術指導の仕方・内容にも問題があるが原因と主張して、
   設備の売買代金と技術指導料の支払を拒否。

(5)当方及び当方のサプライヤー(設備の製造者+技術指導の提供者)の主張としては、
   設備には瑕疵は無く、当方側としてはしっかり技術指導をしているものの、
   A社の中国子会社側に製造工程の管理者が不在で、また、スタッフのヤル気が
   足りないことが原因であり、現に、上記設備を用いて当方のサプライヤーが
   中国現地で製造した際には良品が出来ることを理由に、
   A社側の主張を拒絶するが、双方で見解の相違は埋まらず。。。



上記ケースの顛末は秘密ですが、上記ケースの教訓としては下記の3点です。


[教訓]
(1)技術指導契約(ライセンス契約)の目標達成基準をもっと明確に定めておけば良かった。

(2)「設備の売買」と「ライセンス契約」が何となく紐付く内容だったばかりに、
   設備代金の支払いを拒否する口実を与えてしまった。

   売主の立場としては、設備の検収条件をより明確に定め、さらに、瑕疵担保条項に
   売主の責任範囲・瑕疵担保期間をもっと制限しておけば良かった。

(3)当社は商社であり、「当社と当社のサプライヤー」、「当社と顧客(A社)」間の
  売買契約、技術指導契約の契約条項を同一内容(back to back)で締結していたので、
  問題無いと安心していたところがあった。

  しかし、販売先・ラインセンス供与先と契約上の問題が発生した場合、
  一義的に責任を問われるのは自社であること、サプライヤーに契約通りに
  権利行使してもスムーズに応じて貰えないリスクがあることを念頭に、極力、
  自社の責任が限定されるよう契約交渉すればよかった。





2.ラインセンス契約上の技術供与者側の責任限定方法

「中国法実務教本―進出から撤退まで(大江橋法律事務所 中国プラクティスグループ 編集」によると、「技術輸出入管理条例は、国務院が制定する行政法規に該当し、技術輸出入管理条例に定める目標達成の保証規定は強行規定の性質を持つので、保証義務を契約に定めつつ、保証の条件を合理的な範囲に限定する等の対応をとることが実務となっている」旨、解説されています。

また、「図解入門ビジネス中国ビジネス法務の基本がよ~くわかる本(遠藤 誠氏著作、孫 彦氏著作)によると、保証条件の限定の仕方として、下記のような内容を契約に定める方法が実務上、取られている旨、解説されていました。

正直、日中間のライセンス契約にはあまり関与したくはありませんが、ドラフト・審査しなければならない場合には、上記を念頭にして対応したいと思います。


 [限定方法(例)]
 (1)「契約締結時点において」、第三者から権利侵害の請求を受けていないことを保証する。

 (2)ライセンスした技術が、「ライセンサーが製品製造の為に日本国内で使用しているものと
   同一条件で用いられる場合に限定して」
、同様の効果を生じることを保証する。

 (3)ライセンサーが受領したロイヤルティ額の範囲内で保証責任を負う。



change china hou taikei

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
弁護士 転ばぬ先の経営失敗談(北 周士氏著作)

[本書で心に留まった考え方等]
私は弁護士でも無く、独立・開業を予定しているわけでもありませんが、
普段の仕事に活かせる箇所もあるかと思い、本書を読んでみました。

(1)案件を引き継ぐ場合は、現時点で取っている選択肢・現時点の争点だけでなく、
  これまで選択しなかった選択肢、選択しなかった理由、過去の争点、
  思考についても引き継ぐべき。思考の連続性を意識して引き続く必要あり。

(2)開業に際して、「弁護士しか出来無いこと」、「弁護士でなくても出来ること」を分類して、
  全部自分がやらなければならないと考えず、事務局に任せられることは任せる。

  [メモ]
  自分がやった方が早い病は早く治したいもんですね。

(3)「何か変だ」と思った場合は受任しない。
   事件が欲しいという一心で受任すると痛い目に合う。

  [メモ]
  人材の採用についても同じことが言えますね。。。

(4)特に感情的になっている個人の依頼人が抱えている訴訟のイメージは、
  訴訟は「正義」を示す場であり、「相手を懲らしめる場」というものが多い。

  一方、弁護士の認識は、「権利が認められるかどうかを判断する場」、
  「一つの解決手段」というものであり、双方の認識に差があることに留意すべき。

(5)ミスを隠さない。ミスをした際の正直な対応で信頼感が増すこともある。

(6)連絡されすぎで怒る依頼者はほとんどいないが、連絡が少なくて怒る依頼者は多い。

  [メモ]
  進捗が無くて連絡しないでいると、さらに連絡し難い感じになってくるので、
  1週間に一回とか期間を決めて、必ず定期的に報告・連絡するようにしたいもんですね。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)
マンガでわかる 知的財産の新常識 (スッキリわかる!)
(佐藤大和氏、松田有加氏、松井貴法氏著作)
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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)
ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい
(正田 圭氏著作)
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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
そのまま使える経理&会計のためのExcel入門(井ノ上 陽一氏著作)
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中国法人同士の仲裁合意では、中国外の国の仲裁機関は選択不可

