「注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計」を読んでみました。

1.「注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計」を読んでみました。

今般は、宮沢 賢治が書いた「注文の多い料理店」のテイストを盛り込んだ「注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計(金子裕子氏、植野和宏氏著作)」を読んでみました。

個人的には「注文の多い料理店」はこれまで読んだことがないが無いこともあり、「『注文の多い料理店』でなら楽しく収益認識基準を学べそうだ!」という感じでもなかったのですが、収益認識基準の勉強(の箸休め)と本ブログのネタにもなるかと思い、手に取って読んでみました。

ちなみに、収益認識基準を学ぶ上で「注文の多い料理店」に代わる良い題材(漫画、書籍、映画等)が他に無いのか色々と考えてみましたが、個人的にはなかなかパット思いつかないことを考えると、上記書籍をチョイスしてきた著者と編集者は大したものなのかもしれませんね(上から目線ですみません・・)。

なお、著作権は著者の死後70年存続することになりますが、宮沢賢治の死後70年を経過していていることも「注文の多い料理店」がチョイスされた理由なのかもしれません。

さて、本書の下記目次の通り、収益認識基準で押さえておくべき各論点はだいたい網羅されているなと感じました(上から目線ですみません・・)。



[目次]
第1章 レストラン山猫軒は、今夜も大繁盛!
     (レストラン山猫軒は大繁盛!でも売上は?
     取引価格に基づく収益の額の算定;キャッシュレスで売上減少?
     取引価格の算定 ほか)

第2章 イーハトーヴ・カレーはスーパーでも大人気!
     (リベートを支払う場合の売上は?
     変動対価;福神漬けで売上アップ!?本人と代理人の区分 ほか)

第3章 建設やソフトウェア関係の会社は大混乱?
     (契約に様々なサービスが入っているのは当たり前!
     契約の識別、履行義務の識別;契約にあるサービスごとに
     金額を分けるのは面倒!―取引価格の算定、取引価格の配分 ほか)

第4章 山猫クッキングスクールで丸儲け
     (せっかく書籍を販売したのに売上にはならないの?
     返品権付きの販売;クッキングスクールの入会金はいつ売上計上?
     返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払い ほか)

付録(収益認識会計基準の概要;収益認識会計基準と税務)



なお、同じような「〇〇で学ぶ」系パロディー本として昔、話題になった書籍「磯野家の相続税」と比較すると(例が古すぎる・・)、本書(注文の多い~)は「BOOKデータベース」で

「山猫たちの会話で適用シーンがイメージできる。要点スケッチで会計処理の重要ポイントがわかる。会計基準の解説と税務の取扱いで会計・税務の異同がわかる。設例の豊富な仕訳や図解で具体的な処理がみえる。」

と紹介されていますが、かわいいイラスト挿絵とちょっとした会話が各テーマの冒頭部分で書かれているものの、その後の解説部分は「注文の多い料理店」とは関係無く真面目な文章で展開されています。

その為、がっつり「注文の多い料理店」感を終始感じていたい方にはイメージと違う、ということになるでしょう。なお、個人的には、終始ストーリーで展開する解説本は正直読むのがキツいので、この緩急の大きさはちょうど良く、評価出来るなと感じました(上から目線ですみません・・)。



2.インコタームズの貿易条件では所有権の移転時期を定めていないのに・・。

本書では、山猫軒がレトルトカレーを輸出することになったということで、輸出の収益計上時期を学ぶという項目があり、そこで白猫先生が要点を解説した箇所が心に留まりましたので、抜粋させて頂きます。


白猫先生の要点スケッチ
輸出取引の貿易条件にはいくつかの種類があり、これにより費用負担や危険負担の時期も異なります。一般的な貿易条件であるFOB(本船甲板渡し)やCIF(運賃・保険料込み)の場合には、船積時に資産の所有権は買主に移転します。このため、船積時に売上を計上することになります。
(以下、省略)



これは良くある勘違いではありますが、インコタームズの貿易条件では危険負担と費用負担の範囲を定めているものの、所有権の移転時期を定めていません。

「注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計」を手に取る読者層を考えて、分かり易いようにシンプルな解説となるようあえて所有権が移転することにしたのかもしれません。ただ、いくら分かり易く学べるようにと言っても、間違った解説は宜しくないですね。

