判定区分(本人取引、代理人取引)の妥当性に関する監査法人のサンプリング検査があるようです・・ 他2本です
1.「本人取引」と「代理人取引」の判定指標はあくまで例示に過ぎない
ご承知の通り、収益認識基準では、取引内容を「本人取引」と「代理人取引」を判定区分して収益を計上する必要があります。
また、適用指針第47項では、上記判定をする際の指標として下記3つを例示しています。
ただ、最近読んだ「収益認識の会計実務(PwCあらた有限責任監査法人 (編集))」によるますと、
と解説されていました。
私は取引区分の考え方についてこれまで監査法人にたびたび相談しましたが、その度に
「一つの指標に基づいて判断するのではなく、総合的に判断しましょう。」
「形式基準ではなく、実質基準で判断しましょう。」
とアドバイスを貰いました。その通りかと思いますが、これがなかなか難しいですね。
社内では、基準が曖昧なので、同じような取引なのに人によって判定区分にブレが生じるから何とかして明確な基準を作って欲しい等と指摘を受けることが多々ありますが、会計基準に基づいて判定フローチャートを作成した当部門ではなく、企業会計基準委員会に直接、文句を言って欲しいものですね orz
2.判定区分(本人取引、代理人取引)の妥当性に関する監査法人のサンプリング検査があるようです・・
本会計基準が適用される会計年度では、どの会社もそうかと思いますが、判定区分が妥当かどうか、監査の一環として監査法人がサンプリング検査を行うようですね。
しかし、社内で総合的に考慮して判定した取引区分の正しさを監査法人に証明することの難しさを今から感じています・・。
監査期間中に判定結果の妥当性に疑義が出て、期限内に決算の開示出来ないか、開示出来るにしても、未修正の虚偽表示に該当して監査役等からお叱りを頂く事態にもなるかもしれないと思うと、今から不安で寝れません(((( ;゚Д゚)))
3.グループ会社を介して取引する場合の在庫リスクの有無
取引区分の判定について、社内で議論の出たトピックスを誰かの参考の為にご紹介します。今後、このような内容を随時、追加していこうと思います。なお、会社によって事情が異なるかと思いますので、1社の事例としてご覧頂ければと思います。
監査法人からは、「日本の親会社」と「その子会社」は別法人なので、グループ会社を一体として見るのではなく、個々の法人毎に取引区分を判定してくださいとアドバイスを貰っています。
その為、例えば、下記のようなグループ会社を介した取引商流において、
というように、同じ商流に介在するグループ会社同士で取引区分が異なる結果となっても問題なく、むしろ取引状況が異なる場合は別々の区分として判定すべきのようです。
なお、決算書を開示する際、連結決算書ではグループ会社間の取引は消去されるので、グループ会社向けの売上の判定区分は、連結上は無視しても問題ありません。しかし、本決算においては、日本単体の個別財務諸表上を開示する必要があり、個別PLではグループ会社向けの売上高も含めた売上高を開示する必要がある為、グループ会社向けの取引が「本人取引」と「代理人取引」のどちらに該当するのかは正確に判定する必要があります。
すでに上記作業をされている方は分かるかと思いますが、このグループ会社向けの取引区分を判定するのがこれまた難しいですねorz
日本の親会社の人と海外子会社の人が個別に判定作業行う場合は特に、判定結果のブレを無くすることの難しさが大きくなります。
判断を難しくしている理由の一つとして判定基準が曖昧ということがありますが、上記1で記載した3つの例示指標の内、下記「(2)在庫リスク」の解釈について取り上げてみたいと思います。先ほどと同じ下記商流を基に考えてみましょう。
当社では、取引区分の一次判定は営業部門や子会社が行う為、「こういう場合は一見、在庫リスクは無しに見えますが、在庫リスクが有りとして考えてください」というように、FAQに判断事例を追記して開示しています。
しかし、日々、判断に迷うケースが出てくるので、この基準への対応は走りながら考えて、時には軌道修正しながら対応しなければならないのがまた大変なところですね・・。
[その他本書で参考になった内容]
収益認識基準 第77項でいう「契約資産」と「顧客との契約から生じた債権」の違い
1.顧客との契約から生じた債権とは?
(勘定科目の表示例:売掛金、営業債権 等)
契約資産の内、対価に対する企業の権利が無条件のもの。つまり、当該対価を受け取る期限が到来する前に必要となる条件が時の経過のみであるものは「顧客との契約から生じた債権」として表示する。
2.「顧客との契約から生じた債権」には該当しない契約資産の例
(勘定科目の表示例:契約資産、工事未収入金 等)
モノ(X ※400円)とモノ(Y ※600円)を合わせて引き渡す契約をしている場合で、取り急ぎ、モノ(X)の引き渡しが完了したものの、モノ(Y)の引き渡しは別のタイミングとなる場合、「契約資産」勘定を使いつつ、別々に収益を認識する。
上記のように、時の経過以外の条件が付いた状態で収益を計上する場合は、一度、「契約資産」を用いて収益(売上高)を計上する。
・顧客との契約から生じる収益の損益計算書上の表示については、改正収益基準では具体的な表示の指針が示されておらず、適切な科目(たとえば、売上高、売上収益、営業収益等)をもって表示する(改正会計基準78-2項、改正適用指針104-2項)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール
(高橋 佑磨氏、片山 なつ氏著作)
[参考になった事項(1)]
・ワードで文字を大きくすると行ごとの間隔が広くなってしまい不格好になってしまうケースの解決方法
知っている方には今さら感があるかと思いますが、個人的にはこの方法を知れただけでも本書を読んだ価値がありました(^^;)
(1)Before(文字を大きくしたら間隔が広くなってしまった例)

