(中国の訴訟)「結審率」が裁判官の給与に影響を与えることに留意して判断すべし 他
(1)(中国の訴訟)「結審率」が裁判官の給与に影響を与えることに留意すべし
遅ればせながら、Business Law Journal(BLJ)(2019年2月号)に掲載されていた「中国における債権回収 第3回 訴訟・仲裁(野村高志 弁護士、志賀正帥 弁護士 著作)」という記事について心に留まったので、書き留めておきたいと思います。
早速ですが、参考になった箇所を以下の通り抜粋させて頂きます。
以前、私の所属会社の中国子会社が某中国企業と訴訟をしていた際、裁判官の都合(休暇、病気、多忙による手続遅延等)で訴訟の進行が遅延しているのに、法定の審理期限(原則、第一審は6ヶ月、第二審は3ヵ月)が経過した頃、
「このまま審理を進めても当方に不利な展開となり、判決が出る可能性が高いので、早く和解した方が良いのでは。」
「裁判所内で本案件が法定の審理期限内で結審していないことが問題視されており、担当裁判官としては上から早く裁判を終わらせるようプレッシャーを掛けられて困っている。矛を収めては貰えないでしょうか。」
みたいなことを裁判官から言われて、和解を強く迫られた経験がありました。
当方や当方弁護士としては、裁判官の上記見通しについては大いに異議があるところであり、裁判官の受けているプレッシャーなんか、当方としては知らんがなというところですが、一概に無視することは出来無いのが難しいところです。
裁判官が自分の評価への影響を考えて、無理やり和解させようとブラフを掛けてきているのか、もしくは、徹底的に争う姿勢を見せた場合、本当に裁判官の言う通り当方に不利な展開となるのかは分かりませんでしたが、上記ケースでは総合的に考えて、早期に解決する道を選択しました。
中国で裁判を行う場合は、裁判官に上記プレッシャーが掛っていることを念頭に判断した方が良いですね。
(2)中国の裁判官は証拠の真偽性について性悪説
以前、私が所属している会社の中国子会社が某中国企業から売掛金を回収することを目的として裁判を提起した際、当方が裁判時に証拠として提出した、裁判前に相手方から入手した「債権残高確認書」について、先方から偽造の主張があり、印鑑鑑定の申立てを受けて鑑定手続が進められたケースがあります。
時間稼ぎの為とはいえ、どの口が言っているんだと思いましたが、申立てが出た以上は裁判官も受理するしかないのでしょう。結局、本物と認定されましたが、「債権残高確認書」を代表者の面前でサイン・捺印を受けて受領するのではなく、担当社員を介して原本を受領したことが、偽造したと主張する余地を相手方に与えた部分もありました。
その為、全てにおいて以下のように対応出来無いとは思いますが、中国における裁判で主張する際のエビデンスとなり得る書面を紛争の相手方と取り交す場合は、極力、面前で受領したり、(双方サイン済の)議事録に受領した事実を残す等、証拠能力のUPに向けて対応したいものですね。
[その他、上記記事で参考になった内容等]
中国の訴訟実務における訴訟チェーンの存在

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
勘定科目別 仕訳処理ハンドブック (平成27年11月改訂)
(田村 雅俊氏、鈴木 義則氏、佐藤 昭雄氏、牧村 耕一氏著作)
[本書で参考になった内容等]
・保険料は前払いされる場合が多いが、1年分の保険料であれば、継続処理することを前提に、支払い時の損金にすることも認められている。
・免税と非課税の売上は消費税が課されない点では同じであるが、非課税はその売上に対する課税仕入れについて仕入税額控除が出来無いのに対して、免税はその売上に対する課税仕入れについて税額控除できる点が異なる。
・法人と雇用関係にある執行役員は、原則、法人税法上の役員には該当しない。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法
(戸塚 隆将氏著作)
[本書で参考になった内容等]
著者は、仕事の帰り道にオフィス近くのカフェに立ち寄って英語の学習をすることで、仕事モードのまま英語の学習が出来るのでオススメと、英語学習の時間を確保する方法を解説されていました。
私も上記方法は利用しています。家に帰ると休憩モードに切り替わって自己学習する気が失せてしまい、YouTube等で無駄な時間を過ごしてしまいがちになりますが、英語の学習に限らず、仕事関係の本を読んで勉強したい場合は、帰りにカフェに立ち寄ることで、まだ集中力が切れていない状態で本と向き合えるので良いですね。