もし解説するとしたら以下のような内容をもっとくだいて記載する感じでしょうか。


一時点で充足される履行義務においては、会計基準第39項の通り、財又はサービスに対する支配が顧客に移転して履行義務が充足された一時点で収益を認識する必要がある。

支配が移転したことを示す例として会計基準第40項に下記の通り定められている。

(1)企業が顧客に提供した資産の対価を収受する現在の権利を有している
(2)顧客が資産の法的所有権を有している
(3)企業が顧客に物理的占有を移転している
(4)顧客が資産の所有に伴う重大なリスクと経済価値を享受している
(5)顧客が資産を検収している

インコタームズでは、所有権の移転時期は定めていないが、危険負担(リスク)の移転時期を定めている。その為、危険負担の時期にモノの支配が移転すると考えるのも一定の合理性がある為、インコタームズの危険負担の移転時期に売上を計上することは一般的に行われていると言える。



という感じで、貿易条件に基づいて売上計上をすることは妥当、という解説の流れであればより良かったなと感じました。



[本書で参考となった箇所]
消費税等においては、取引が本人に該当するか代理人に該当するかにかかわらず、実際に収受するまたは収受すべき対価の額によって課税売上および課税仕入の金額が計算される。
但し、仮受消費税と仮払い消費税を相殺すると、納付額は代理人として純額で収益を計上する場合と異なることはない。しかし、課税売上割合の計算等には違うが出る。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
企業価値評価【入門編】
(鈴木 一功氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
ルポ タックスヘイブン 秘密文書が暴く、税逃れのリアル
(朝日新聞ICIJ取材班著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
Q&A退職給付の会計実務 (現場の疑問に答える会計シリーズ)
(EY新日本有限責任監査法人 著作)

[本書で参考となった箇所]
・役員の退職慰労金は退職給付会計の対象にはならない。

・マイナス金利が退職給付債務の計算に与える影響
 割引率設定の際には、マイナスの利回りをそのまま使用する方法と
 利回りの下限として0を使用する方法のいずれも可能

・貸借対照表日前のデータを利用する「第1法」の調整金額の計算式

 貸借対照表日の退職給付債務
 =調整前の退職給付債務(1+割引率×n/12)
  +評価基準から翌1年間の勤務費用×n/12
  ×1/(1+割引率×≪12-n≫/12)-調整期間の給付支払額

 貸借対照表の翌期の勤務費用
 =評価基準日から翌1年間の勤務費用×(1+割引率×n/12)

 ※nは調整期間を表す

・税務上の退職給付費用の損金算入時期は、原則として従業員または企業年金への支払い時期となる
     ↓
 費用の発生時期と実際の支払い時期は必ずしも一致しない。
     ↓
 「税務上の損金算入時期」と「会計上の費用処理時期」は通常、異なり、
 税効果会計を適用することになる。

・退職給付に係る負債(資産)は、さまざまな要因で増減する。
 しかし、これらの項目は、連結キャッシュフロー計算書(間接法)の
 スタートである「税前利益」に含まれるか否か、また、キャッシュの動きと
 関連するか否かという点でそれぞれ異なる。
      ↓
 連結キャッシュ計算書上は、単純に連結BSの退職給付に係る負債(資産)の
 増減で調整することは出来ない。
 
※各項目の上記詳細はP137を参照

・退職給付に係る注記は、注記間や本表と注記の間で整合していることが求められる。
 上記つながりを説明した注記例はP158、159を参照

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
Q&A棚卸資産の会計実務 (現場の疑問に答える会計シリーズ)
(EY新日本有限責任監査法人 著作)

[本書で参考となった箇所]
固定資産や売買目的以外の有価証券の減損処理については切放し法に限定されているが、棚卸資産の簿価切り下げについては洗い替え法が認められている。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
反省記 ビル・ゲイツとともに成功をつかんだ僕が、ビジネスの“地獄"で学んだこと
(西 和彦氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
英文法の鬼100則
(時吉 秀弥氏著作)

