税務調査では、国の税収が減るか、税金発生のタイミングが遅れるケースしか指摘されることは本当にないのか?

1.第二四半期の業務がようやく落ち着いてきました・・。

今月は、第二四半期の決算対応やら各種役員会議資料の作成に加えて、現在では私が一部門の責任者ということもあり、10名程の部員の人事評価、下期目標設定とその後の評価面談等、色々とやることが多くて忙しかったですね orz

最近は、在宅勤務で人が少ないので、担当者がオフィスにいない場合は、営業部門から「ちょっといいですか?」というタイプの細かい相談にも対応しないといけなかったりで、自分の仕事に集中が出来ない状態でした。(ちなみに、私は管理者ということと会社にいた方が何かと効率がいいので在宅はしていません。)

また、部員を管理する立場としては、部員が在宅していると、どれだけパツパツでやっているのか、余裕で寝っ転がってやっているのか、その勤務状況がいまいち分からないし、部内のコミュニケーションも不足がちになって、「自分は自分の仕事しかしません、後は知りません。」というようなスタンスの人がそんな気質を平常時以上に強く出して来る人もいて、ギクシャクしてくる弊害も出てきています。これは私のマネジメントの問題かもしれませんが・・。

また、在宅すると事務効率が落ちてくるので、在勤の日はその分、遅くまで残業する人も出て来ている状態です。

最大週3日間は在宅を可能というルールであり、3日間在宅しなさいというルールではないのですが、「在宅するのは権利」と考える人がほとんどの中、「残業するのであれば在宅しないで出てきて仕事をしなさい」と言えないところがまだ辛いですね。「感染したらどうするんですか?」という質問への回答を持ち合わせていません。

人を管理する立場になった私としては、感染リスクはあるかもしれないけど、早く在宅勤務制度なんて無くなって欲し(以下、自粛)。



2.人を評価することの難しさを改めて再認識させられました in 人事評価シーズン

しかし、話は変わりますが、人事評価において「評価する側」の立場というのを今回、初めて携わりましたが、人を評価するというのはなかなか難しいですね。部員間のバランスも考えないといけないし、私の好き嫌いは極力、排除しないといけないし、部員の自己評価と私の評価が大きく乖離している場合もありますし(自己評価の方が高い場合は特に・・)、決算でクソ忙しい中での評価対応は大変でしたが、いい経験になりました。

今期上期の期中から責任者になりましたので、上期の目標設定には深く関与していませんでしたが、下期では、個々人の目標設定にも深く関与して内容を把握出来ていますので、下期は部員が具体的な目標を達成出来るようにマネジメントしていきたいと思います。

といっても、私は強力なリーダーシップを発揮して部を有るべき方向に引っ張っているというようなタイプでもなく、そんなスキルもないので、「マネジメント」というほどのカッコいいことは出来ません。

ただ、一部の人に業務負荷が集中した結果、その方が自分の個別目標を達成出来なかった、というような不公平感が無いよう、地味ながら、部員間の業務のバランスを見ながら、適宜、調整を進めるタイプのマネジメントはしっかりやっていきたいと思います。



3.税務調査では、国の税収が減るか、税金発生のタイミングが遅れるケースしか指摘されることは本当にないのか?

社内で取引スキームや費用処理の方法を検討する場合、国の税収が減るか、税金発生のタイミングが遅れる方法の場合は税務リスクがあるとして方法の再検討をする場合があります。

一方で、国をまたいだ取引、費用処理の場合、子会社のある海外の税収が減るので海外の税務リスク(主に移転価格リスク)はあるが、日本の税収が増えるスキームの場合、少なくとも、日本の税務当局からは何も指摘は無いだろう、というような意見が出ることがありますし、私もそのような発言をすることもありますが、本当にそうなのか何気に疑問に思っていました。