遅ればせながら、Business Law Journal(BLJ)(2019年2月号)に掲載されていた「中国における債権回収 第3回 訴訟・仲裁(野村高志 弁護士、志賀正帥 弁護士 著作)」という記事について心に留まったので、書き留めておきたいと思います。
早速ですが、参考になった箇所を以下の通り抜粋させて頂きます。
中国の裁判官には、審理期間の延長を申請することなく法定審理期間内に事件を処理することが求められており、これを数値化した「結審率」(=法定審理期間内に結審した事件の割合)が裁判官としての能力を評価するための重要な要素の一つになっている(注7)
(中略)
(注7)実際には、結審率は、その裁判官の翌年度のボーナスにも影響するといわれている。
以前、私の所属会社の中国子会社が某中国企業と訴訟をしていた際、裁判官の都合(休暇、病気、多忙による手続遅延等)で訴訟の進行が遅延しているのに、法定の審理期限(原則、第一審は6ヶ月、第二審は3ヵ月)が経過した頃、
「このまま審理を進めても当方に不利な展開となり、判決が出る可能性が高いので、早く和解した方が良いのでは。」
「裁判所内で本案件が法定の審理期限内で結審していないことが問題視されており、担当裁判官としては上から早く裁判を終わらせるようプレッシャーを掛けられて困っている。矛を収めては貰えないでしょうか。」
みたいなことを裁判官から言われて、和解を強く迫られた経験がありました。
当方や当方弁護士としては、裁判官の上記見通しについては大いに異議があるところであり、裁判官の受けているプレッシャーなんか、当方としては知らんがなというところですが、一概に無視することは出来無いのが難しいところです。
裁判官が自分の評価への影響を考えて、無理やり和解させようとブラフを掛けてきているのか、もしくは、徹底的に争う姿勢を見せた場合、本当に裁判官の言う通り当方に不利な展開となるのかは分かりませんでしたが、上記ケースでは総合的に考えて、早期に解決する道を選択しました。
中国で裁判を行う場合は、裁判官に上記プレッシャーが掛っていることを念頭に判断した方が良いですね。
(2)中国の裁判官は証拠の真偽性について性悪説
中国の裁判実務では、「証拠は捏造されるおそれがあるものである」という性悪説に立っており、直接証拠の原本の提出が極めて重視されると同時に、証拠の偽造の可能性の有無については厳しく吟味されるように感じられる。しかも、中国の民事訴訟における偽証に対しては偽証罪が成立しないため(注12)、偽証に対する抑止力が乏しいという背景もある。
その為、(中略)裁判官は証人の証言を証拠として採用することに極めて慎重
(中略)
(注12)我が国では、民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても偽証罪が成立し得るが、中国では刑事訴訟での偽証しな犯罪を構成しないとされている。
以前、私が所属している会社の中国子会社が某中国企業から売掛金を回収することを目的として裁判を提起した際、当方が裁判時に証拠として提出した、裁判前に相手方から入手した「債権残高確認書」について、先方から偽造の主張があり、印鑑鑑定の申立てを受けて鑑定手続が進められたケースがあります。
時間稼ぎの為とはいえ、どの口が言っているんだと思いましたが、申立てが出た以上は裁判官も受理するしかないのでしょう。結局、本物と認定されましたが、「債権残高確認書」を代表者の面前でサイン・捺印を受けて受領するのではなく、担当社員を介して原本を受領したことが、偽造したと主張する余地を相手方に与えた部分もありました。
その為、全てにおいて以下のように対応出来無いとは思いますが、中国における裁判で主張する際のエビデンスとなり得る書面を紛争の相手方と取り交す場合は、極力、面前で受領したり、(双方サイン済の)議事録に受領した事実を残す等、証拠能力のUPに向けて対応したいものですね。
[その他、上記記事で参考になった内容等]
中国の訴訟実務における訴訟チェーンの存在

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
勘定科目別 仕訳処理ハンドブック (平成27年11月改訂)
(田村 雅俊氏、鈴木 義則氏、佐藤 昭雄氏、牧村 耕一氏著作)
[本書で参考になった内容等]
・保険料は前払いされる場合が多いが、1年分の保険料であれば、継続処理することを前提に、支払い時の損金にすることも認められている。
・免税と非課税の売上は消費税が課されない点では同じであるが、非課税はその売上に対する課税仕入れについて仕入税額控除が出来無いのに対して、免税はその売上に対する課税仕入れについて税額控除できる点が異なる。
・法人と雇用関係にある執行役員は、原則、法人税法上の役員には該当しない。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法
(戸塚 隆将氏著作)
[本書で参考になった内容等]
著者は、仕事の帰り道にオフィス近くのカフェに立ち寄って英語の学習をすることで、仕事モードのまま英語の学習が出来るのでオススメと、英語学習の時間を確保する方法を解説されていました。
私も上記方法は利用しています。家に帰ると休憩モードに切り替わって自己学習する気が失せてしまい、YouTube等で無駄な時間を過ごしてしまいがちになりますが、英語の学習に限らず、仕事関係の本を読んで勉強したい場合は、帰りにカフェに立ち寄ることで、まだ集中力が切れていない状態で本と向き合えるので良いですね。

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