(2)「1ページの行数を指定時に文字を行うグリッド線に合わせる(W)」のチェックを外し、「間隔」をお好みに調整

(3)After(行間がちょうど良くなった)

[参考になった事項(2)]
・余計な要素やノイズを減らすべし(ノイズは理解の邪魔をする)

ご承知の通り、収益認識基準では、取引内容を「本人取引」と「代理人取引」を判定区分して収益を計上する必要があります。
また、適用指針第47項では、上記判定をする際の指標として下記3つを例示しています。
(1)契約履行の主たる責任
(2)在庫リスク
(3)価格決定における裁量権
ただ、最近読んだ「収益認識の会計実務(PwCあらた有限責任監査法人 (編集))」によるますと、
これらの要件はあくまで例示であり、また、それぞれの指標について、重み付けは定められていません。そのため、企業は特定の財又はサービスの性質および契約条件を基礎として、それぞれの指標、ならびにその他考慮すべき事象および状況がないかを検討したうえで、総合的に判断する必要があります。
と解説されていました。
私は取引区分の考え方についてこれまで監査法人にたびたび相談しましたが、その度に
「一つの指標に基づいて判断するのではなく、総合的に判断しましょう。」
「形式基準ではなく、実質基準で判断しましょう。」
とアドバイスを貰いました。その通りかと思いますが、これがなかなか難しいですね。
社内では、基準が曖昧なので、同じような取引なのに人によって判定区分にブレが生じるから何とかして明確な基準を作って欲しい等と指摘を受けることが多々ありますが、会計基準に基づいて判定フローチャートを作成した当部門ではなく、企業会計基準委員会に直接、文句を言って欲しいものですね orz
2.判定区分(本人取引、代理人取引)の妥当性に関する監査法人のサンプリング検査があるようです・・
本会計基準が適用される会計年度では、どの会社もそうかと思いますが、判定区分が妥当かどうか、監査の一環として監査法人がサンプリング検査を行うようですね。
しかし、社内で総合的に考慮して判定した取引区分の正しさを監査法人に証明することの難しさを今から感じています・・。
監査期間中に判定結果の妥当性に疑義が出て、期限内に決算の開示出来ないか、開示出来るにしても、未修正の虚偽表示に該当して監査役等からお叱りを頂く事態にもなるかもしれないと思うと、今から不安で寝れません(((( ;゚Д゚)))
3.グループ会社を介して取引する場合の在庫リスクの有無
取引区分の判定について、社内で議論の出たトピックスを誰かの参考の為にご紹介します。今後、このような内容を随時、追加していこうと思います。なお、会社によって事情が異なるかと思いますので、1社の事例としてご覧頂ければと思います。
監査法人からは、「日本の親会社」と「その子会社」は別法人なので、グループ会社を一体として見るのではなく、個々の法人毎に取引区分を判定してくださいとアドバイスを貰っています。
その為、例えば、下記のようなグループ会社を介した取引商流において、
[商流]
サプライヤー → 親会社(A社) → 海外子会社(B社) → 顧客(X社)
「親会社(A社)の海外子会社(B社)向け取引」→「代理人取引」
「海外子会社(B社)の顧客(X社)向け取引」 →「本人取引」
というように、同じ商流に介在するグループ会社同士で取引区分が異なる結果となっても問題なく、むしろ取引状況が異なる場合は別々の区分として判定すべきのようです。
なお、決算書を開示する際、連結決算書ではグループ会社間の取引は消去されるので、グループ会社向けの売上の判定区分は、連結上は無視しても問題ありません。しかし、本決算においては、日本単体の個別財務諸表上を開示する必要があり、個別PLではグループ会社向けの売上高も含めた売上高を開示する必要がある為、グループ会社向けの取引が「本人取引」と「代理人取引」のどちらに該当するのかは正確に判定する必要があります。
すでに上記作業をされている方は分かるかと思いますが、このグループ会社向けの取引区分を判定するのがこれまた難しいですねorz
日本の親会社の人と海外子会社の人が個別に判定作業行う場合は特に、判定結果のブレを無くすることの難しさが大きくなります。
判断を難しくしている理由の一つとして判定基準が曖昧ということがありますが、上記1で記載した3つの例示指標の内、下記「(2)在庫リスク」の解釈について取り上げてみたいと思います。先ほどと同じ下記商流を基に考えてみましょう。
[商流]
サプライヤー → 親会社(A社) → 海外子会社(B社) → 顧客(X社)
[前提]
