(1)知っていることを全部書かない、(2)かみあう議論をする為には、の2本です
今般は、「情報生産者になる」(上野 千鶴子氏著作)」という本を読んでみました。
本書は、「情報生産者になる」というタイトルより「論文の書き方」というタイトルにした方が、本書を読もうかどうか検討している読者候補者をミスリーディングしなくて良かったのではないかというくらい、主に論文の書き方について詳しく解説された本でした。ただ、論文に限らず、本書には普段の仕事等にも活かせる内容がいくつかあり参考になりました。
早速ですが、本書で個人的に心に留まった箇所を2箇所、抜粋させて頂きます。
(1)留意点:知っていることを全部書かない
私は十数年前、大学の学部生として某テーマについて卒業論文を書きましたが、まさに上記の読書レポートのような卒論を書いていたことを今、フラッシュバックのように思い出しました・・。
また、本来、論文を書く際には、自分オリジナルの問いを設けて、当該問いについて先行研究がどこまで進んでいるのかを検討する為に参考文献を読むはずが、初めに自分オリジナルの問いを設けることなく、興味のあるテーマに関する書籍、論文を色々と読み進めてしまった結果、そもそも論文の体(問い→主張→論証)をなしていない、色々な参考書籍の切り貼りしたような論文になっていましたが、卒業してくれました・・。日本の大学が卒業しやすくて良かったです。良かったのか?
なお、「知っていることを全部書かない」という留意点は、論文に限らず、仕事のレポート、企画書、メール文面等にも通じる留意点かと思います。
レポート、企画書、メール等を読まされる方としてはただでさえ自分の仕事で忙しいですから、冗長な文面は嫌われますし、低評価を受けることになります。また、自分が理解を得たい内容が相手にストレートに伝わらず、相手をミスリードすることにも繋がります。
その為、自己満足を満たすために調べたことをあれもこれもと入れたくなる気持ちをぐっと堪えて、贅肉をそぎ落とした文章となるよう留意したいものですね。
このブログが筋肉質な文章になっているかどうかは読者の方のご判断にお任せします・・。
もう一点、本書で個人的に心に留まった箇所を抜粋させて頂きます。
(2)留意点:かみあう議論をする為には
若手の後輩と話をしていますと、「これは〇〇ということかと思いますので、△△のように進めたいと思いますが、よろしいでしょうか?」というような相談を受けることがあります。(抽象的な書き方ですみません)
その際、「これは〇〇ということかと思います」という仮定を立てたのは良いとして、その仮定が合っているのかどうか、答えを持っていると思われる関係部門に確認したのかを質問すると、「すみません。確認してませんでした(´・ω・`)。これから確認します。」
という返答が返ってくるケースがちょいちょいあります。(抽象的な書き方ですみません)
確認するのが面倒だったり、特に情報を持っていそうな人が聞きづらい相手の場合、判断の前提を確認する手間を省きたくなる気持ちは分かりますが、目の前の情報を自分の思い込みに基づいて判断しないよう、確認が可能な事実はしっかり確認し、「事実」、「憶測」、「意見」は区別した上でホウレンソウして欲しいものですね。以上、自戒を込めて書き留めておきました。
[目次]
1 情報生産の前に
2 海図となる計画をつくる
3 理論も方法も使い方次第
4 情報を収集し分析する
5 アウトプットする
6 読者に届ける

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)
(冨山和彦氏、経営共創基盤 著作)
[本書で参考になった内容等]
「みかん」と「リンゴ」を一律の指標で比較してはいけない
「みかん」と「夏みかん」は明確に区別するのは意外と難しい