今般は、「中国ビジネス法体系 第2版(藤本 豪氏著作)」を読んでみました。

上記書籍を読んで心に留まったことが多々ありましたので、計2回に分けて本ブログに書きとめておこうと思います。
今回は、中国法人間の契約における仲裁合意について書いてみます。

早速ですが、上記書籍のP611を以下に抜粋させて頂きます。

1.中国法人同士の契約の仲裁合意では、海外の仲裁機関は選択出来無い


(c)国内契約に関する国外の仲裁
  中国国内の契約(両当事者とも中国法人である場合)について中国以外の国・地域(香港を含む)における
  仲裁機関での仲裁を選択できるかについては、法律上不明確である。

  この点、中国の裁判所は現在のところ、そのような仲裁の裁決を中国国内で執行することはできないと
  解しているようである122。

  中国国内の契約については、執行可能な相手方の財産が中国国外にある等といった特殊な場合を除き、
  中国以外の国・地域(香港を含む)の仲裁機関を選択しないようにするのが無難である。

(脚注122)
再考人民法院民事審判第四庭「渉外商事海事審判実務問題解答(一)」第83項参照



上記の通り、中国本土内の当事者同士の契約では、中国以外の国・地域における仲裁機関を利用した仲裁合意をした場合、執行不能という問題が発生しますので注意が必要です。



2.中国法人同士の契約の準拠法では、中国法が強制適用される

本書には記載はありませんでしたが、準拠法についても、中国本土内の当事者同士の契約では、準拠法は中国法が強制されるため、例えば、日本法を選択しても無効となります。

なお、中国契約法 第126条により、渉外契約であれば、準拠法を自由に選択出来ます。ただし、外資系企業であっても中国法人間の契約であれば「渉外契約」とはいえず、以下の「民事訴訟法の適用に関する若干問題についての意見」第304条に記載の「渉外契約」に該当しなければ、中国法人間の契約となります。

  [渉外契約の定義]
  (a)当事者の一方又は双方が外国人、無国籍人、外国企業もしくは組織
  (b)当事者間の民事法律関係の設立、変更、終了の法的事実が外国で発生
  (c)訴訟目的物が外国にある民事案件を渉外民事案件とする。



3.以前、遭遇したケース(1)

以前、当社の中国現地法人が、日系の取引先から提示された基本契約書に、「準拠法」は「日本法」、「仲裁合意条項」には仲裁機関を「日本商事仲裁機関」と定めているケースがありました。

中国法人同士の契約で上記内容はいかがなものかということで、変更依頼をしたものの、先方のグループ統一フォーマットで、日本の親会社が変更を認めないとか何とか言って変更してくれませんでした。

上記は、当方が売主の基本契約書で、売主である当社の権利で定められているのは代金の受領債権くらいなもので、大手日系の顧客の為、債権回収リスクは少ない中、品質保証責任等、当社の義務の方が多数定められていた為、仲裁判決で当方が敗訴しても執行不能になるからよいかと、最終的には原文通りで締結した記憶があります。



4.以前、遭遇したケース(2)

そういえば、少し話は変わりますが、日本法人の取引先と当社の中国現地法人間の秘密保持契約書で、先方から提示されたフォーマットに、「紛争の解決方法」が「日本での裁判」と定められているケースがありました。

上記ケースでは、当方は秘密情報を受領するだけで、当方から先方に秘密情報を開示することは想定されていなかったので、契約違反するとしたら当方しか無い中、仮に当方の中国現地法人が上記契約に違反して裁判を提起されて敗訴した場合でも、日本の裁判所の判決に基づいて中国では執行されることは無いから、上記日本法人の取引先は泣き寝入りをするしかない、ということで、あえて仲裁条項への変更は提案せずに締結したこともありましたね ( ´,_ゝ`)

実際、上記ケースで訴訟に発展した場合、どうなっていたんでしょうね~。
執行出来るものならしてみろとか言っちゃってたんでしょうかね ( ´,_ゝ`)

ただ、上記訴訟が、日本法人の取引先が当社の中国現地法人に対して賠償請求するような係争案件だった場合、上記日本での判決に基づいて日本での執行は可能なので、当社の中国法人が親会社である当社に対して売掛債権を有していた場合、当該売掛債権が差押されることはありえますね (,,゚д゚)