上記に疑問に対して、最近読んだ、元国税調査官 大村大次郎氏が書いた「悪の社長学」という本に答えが解説がされていましたので、その箇所を抜粋させて頂きます。

なお、上記書籍の題名からするとトンデモ本の香りがプンプンと漂ってきますが、読んでみると内容はいたってまとも?な内容で、色々と参考になりました。

なお、私の所属会社は上場企業なので、上記書籍の内容を参考にして、グレーな方法をどんどん取り入れていこうという意味での参考になったということではありませんが・・。


税務署の仕事は、表向きは納税者の申告を正すものであり、もし粉飾決算などで、納税の納め過ぎが分かった場は、還付するのが筋です。しかし、税務署の実態としては、追徴税をより多く稼ぐことを調査官に課しているので、還付などはもってのほかなのです。
またもし、税務調査で粉飾決算が見つかったら、調査官はどうすると思いますか?
実は、黙殺するのです。

粉飾決算というのは違法行為ですが、国税調査官の管轄ではありません。先ほどもいいましたように、粉飾決算を指摘すると、税金還付が生じたりするので、調査官としては、手間ばかり増えて実りがないということになるのです。



ということで、上記書籍の内容が正しいとすれば、「粉飾決算というのは違法行為だが、国税調査官の管轄ではない」ということで、日本の税収が増える粉飾行為は、少なくとも税務調査で「払いすぎなので還付しなさい」と指摘を受けることはないみたいですね。

ただ、粉飾行為が税務調査の過程で発見された場合、「粉飾するような会社は、税金をちょろまかすこともやっているだろう」ということで、その後の税務調査がより厳しく行われることになるでしょうね・・。

また、解釈の相違では済まない粉飾であれば、上場企業ではないにしても検察庁に告発されるケースもあると思うので、税金が減る方向でなければおk、とは安易に考えない方がいいでしょうね。

[本書で他に参考になった内容]
急に裏金が必要となった場合、社長の報酬は期中に増加することは出来ないので(増額した場合、総額分は経費として認められず、法人税が課される)、一旦、社長へ貸し付けて裏金を捻出し、翌年、社長の報酬を引き上げて、社長報酬と貸付金を相殺する方法がある。
この手の処理をしている会社は結構多い。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
詳説 電子帳簿保存法 実務のポイント
(袖山 喜久造氏監修、SKJコンサルティング合同会社編集)

・社内の支払承認を得るために作成される書類は、国税関係書類には該当せず、社内文書となることから電帳法に係るスキャナ保存の申請は不要。添付されている請求書、領収書等の取引相手から受領した書類のみが申請対象となる。

・一般的なFAX装置は、スキャナ装置で読み取った画像情報を電話回線等により電磁的方式で相手方受信機器に送信し、相手方のプリンタ機器で紙の情報に出力される為、送信データ自体は受信側機器内に保存されないことが多い。この場合には、法第10条の但し書きに記載の通り、受領側は書類で保存する必要がある。

・企業が業務や文書の電子化を検討する場合、業務改革を行い業務フローを電子化して、内部統制の効果を期待するのか、データ化による書類の保存コストを削減するのか、さまざまな検討方法がある。電子化にあたって、どのような効果を期待するのか、明確な目的に基づいて検討すべき。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
図解入門ビジネス 最新キャッシュフロー計算書がよーくわかる本[第3版]
(金井正義氏著作)

[hitorihoumuコメント]
疲れた頭でもさらっと読めるのでついつい、この手の入門書に手が出てしまいますが、さすがにもうこの分野については入門書から得るものはほとんど無いので(失礼しました!)、もっと細かい内容を解説した本に移行していこうと思います。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
管理会計の基本 この1冊ですべてわかる
(千賀秀信氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
会計プロフェッショナルの英単語100――世界の一流企業はこう語る
(大津 広一氏、我妻 ゆみ氏著作)

[本書で参考になった内容]
「debit」、「credit」は動詞としても使える。

これまで子会社の方に仕訳方法を連絡する際は、

Could you record 〇〇 as 勘定科目名 next time?