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
アメリカの高校生が読んでいる資産運用の教科書
(山岡 道男氏、浅野 忠克氏著作)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
司法通訳人という仕事:知られざる現場
(小林 裕子氏著作)
[本書で参考になった内容等]
・「最も厄介なのは、通訳人が法律用語であることさえ判断できず「近似値」で処理してしまう危険性」
・「法律用語をそのまま他の言語に置き換えるよりも、その法律用語が意味するところを被疑者・被告人に説明する通訳力が求められて」いる。
・法律の基本知識、公平性、倫理観が欠けている通訳人の善意が暴走することで、被告人の権利が守られないケースがある。
・著者は、司法通訳者は弁護人からも被疑者・被告人からも中立な立場を保つ必要があるという信念のもと、「私の口から出ていくコトバは私の意志とは無関係であるという意識」を持って司法通訳に従事されている。
・司法通訳人の役割は「法廷翻訳人」としての仕事が大半。
・刑事訴訟法が2018年に改正されて、今では全ての刑事事件について国選弁護人が付されることになっている。
・現在、日本では司法通訳人になる為の公式な資格認定制度は無く、通訳人の採用は裁判所の裁量に任されている。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
債権回収の切り札! 改正対応 最新 民事執行の法律と書式
(松岡 慶子氏著作)
[本書で参考になった内容等]
・債権差押命令が債務者に送付されて1週間が経過すれば、債権者は第三債務者から債権の取り立てができる。
・債権差押命令が出された際、陳述催告の申し立てがされている場合、債券差押命令と一緒に陳述の催告書も合わせて第三債務者に送達される。
・動産の仮差押の場合は動産を特定する必要はない。
・2019年5月に民事執行法の一部が改正されて、実効性のある手続きとして「財産開示手続き」が生まれ変わる。
具体的には、第三者から債務者の財産に関する情報を取得出来るようになる制度の新設等が挙げられる。2020年4月1日に施行予定。
・預金債権を仮差押する場合は、支店名まで記載する。
・仮差押債権目録では、各種代金債権については代金額まで特定することが要求される。
・債権差押命令の申し立て時において、債権の特定は、債権者と債務者、発生原因、発生年月日、金額などを表示して行う。

本書は、「情報生産者になる」というタイトルより「論文の書き方」というタイトルにした方が、本書を読もうかどうか検討している読者候補者をミスリーディングしなくて良かったのではないかというくらい、主に論文の書き方について詳しく解説された本でした。ただ、論文に限らず、本書には普段の仕事等にも活かせる内容がいくつかあり参考になりました。
早速ですが、本書で個人的に心に留まった箇所を2箇所、抜粋させて頂きます。
(1)留意点:知っていることを全部書かない
論文のお作法
(中略)
知っていることをすべて書かない
初学者の陥りやすい過ちは、知っていることをすべて書きたくなることです。
先行研究の検討から知りえたことをあれもこれも書きたい気持ちは分かりますし、そうすれば論文は長くなって一見労作に見えますが、どれほど書いてもたくさん読んだね、ごくろうさん、という読書レポートにしかなりません。
私は十数年前、大学の学部生として某テーマについて卒業論文を書きましたが、まさに上記の読書レポートのような卒論を書いていたことを今、フラッシュバックのように思い出しました・・。
また、本来、論文を書く際には、自分オリジナルの問いを設けて、当該問いについて先行研究がどこまで進んでいるのかを検討する為に参考文献を読むはずが、初めに自分オリジナルの問いを設けることなく、興味のあるテーマに関する書籍、論文を色々と読み進めてしまった結果、そもそも論文の体(問い→主張→論証)をなしていない、色々な参考書籍の切り貼りしたような論文になっていましたが、卒業してくれました・・。日本の大学が卒業しやすくて良かったです。良かったのか?
なお、「知っていることを全部書かない」という留意点は、論文に限らず、仕事のレポート、企画書、メール文面等にも通じる留意点かと思います。
レポート、企画書、メール等を読まされる方としてはただでさえ自分の仕事で忙しいですから、冗長な文面は嫌われますし、低評価を受けることになります。また、自分が理解を得たい内容が相手にストレートに伝わらず、相手をミスリードすることにも繋がります。
その為、自己満足を満たすために調べたことをあれもこれもと入れたくなる気持ちをぐっと堪えて、贅肉をそぎ落とした文章となるよう留意したいものですね。
このブログが筋肉質な文章になっているかどうかは読者の方のご判断にお任せします・・。
もう一点、本書で個人的に心に留まった箇所を抜粋させて頂きます。
(2)留意点:かみあう議論をする為には
かみあう議論をする
社会科学は経験科学です。信念や信条にもとづいて主張を整えるのではなく、検証可能な事実にもとづいて、根拠のある発見をしなければなりません。私はゼミで学生にしょっちゅう「あんたの信念は聞いていない」と言ってきました。「それは何を根拠に言うの?」とも、しつこいくらいに聞きました。根拠のない信念はただの思い込み。「偏見」ともいいます。
たとえゼミの議論が盛り上がっているように見えても、論証も反証もできないような各人の思い込みがやり取りされているだけでは、「いろいろあるよね」、「いろんな考えがあるよね」で終わり。結論に到達することはできません。こういうやり取りを議論argumentとは呼べません。
若手の後輩と話をしていますと、「これは〇〇ということかと思いますので、△△のように進めたいと思いますが、よろしいでしょうか?」というような相談を受けることがあります。(抽象的な書き方ですみません)
その際、「これは〇〇ということかと思います」という仮定を立てたのは良いとして、その仮定が合っているのかどうか、答えを持っていると思われる関係部門に確認したのかを質問すると、「すみません。確認してませんでした(´・ω・`)。これから確認します。」
という返答が返ってくるケースがちょいちょいあります。(抽象的な書き方ですみません)
確認するのが面倒だったり、特に情報を持っていそうな人が聞きづらい相手の場合、判断の前提を確認する手間を省きたくなる気持ちは分かりますが、目の前の情報を自分の思い込みに基づいて判断しないよう、確認が可能な事実はしっかり確認し、「事実」、「憶測」、「意見」は区別した上でホウレンソウして欲しいものですね。以上、自戒を込めて書き留めておきました。
[目次]
1 情報生産の前に
2 海図となる計画をつくる
3 理論も方法も使い方次第
4 情報を収集し分析する
5 アウトプットする
6 読者に届ける