[本書で参考となった箇所]
・「過去」→「今はもう現実ではない場所」→「距離がある場所」というイメージ

なので、Will you~?やCan you~?よりは、Would you~?やCould you ~?の方が 遠回しで丁寧と表現となる。

上記理由から現実から離れている仮定として仮定法過去では過去形を使う。

・この世に存在する「客観的で物理的な時間」と人間が時間をどう理解して文法に
 組み込んでいるのかは全く別の話。話し手の気持ちで文法は変わる。

・「of」は「全体から構成要素を一部取り出す」というイメージ(例:一切れのケーキ)
一方、「from」は「離れている、距離」というイメージ

  The desk is made of wood.
 (Woodから直接、机を取り出したような感じ)

  Paper is made from wood.
 (見た目が離れているという感じ。PaperとWoodの見た目の共通点がほぼなし)

・感情を表す動詞(suprise、excite、desappoint等)に「させる」系が多いのは、
 感情が発生する際には何かしらの原因があるはずで、例えば、驚く原因が無いのに
 自ら驚くことはない為、「させる」系(=受動態で表現する動詞)が多い。

・「昔は~したものだ」としみじみ思いだすなら「would」、
 「昔はそうだったけど、今は違う」という単純な過去を言いたい場合は「used to」

・「will」の「意思」には「今決めた」感があり、「be going to」の「意思」には「もう決まっていること」感がある。

・「must」の根っこは「絶対」

・「have to」の「しょうがない感」

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
IFRS会計学基本テキスト(第6版)
(橋本尚氏、山田善隆氏著作)

[本書で参考となった箇所]
・IFRSは原則主義を採用しており、企業は細かな箸の上げ下ろしまで口出しされる
ことなく、「すべての関連する事実と状況を勘案して総合的に判断が下される」
というのがIFRSの決まり文句。

・IFRSの範囲

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・IFRSの概念フレームワーク自体はIFRSを構成するものではなく、特定の取引または
 事象に関する基準を定めるものではない。

 概念フレームワークとIFRSが一致しない場合は、IFRSの規定が概念フレームワークに
 優先する(CF.SP 1.2)

・概念フレームワークにおいて「負債」とは「過去の事象の結果として
 経済的資源を移転する企業の現在の義務(present obligation)」をいう。

 現在の義務とは、企業がその履行を回避する実務上の能力を有しない
 (no practical ability to avoid)な義務または責任をいう。

・固定資産に関する再評価モデルは、固定資産の帳簿価額を定期的に公正価値へ
 引き直し(再評価)する方法をいう(IAS16.31)

 再評価によって固定資産の簿価が引き上げられる場合(評価差益の場合)には、
 当該評価差額は再評価剰余金としてその他の包括利益に計上する。
 
・有形固定資産(投資不動産)の日本基準とIFRSの相違点

 (1)IFRS  :原価モデルと公正価値モデルを選択適用する。
 (2)日本基準:原価モデルと同様の方式のみ。
         但し、賃貸等不動産の時価や関連損益の注記が求められる。

・IFRSでは、退職給付に係る数理計算上の差異について、その後の期間に純損益に
振り替える組換調整(リサイクル)は日本基準と異なる、禁止されている。

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「IFRS検定」はお値段以上なのか?

1.IFRS検定の受験を検討しました

最近、訳あってIFRS(国際会計基準)を解説した本を色々と読んで勉強していますが、どうせ勉強するのであれば具体的な目標があった方が勉強のやる気もUPするし、ついでに転職市場での価値もUPするかもしれないし(ただ、今のところ転職予定は無し)、社内でのプレゼンスもUPするかもしれないということで、IFRS検定という資格について調べてみました。



2.「IFRS検定」はお値段以上なのか?

本検定を主催しているICAEW (The Institute of Chartered Accountants in England and Wales/イングランド・ウェールズ勅許会計士協会)等、本検定の詳細は下記HPに解説されていますので気になる方はご覧ください。

https://www.ifrs-kentei.com/index.php

まずは気になる受験料ですが、受験料は


47,300円  ※早期割引価格:¥40,700(先着30名)


と、検定試験の割にかなり良いお値段設定となっています。ちょっと受験してみようかなという人には直ぐに手が出ない値段設定です。ICAEWに対するラインセンス料が高いのでしょうか?