としてメールしていましたが、今後は下記表現も使っていこうと思います。

debit ~ 借方に記帳する
credit ~ 貸方に記帳する

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
図解! 製造業の管理会計入門
(吉川 武文氏著作、王子経営研究会 編集)

[本書で参考になった内容]
・固定費の配賦は製造業の身勝手。現在のようにフル生産を前提に出来ない状況では、固定費配賦による値決めは経済社会の実態から乖離しており、プロダクトアウトの発想である。但し、売値の目安を知る目的で疑似的に配賦することはおk。

・優れた経営資源(新しい設備等)がありながら、古い原価計算方式により当該固定費が配賦されることを敬遠して、事業部にて当該資産がフルに活用されない事例は少なくない。
(固定費配賦を嫌い、償却が終了している古い設備を使いたがる事象発生)

現場が管理して責任を負うべきは変動費であり、現場では固定費は管理不能なものと考える。固定費を配賦してその費用に対する責任を現場に負わせると、現場は正しい判断が出来なくなる。

・生産を外注すべきか、内製べきかを検討する場合は、変動費と固定費(埋没原価を含む)を混ぜて考えてはならない。

・固定費の原則は配賦してバラバラにしないこと。

・固定費には根拠ある配賦基準が存在しない以上、固定費の配賦をして売上原価を算出しても、計算したつもりになっているだけ。
財務会計では、固定費は配布計算を通じて、①販管費、②売上原価、③期末在庫の間を逃げ回り、全貌が捉えられなくなっている。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
連結子会社の決算マニュアル
(新日本有限責任監査法人  編集)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
経営者のための 在庫「鮮度管理」のススメ
(髙井 重明氏著作)

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「契約書のファーストドラフトや修正案はどのような形式で相手方に提示すべきか」論争に関する一考察

1.ファーストドラフトの提示の仕方、修正案の提示の仕方論争について

私がフォローしているtwitterの法務クラスタでは、度々、契約書のファーストドラフトや修正案はどのような形式で相手方に提示すべきかについて、景気循環のように定期的に盛り上がりを見せることがあります。先般も好景気?の波が来ていました。

主な形式を以下の通り書いてみます。


[ファーストドラフトの提示方法(主な例)]
(1)Word
(2)Excel
(3)PDF(PDFといってもOCR化しやすいタイプのPDF、OCR化し難いスキャンして画像として認識されたPDF)
(4)製本・捺印済の原紙
(5)その他



[修正案の提示方法(主な例)]
(1)Wordの校閲機能やコメント機能を活用した修正案
(2)Wordの本文にコメントを追記
(3)修正案の覚書
(4)Excelで作成した原案と変更案の対比表
(5)その他


そんな中、ちょうど最近読み終わった「実務がわかる ハンドブック企業法務[改訂第2版]~2020年4月施行 民法改正等対応~ (吉川 達夫氏、飯田 浩司氏著作)」という本に、上記に該当する解説がありましたので、抜粋させて頂きます。

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下記は、上記書籍にて契約書のファーストドラフトの提示の仕方について解説された箇所の抜粋です。


自社ドラフトを相手方に提示する際、MS-wordフォーマットで「どうぞ検討してください」といった渡し方をすると、変更履歴が大量に含まれた新しいドラフトが示されることが少なくない。一方、自社ドラフトをPDFフォーマットで提示した場合、相手方は変更ドラフトを示しにくいといえる。このように、相手方にも法務部門があることに留意してドラフトを渡さなければならない。





2.先方が修正しにくい形式で提示することの効果

上記の通り、上記書籍ではMS-wordよりはPDFファイルで提示した方が、細かい修正案の提示を受けるリスクが減るので良いというような解説がされていました。

上記のような会社(PDFで提示された場合、容易に修正案を作成することが出来ず、細かい修正案を作るのが面倒なのでポイントを絞った修正案にしようと考える会社)もあるかと思いますので、全く効果が無いとは言えないと思います。

ただ、少なくとも法務部門がある会社や契約書の審査担当がいるような会社は、修正案の作成の面倒さでチェックが甘くなったり、自社から提示する修正案の粒度を下げるような会社は少ないのではないでしょうか?