5.結論
いずれにしても、地理的有利さだけで安易に準拠法、紛争の解決方法を選択することなく、執行可能性、準拠法に関する強行法規を念頭にして契約審査・ドラフトしたいものですね。





[中国契約法 第126条]
渉外契約の当事者は契約紛争に適用する法律を選択することができる。但し、法律に別段の定めがあるときはこの限りではない。渉外契約の当事者が選択しないときは、契約と最も密接な関係のある国の法律を適用する。中華人民共和国で履行する中外合弁経営企業契約、中外合作経営企業契約、中外合作自然資源調査開発契約には中華人民共和国の法律を適用する。




「民事訴訟法の適用に関する若干問題についての意見」
(最高人民法院審判委員会1992 年7 月14 日制定,同日公布,同日施行)

第18 渉外民事訴訟手続の特別規定
第304条 当事者の一方又は双方が外国人、無国籍人、外国企業もしくは組織、あるいは当事者間の民事法律関係の設立、変更、終了の法的事実が外国で発生、あるいは訴訟目的物が外国にある民事案件を渉外民事案件とする。



[その他、本書で参考になった内容等]
・中国では、債権が二重に譲渡された場合、債権譲渡契約の締結時期が早かった
 譲受人が優先される。日本のように対抗力を備えた通知という概念は無い。

・無断録音は、他人のプライバシーや商業秘密、国家機密を侵害しない場合には
 証拠として使用可能と一般的に解されている。
          ↓
 契約交渉をICレコーダーで録音した場合は、証拠に使えそう。

・中国の訴訟は、日本の訴訟と比較して、口頭主義の要素が強い。

・中国の民事訴訟法(第125条2項)上、答弁書の提出は義務ではない。

[以下、中国の民事訴訟法 第125条2項]
2.被告が答弁書を提出しない場合にも、人民法院の審理に影響を及ぼすことはない。



・中国では、リバースエンジニアリングによって得た情報は基本的には
 自由に使用することができる。不正競争防止法における「商業秘密」の
 侵害に該当しないとされている。
 (「不正競争民事案件の審理の法適用についての若干問題に関する解釈」第12条)

・請求権競合
 中国法上も債務不履行責任と不法行為責任の並存(請求権競合)が
 認められているが、訴訟を提起する時点で、いずれかを選択する必要がある。
 民事訴訟の訴えでは、客観的選択的併合は認められていない。

・違約金の金額が実際の損害額の130%より高い場合、違約金の金額が
 実際の損害よりも著しく高いとして無効となる。
 (「契約法の適用の若干問題に関する解釈(二)」第29条2項)

  [個人的メモ]
  個人的な経験上、上記解釈に該当して違約金の定めが無効とされたケースも
  ありますが、130%を超えていても不当とは認定されず、契約書通りの
  遅延損害金の利率が認定されたケースもありましたので、
  ケースバイケースなんでしょうね。

  以前、130%を超えた損害賠償金の利率を裁判で認定されて、また、
  弁護士費用+請求金額を大きく超える実勢価格のある抵当権を当方が
  設定していた中、強制執行・抵当権の実行をさせないように、
  時間稼ぎ作戦をしてきた取引先がいました。

  相手方が時間稼ぎをすればするほど、遅延損害金がどんどん膨らんでいく状態で、
  銀行金利が雀の涙である中、ある意味良い金融商品を手にして
  ウハウハな状態だったことがあります(゚∀゚)
  遅延損害金のことが頭になかったのでしょうか。以上、蛇足でした。



・増値税専用発票は税務局から貸与されたシステムを用いて発行される。
 発行内容は全て税務局によってオンラインで捕捉、把握されている。


  [個人的メモ]
  中国のサプライヤーの中には、モノを出荷後、増値税専用発票を発行すると
  売上を計上しなければならず、支払うべき税金が増加するので、なかなか
  増値税専用発票を発行してくれないサプライヤーもいます。

  「自社が発行した増値税専用発票の額」から「現実に受領した増値税専用発票」の
  差額を納税する必要があるので、サプライヤーから増値税専用発票を貰えないと
  増値税の負担額が増加するので、注意が必要ですね。



・不動産に抵当権を設定する場合、建物とその敷地の土地使用権の両方に抵当権を
 設定する必要があり、片方のみ設定した場合は両方に設定したものとみなされる。
 (「物件法」第182条)

・中国でも売掛金について質権を設定することは出来るが、日本法と異なり、債権者による
 直接取りたてが認められていない為、担保としての実効性は不十分。(流質契約の禁止)

・中国では「事情変更の原則」が明文により認められている。
 (最高人民訪院の司法解釈)