なお、受験者のデータが以下の通り上記HPに掲載されていました。


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 ※出典:https://www.ifrs-kentei.com/index.php



直近の試験の合格率が55%とかなり高いですね。ちゃんと勉強すれば合格可能な試験なのでしょう。

ただ、個人的に気になるのは、上記公表データには受験者の年齢構成と平均点が記載されているだけで、受験者数、合格者数が記載されていないところです。

なお、IFRS検定と出題範囲が類似している検定試験の BATIC(国際会計検定)」がHPで公表している同試験の直近の受験者データは以下の通りとなっています。


IFRSkentei convert_20210504105500

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※出典:https://www.kentei.org/batic/data.html



おそらくBATICの方が知名度が高く、また、受験料が5,500円とIFRS検定よりは安い為、BATICの受験者数の方がIFRS検定よりも多いことを考えると、IFRS検定の受験者は多くて数百人程度なのでしょう。

「あまり受験者がいない」→「人気・知名度が無い」→「この資格を取得しても転職等に活かせない」という受験検討者の発想の連鎖を主催者側が懸念して、詳細な受験者データを掲載しなかったものと推測されます。



3.AbitusのIFRS検定専用プログラム

上述のIFRS検定の公式HPには、IFRS検定対策講座の教材として、資格の学校アビタス(Abitus)の「IFRS Certificate(国際基準検定)プログラム」が一択だけ紹介されていました。

https://www.abitus.co.jp/ifrs/course/about/

上記プログラムは通学、eラーニングコース等に分かれていますが、受講料は20万円前後しますので、これまたいいお値段がしますね。受験料と合わせて30万円近くするのはコスパ的にどうなのでしょうか。会社がお金を出して受講させてくれるのであればいいですが、自分のお金で出して受講するのはなかなかハードルが高いですね。



4.最後に

ということで、ダラダラと書いてきましたが、個人的には転職時に有利とかはあまり関係無く、単純に自己啓発目的での受験を念頭に検討していたこともあり、受験料+勉強に要する講座・教材等のコストがネックとなって受験を目指すのは止めました。

主催者のICAEWさんとしては、「受験者が少ない」→「値段を高く設定しないと元が取れない」ということで「47,300円/1回」なんて強気の値段設定をしているのでしょう。ただ、もし、BATICレベルの5,000円程度まで受験料を減らせば、受験者のすそ野が広がって受験者数・知名度が増加し、より持続可能な試験ビジネスになるかと思いますが、どうなんですかね。大きなお世話ですが、気づいた点を書き留めておきました。



[蛇足]

受験を検討したものの、目指すのを止めたなんて記事をブログにUPする意味があるのかとも思いましたが、特に記事にするネタがないので、とりとめのない話ですが書き留めておきました・・。ここまでお付き合いありがとうございました。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
キャッシュマネジメント入門: グループ企業の「資金の見える化」
(西山 茂氏著作)

CCCを検討する際に重要なことは、「お得意先様に買っていただいている」とう発想を捨てることである。「企業に投資している」という発想で検討しなければ本質は見えてこない。企業間信用金利を十分に獲得していれば、投資として合理的な行動ともいえる。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
経理高速化のための7つのITツール活用戦略
(古旗 淳一氏著作)

[本書で参考になった箇所]
・大切なことは手作業や作業判断を極力排除すること

・ファイルをまたぐセル参照は可能な限り控える

・エクセルでは「非表示」よりも「グループ化」が便利
 作業シートはどこまでも「分かりやすく」「ミスしにくく」作ることが王道

・安易なマクロ乱発は混乱のもと
 (仕事の属人化・ブラックボックス化が進んでジョブローテーションの妨げになる)

・シートの要所に「ポカヨケ」を仕込む

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
基礎から学ぶSEの金融知識
(土屋 清美氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
退職給付会計のしくみ(第2版)
(新日本有限責任監査法人 (編集))

※今回で通読3回目です。これまで図書館で借りて読んでいましたが、
 度々読みたくなるので今回、購入しました。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
製造現場のリアルな英語表現
(高橋信弘氏、清原雅彦氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
図解入門ビジネス最新IFRS[国際会計基準]の基本と実務がよ~くわかる本
(石村 満彦氏著作)

本書は2010年出版と約10年前の本なので、出版後に会計基準が改定されて、記載されている内容が今の会計基準と合致していない箇所があります。一部、古い会計基準に基づいて解説された箇所がありましたが、私は知識が不足している為、その全てを判別することが出来ません。