私が約2年前まで法務担当をしていた時は、「こんな形式で提示してきて。めんどくさいな」と心の中で思うにしても、提示される契約書の形式に応じてチェックのスタンスを変えるようなことはありませんでした。

逆に、「必要以上に細かい修正案をお見舞いしてやんよ」ということで、いつも以上に細かくチェックしてやるという気持ちにさせられましたね。
  ・
  ・
いや、そんなことは無いですね。。。スタンスはいつもニュートラルです。

個人的には、上記のような小手先のテクニックで交渉を進めることはせず、交渉がスムーズに進むように、先方が修正案を提示し易い形式でファーストドラフトを提示する方が、スピーディーに交渉が進んでいいと思います。

修正案を作成しにくい形式で提示しますと、先方の修正案の作成作業に余計な時間が掛って、交渉に時間が掛り、ビジネスの開始に影響が出ますからね。

また、PDF形式の契約書を提示された会社によっては「PDFではなくWordファイルを送付して貰えませんか?」と依頼する会社もあるかと思いますので、ファイルのやり取りで余計なやり取りが発生することもスピーディーな締結への妨げとなります。

上記依頼を提示した後、「Wordファイルは社内のルールで提示出来ません」と回答してくる交渉先も過去ありましたが、どうかと思いましたね。

ということで、法務部門から異動して早い1年半が経過しており、今となっては上記論争とは無縁な立場にありますが、ついつい、企業法務系の書籍を見かけると手が出てしまう私が上記論争についてコメントさせて貰いました。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書) (日本語) 新書 – 2019/1/8
(齋藤 孝氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
見るポイント間違っていませんか!? 決算書の前期比較術
(山岡信一郎氏著作)

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[参考になった内容]
掛代金の中には代金を後払いする期間に応じた利息が含まれていると考えられている為、免除額は金利の性格を有するということで、会計上、売上割引は営業外費用、仕入割引は営業外収益として処理する。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
シンプルプレゼン
(ガー・レイノルズ氏著作)

[参考になった内容]
・「単純化」と「シンプル」は似て非なるもの

単純化は自分が楽をしたり、手抜きしたりするために行うこと。「単純化」は自分に意思が向けられている。

「シンプル」は余計な要素をそぎ落として要素を絞り込むこと。「シンプル」は相手への思いやりで成り立っている。

・シンプルなスライドを作る3つの原則

 (1)絞り込んで強調する
 (2)大事な数字を強調する
 (3)不要な装飾はできるだけ排除する

・プレゼンの際は、聴衆に見せるスライド、話す際に見るメモ、聴衆に私配布資料を分けて準備する

・プレゼンの質疑応答で予期せぬ質問を受け、どのように回答すれば良いか分からない場合は、意味不明なことを言って取り繕ったり、ごまかしたりするべきではない。その質問に対する答えは分からないと正直に答えてOK。上記のように考えると質疑応答に対する苦手感は無くなる。

人間は全てを完全に理解することは不可能であることを理解しておけばよい。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
プレゼンテーションZEN 第2版
(ガー・レイノルズ氏著作)

[参考になった内容]
・プレゼンターがスピーチの準備をする際は下記問いを念頭に置く

 (1)何が言いたいのか?
 (2)なぜそれが重要なのか?

プレゼンターにとって身近な題材の場合、それが重要なのかは明白であり、改めてアピールするまでもない気がしてしまうが、聴衆が知りたいのはまさにその点「我々(聴衆)にとってどんなかかわりがあるのか?」

・プレゼンテーションのコンテンツを練る際は、聴衆の身になって「だから何だ(それがどうした?)So What?」という問いを投げかけるべき。準備期間を通じて、常に自分にこうした質問を問いかける。

・弁解の言葉でスピーチを始めてはならない。
思い通りの準備が出来なかったことに対するプレゼンターの嘆きは聴衆にとってはどうでもいい話。逆に口に出すことで、聴衆の頭に準備不足だったことを刻み付けてしまい、実際は問題の無いプレゼンだった場合でも色眼鏡で見られてしまう。

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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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