1.子会社(B社)は、顧客(X社)から3カ月先までのフォーキャスト(所要)を提示されて、
顧客(X社)の生産ラインが止まらないように、フォーキャストに基づいて在庫を
確保するよう要請を受けた。
但し、フォーキャストに基づく買取保証の合意は得られていない為、
在庫が残存した場合の在庫リスクは子会社(B社)が負担する。
2.海外子会社(B社)は、フォーキャストに基づいて親会社(A社)にモノを発注し、
親会社(A社)は当該発注に基づいてサプライヤーに発注する。
[考察]
親会社(A社)を見ると、子会社からの確定注文(Order)を受領しており、受注に紐づいて発注している為、在庫リスクは無いようにも見えます。
しかし、親会社(A社)と子会社(B社)は利益と損失を所定の割合で分配するよう取引価格を決めていて、在庫が残存した場合の損失も所定の割合で事後的に分配することにしている場合、親会社(A社)は、子会社からの確定注文に基づいて取引している場合でも、最終的には在庫リスクを負担しているようにも見えます。
[結論]
これもケースバイケースとなりますが、監査法人が言う「実質主義で判断しましょう」で考えると、親会社も在庫リスクを負担していることになります。
当社では、取引区分の一次判定は営業部門や子会社が行う為、「こういう場合は一見、在庫リスクは無しに見えますが、在庫リスクが有りとして考えてください」というように、FAQに判断事例を追記して開示しています。
しかし、日々、判断に迷うケースが出てくるので、この基準への対応は走りながら考えて、時には軌道修正しながら対応しなければならないのがまた大変なところですね・・。
[その他本書で参考になった内容]
収益認識基準 第77項
4.契約資産、契約負債及び顧客との契約から生じた債権
77. 顧客から対価を受け取る前又は対価を受け取る期限が到来する前に、財又はサービスを顧客に移転した場合は、収益を認識し、契約資産又は顧客との契約から生じた債権を貸借対照表に計上する。
本会計基準に定めのない契約資産の会計処理は、金融商品会計基準における債権の取扱いに準じて処理する。また、外貨建ての契約資産に係る外貨換算については、企業会計審議会「外貨建取引等会計処理基準」(以下「外貨建取引等会計処理基準」という。)の外貨建金銭債権債務の換算の取扱いに準じて処理する。
収益認識基準 第77項でいう「契約資産」と「顧客との契約から生じた債権」の違い
1.顧客との契約から生じた債権とは?
(勘定科目の表示例:売掛金、営業債権 等)
契約資産の内、対価に対する企業の権利が無条件のもの。つまり、当該対価を受け取る期限が到来する前に必要となる条件が時の経過のみであるものは「顧客との契約から生じた債権」として表示する。
2.「顧客との契約から生じた債権」には該当しない契約資産の例
(勘定科目の表示例:契約資産、工事未収入金 等)
モノ(X ※400円)とモノ(Y ※600円)を合わせて引き渡す契約をしている場合で、取り急ぎ、モノ(X)の引き渡しが完了したものの、モノ(Y)の引き渡しは別のタイミングとなる場合、「契約資産」勘定を使いつつ、別々に収益を認識する。
上記のように、時の経過以外の条件が付いた状態で収益を計上する場合は、一度、「契約資産」を用いて収益(売上高)を計上する。
(1)Xの引き渡し時の仕訳
契約資産 400 / 売上高 400
(2)Yの引き渡し時の仕訳
売掛金 1,000 / 契約資産 400
売上高 600
・顧客との契約から生じる収益の損益計算書上の表示については、改正収益基準では具体的な表示の指針が示されておらず、適切な科目(たとえば、売上高、売上収益、営業収益等)をもって表示する(改正会計基準78-2項、改正適用指針104-2項)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール
(高橋 佑磨氏、片山 なつ氏著作)
[参考になった事項(1)]
・ワードで文字を大きくすると行ごとの間隔が広くなってしまい不格好になってしまうケースの解決方法
知っている方には今さら感があるかと思いますが、個人的にはこの方法を知れただけでも本書を読んだ価値がありました(^^;)
(1)Before(文字を大きくしたら間隔が広くなってしまった例)

(2)「1ページの行数を指定時に文字を行うグリッド線に合わせる(W)」のチェックを外し、「間隔」をお好みに調整

(3)After(行間がちょうど良くなった)

[参考になった事項(2)]
・余計な要素やノイズを減らすべし(ノイズは理解の邪魔をする)

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