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)
(冨山和彦氏、経営共創基盤 著作)
[本書で参考になった内容等]
「みかん」と「リンゴ」を一律の指標で比較してはいけない
「みかん」と「夏みかん」は明確に区別するのは意外と難しい

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
アメリカの高校生が読んでいる資産運用の教科書
(山岡 道男氏、浅野 忠克氏著作)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
司法通訳人という仕事:知られざる現場
(小林 裕子氏著作)
[本書で参考になった内容等]
・「最も厄介なのは、通訳人が法律用語であることさえ判断できず「近似値」で処理してしまう危険性」
・「法律用語をそのまま他の言語に置き換えるよりも、その法律用語が意味するところを被疑者・被告人に説明する通訳力が求められて」いる。
・法律の基本知識、公平性、倫理観が欠けている通訳人の善意が暴走することで、被告人の権利が守られないケースがある。
・著者は、司法通訳者は弁護人からも被疑者・被告人からも中立な立場を保つ必要があるという信念のもと、「私の口から出ていくコトバは私の意志とは無関係であるという意識」を持って司法通訳に従事されている。
・司法通訳人の役割は「法廷翻訳人」としての仕事が大半。
・刑事訴訟法が2018年に改正されて、今では全ての刑事事件について国選弁護人が付されることになっている。
・現在、日本では司法通訳人になる為の公式な資格認定制度は無く、通訳人の採用は裁判所の裁量に任されている。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
債権回収の切り札! 改正対応 最新 民事執行の法律と書式
(松岡 慶子氏著作)
[本書で参考になった内容等]
・債権差押命令が債務者に送付されて1週間が経過すれば、債権者は第三債務者から債権の取り立てができる。
・債権差押命令が出された際、陳述催告の申し立てがされている場合、債券差押命令と一緒に陳述の催告書も合わせて第三債務者に送達される。
・動産の仮差押の場合は動産を特定する必要はない。
・2019年5月に民事執行法の一部が改正されて、実効性のある手続きとして「財産開示手続き」が生まれ変わる。
具体的には、第三者から債務者の財産に関する情報を取得出来るようになる制度の新設等が挙げられる。2020年4月1日に施行予定。
[hitorihoumuメモ]
「財産開示手続き」の改正内容の詳細を要確認
・預金債権を仮差押する場合は、支店名まで記載する。
・仮差押債権目録では、各種代金債権については代金額まで特定することが要求される。
・債権差押命令の申し立て時において、債権の特定は、債権者と債務者、発生原因、発生年月日、金額などを表示して行う。
[hitorihoumuメモ]
債務者と第三債務者間の取引について、第三者である差押・仮差押申立人は第三者となりますので、詳細な取引契約内容を把握していることは通常、ありえません。そのような中、申立時にどこまで対象債権を特定すれば良いのか個人的に非常に関心があり、その答えが知りたくて本書を手に取ったようなところがありましたが、本書に詳細な解説はありませんでした・・。
上記については今後の課題として、他書をあたってみたいと思います。

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