・中国では粗悪な模倣品が出回っていることもあり、中国内でPLのクレームを受けた場合は、
 本当に自社が納入した製品かどうか、事実確認をした方が良い。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込
(オードリー 若林 正恭さん著作)

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量産後、金型を預けっぱなしにすることは下請法違法

1.金型の預けっぱなしは下請法違法

下請法上、量産終了後に、下請事業者に金型を無償で保管委託(要は預けっぱなし)にした場合、「不当な経済上の利益の提供要請」に該当して違法となります。

妥当な保管料を支払えば良いようですが、妥当な保管料をどう算定するのか、と言う問題が残ります。

また、「量産終了後」と「サービスパーツの取引開始」の解釈・境目をどう考えるのかが、これまた難しいところですね。



2.金型の取引類型

商社である当社は、下請事業者(X社)に金型の製造を委託するも、当該金型は他の製造業者(Y社)に預けて、量産品については金型の製造委託先ではないY社に委託する、というパターンもあります。

しかし、多くの場合、顧客向け量産製品の製造を下請事業者に再委託する上で必要となる金型を、当該下請事業者に製造委託し、製造された後の金型は下請事業者に貸与してそのまま製造に使用させる、というパターンがほとんどです。

さらに、上記パターンは、下記の2つのパターンに分類されます。

(1)顧客から金型の製造委託を受け、当該金型を下請事業者に再委託するパターン

  [例:商流(金型に関する注文書の流れ)]
   顧客(A社) → 当社(商社) → 下請事業者(B社)

  ①A社の当社に対する発注単価:120万円/1金型
  ②当社のB社に対する発注単価:100万円/1金型

  [例:商流(金型を使って製造された量産品に関する注文書の流れ)]
   顧客(A社) → 当社(商社) → 下請事業者(B社)

  ①A社の当社に対する発注単価:1,100円/個
  ②当社のB社に対する発注単価:1,000円/個

(2)顧客としては、金型の資産管理をしたく無いが、金型の製造費用は負担する、
  ということで、当社は顧客から金型の製造委託を受けず、以下の通り、金型を使って製造された
  製品の取引単価に、金型代金相当額を上乗せして顧客に販売するパターン


  [商流(金型に関する注文書の流れ)]
  当社(商社) → 下請事業者(B社)

  当社のB社に対する発注単価:100万円/1金型

  [商流(金型を使って製造された量産品に関する注文書の流れ)]
   顧客(A社) → 当社(商社) → 下請事業者(B社)

  ※想定量産取引総数:10,000個
   (金型代)100万円/10,000個=100円/個
   A社に対する量産品の「取引単価/個」に100円を上乗せして販売

  ①A社の当社に対する発注単価:
    1,100円(本来の販売単価)+100円(金型分)=1,200円/個
  ②当社のB社に対する発注単価:1,000円/個



3.留意点

上記ケースでいうと、顧客(A)と下請事業者(B社)が直接、金型の貸し借りをしてくれれば、間に挟まれている商社である当社として管理責任も負わなくて一番良いのですが、通常、上記ケースの場合、当社が顧客(A社)から金型の貸与を受けて、下請事業者(B社)に転貸するケースがほとんどです。

なお、上記2.(1)のケースでも、量産が終了した後、顧客(A社)に金型の回収・廃棄を申請しても、「将来、製品を発注するかもしれないから、まだ廃棄出来ない」と言って、引き取ってくれないケースも多々あります。

また、上記2.(2)のケースの場合はなおさら、顧客は、金型を自社の資産として認識していない為、量産が終了したとしても、「金型を回収・廃棄する立場にない」、とか何とか言って回収してくれないケースもあります。

そこで、上記2.(2)のケースの場合は特に、量産が開始する前に、下請事業者から金型を回収して廃棄する費用を見積もり、当該費用相当額を製品の販売単価に上乗せして顧客から回収するなり、量産終了後の回収・廃棄費用負担について事前に合意しておかないと、やむを得ず、上記費用を自社の単独負担で処理せざるを得ない事態となり得るので、留意が必要ですね。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法 単行本(田村耕太郎氏著作)

[本書で心に留まった内容等]
本書P68抜粋
「アホと戦って、たとえ表面的にでも論破し、恥をかかせすっきりしたとしても、それがかえって相手に強烈な反撃に出る動機を与え、返り討ちにあることもある。その結果、気分的にすっきりすることよりもはるかに大事な自分の目的が達成できないという事態に陥る。」

喧嘩して友情が深まるのはドラマや漫画の世界だけ

自分でコントロールできるものに力とエネルギーを集中すべき

他人の気持ちはコントロール出来ない

人生はそもそも理不尽なもの

「腐る」というのは人生の最大の無駄

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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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