そこで、上記リスクを念頭に置いた上で、とりあえず、本書で参考になった箇所(もしかしたら今の会計基準には不合致の箇所あるがその点は無視)を以下に書き留めておきます。今後、他のIFRS本を読んでそのあたりを軌道修正していこうと思います・・。では、初めから本書を読まないで新しい出版年月の本を読んだ方がいいのではないか、というご意見が聞こえてきますが、その辺はご愛敬ということで。

[本書で参考となった箇所]
・IFRSでは投資家保護を目的としている為、課税の公平性よりも経済的な実態を表すことを重視している。その為、同じ減価償却資産でも、使い方はそれぞれの会社で異なる為、その実態にあった耐用年数で償却させるよう規定されている。その為、同じ減価償却資産でも、IFRSと法人税法で耐用年数が異なるということが起こりえる。

・IFRSに関する各国の解釈指針の制定は禁止されている。

・IFRSでは、近い将来、処分する予定の「非継続事業」に関連する損益を区分表示する必要あり。

・日本基準では、海外子会社の決算書は通常、現地の通貨で作成されるが、IFRSでは海外子会社の経済活動の実態を表せる通貨(機能通貨)単位で作成される。

・「棚卸資産について、棚卸資産を原価以下に評価減する原因となった状況が存在しなくなり」、さらに「正味実現可能化学が増加した証拠がある場合」、棚卸資産の評価減の戻入れを行う(洗替法)

・経済実態重視のIFRSでは、重要となる取得原価を持つ資産項目の構成部分について、個別に減価償却する必要がある。

・日本基準では2段階の判定を実施して減損損失を認識する。一方IFRSでは、帳簿価額と回収可能額を比較し減損損失を認識するという1段階のみで検討を行う為、IFRSでは日本基準より減損損失を早く認識する可能性が高い。一方、IFRSでは減損の戻入れがある。

IFRSでは日本基準のような「繰延税金資産の回収可能性」についての詳細な判断基準は無い。IFRSでは、会社の経済的実体を表せる会計処理を行うべきという考え方の為、会社独自に自社グループ内の繰延税金資産の回収可能性の具体的な判断基準を定めておく必要がある。

・IFRSでは、有給未消化分は負債に該当し、期末時点で有給休暇引当金を計上しなければならない。(IAS第19号第11項)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
テキスト国際会計基準 新訂版
(桜井 久勝氏著作)

[本書で参考になった内容]
・有形固定資産の帳簿価額が再評価の結果として「増加」する場合、その増加額は「再評価剰余金」という株主持ち分科目を用いてその他の包括利益に計上される。

他方、有形固定資産の帳簿価額が再評価の結果として「減少」する場合、その減価額は「費用」として計上される。

同一資産について以前に評価損を計上している場合、その後の再評価による増加額は、当該評価損の金額を超えない範囲で収益として計上される。

・IFRSでは、繰延税金資産(負債)の相手勘定は、日本基準のように「法人税等調整額」ではなく「繰延税金利益(費用)」として計上される。

・日本基準では、有形固定資産の当初認識後の測定についてIFRSのような「再評価モデル」の採用は認められていない。

・退職一時金ではなく、所定期間にわたり分割して退職年金として支払う場合があるが、その場合は、年金額について退職時点を基準に計算した割引現在価値の合計が退職一時金の額と等しくなるよう設計されているので、一時金か年金かは問題とはならない。

・IFRSでは、数理計算上の差異は「その他の包括利益」として調整を行うが、日本基準のようにリサイクリングは行わない。

[備考]
その他、本書には色々と参考になった箇所がありますが、書ききれないので、付箋を貼っておき、度々読み返そうと思います。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
完全比較 国際会計基準と日本基準 (第3版)
(新日本有限責任監査法人著作)

※今回は辞書的に一部を読んだだけで、1751ページ全部を読んだわけではありません。
 ただ、設例や図も度々織り交ぜて、(ほとんど文字しか無い前述の「テキスト国際会計基準 新訂版(桜井 久勝氏著作」 よりは分かりやすく)解説されているので、長編小説を読むつもりで少しづつ読み進めていこうと思います。

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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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