海外駐在員の役割とは?、上司は部下から常に見られていることを意識すべき(特に異動時)
1. あのー、私が中国に来たとたんに中国(上海)でもコロナが流行してきたんですけど・・
今年の2月から、ゼロコロナを掲げていた中国でもコロナの陽性者がぽつぽつと出始めました。香港・深センあたりから流行り始めたと思っていたら、私が滞在している上海の方にもその波があっという間に押し寄せてきて、今では上海市内の各区域で封鎖が行われています。
ちょうど私の前任者が日本に帰任したタイミングと上海での流行のタイミングが重なるので、前任者がツキを持っていたのか、私が持っていなかったのか、その両方なのか・・。いずれにしても、3月末の本決算が近い中、決算が無事に締まるのかしら、という感じです・・。現地法人に来ると、日本にいた時のように財務や経理だけを見ていればいいのではなく、管理部長的な役割も求められるので、コロナ対応で色々と大変です・・。
さて、コロナ流行に伴う地域の封鎖の度合いや厳しさは、その地域に陽性者や濃厚接触者が出て、急遽、強制的に封鎖となったのか、もしくは、上記のような方は今のところいないけど、政府の要請により念の為、封鎖をすることになったのかによりその程度は異なります。
なお、流行り始めたといっても、中国は日本や海外の新規陽性者の1日当たりの人数で考えるとかなり少ない方ですが、中国ではゼロコロナ政策を掲げていることから、1人でも陽性者・濃厚接触者が出た場合はその区域やマンション、団地が一斉封鎖される徹底ぶりです・・。
中国政府の政策を否定する意図は全くありませんが、いつかの段階で「ゼロコロナ」から「Withコロナ」に政策を転換していかないと、経済的に厳しい状況になるんじゃないかと実感しています・・。これだけ人がいる中国で、陽性者を軽減することは出来たとしても、ゼロにするのは現実的なのか・・。
おそらく、振り上げたこぶしを今さら下せない、ということかと思いますので、この政策は当面は変わらないかと思いますが、果たしてどうなることやら・・。
2. 海外駐在員の役割とは?
中国に駐在を開始してみて、改めて、海外駐在員の役割とは何なのかを考えています。
ネットで「海外駐在員」「役割」で検索すると色々と出てきますが、これまで1か月程度、駐在員として活動してきた個人的な実感としては、一番の役割はやはり、月並みですが、現地法人と本社との「調整役」であることを再認識しました。
海外に駐在員を置くということは、人を置く国や地域にもよりますが、中国上海であれば、人件費を除く経費(住居の家賃等)だけでも10百万円以上の費用が発生します。
海外に来ないで日本にいたとしても人件費は掛かりますが、海外駐在したことによる割増の人件費分を含めると、会社としてはかなりのコスト負担となります。
私は人事や労務も担当しているので、当社の現地採用スタッフ(以下、ナショナルスタッフ)の給与を見たところ、中国の人件費が上昇しているとしても、駐在員の給与よりもかなり低い賃金で仕事をしてくれていることが分かりました。
そんな給与・待遇面で恵まれた駐在員が、ナショナルスタッフと同じ仕事をしていたのではコストに合いません。なぜこのようなコストを掛けてまで会社が人を海外に送り込むのかといえば、ナショナルスタッフにはできない、本社との調整役を駐在員に求めているからだと思います。
ナショナルスタッフの中には日本語が達者なたくさんいますが、本社と調整する仕事は言語が流暢であるだけではダメで、本社のルールの理解の他、本社との太い人脈が必要となります。
発展途上国に現地法人を置いている会社であれば、ナショナルスタッフに全てを任せるのは不安なので、ガバナンスの強化を目的として置いておくという目的も大きいでしょう。
しかし、ガバナンスの強化が進んでいる現地法人においては上記役割は相対的に薄れますので、やはり、調整役が主な役割になってくるかと思います。
最近、調整役を果たした特異な例としては、最近、中国上海でもコロナが流行してきて、所属会社が入っているビルがしばらく封鎖されるとなった際、通関に必要な書類や注文書、見積書等への捺印が出来なくなると業務に大きな支障が出ることから、既に定めている印章管理規程に基づいた暫定的な緊急措置のルールを設けて、本社の複数の偉い人たちの承認を取り付けて、電子的な方法で捺印が出来る運用を1日で導入したことです。
上記運用の詳細は秘密です(^0^)/
このような調整は、私が日本にいたときに各コーポレート関係の役員、各種部門の責任者の方と深い関係性が出来ていたからスムーズに行えたことで、ナショナルスタッフの方に対応を依頼しても難しかったと思います。
このような、ナショナルスタッフには出来ない面倒な調整を迅速に行うことが、待遇面で恵まれている駐在員に求められていることなんだろうなと、ふと、と考えるに至りました。
上記のような仕事が出来ているのかどうか、常に意識しないと、単なる日本語が出来るお飾り的な人になってしまいますので、気を付けたいと思います。
[蛇足]
駐在員は待遇面で恵まれているのは確かですが、私よりも役職が低いナショナルスタッフの中には、800万円するBMWやテスラに普通に乗っている同僚がポツポツいます。身なりもいい物も身につけています。
ある同僚に聞いたら、車は両親の会社名義と言っていましたが、不動産投資や株で一発当てた人が多いのでしょうか・・。中国のバブルが崩壊するとずっと言われながら、今のところ崩壊していませんが、コロナを契機として経済の逆流が始まったらと思うと、他人事ながら心配になります。
そんなお金があるのであれば、仕事をしなくてもいいんじゃないかとも思ってしまいますが、仕事に対してはお金以外のものに価値を見出しているようですね。
この家賃と物価が上昇している上海で、この給与だけで生活するのは大変だろうなと思っていましたが、給与以外の副収入は多いんでしょうね。今度、もう少し仲良くなったらお金の出処を詳しく聞いてみようと思います。
特に上海市内では金持ちがゴロゴロいるので、日本人駐在員が町でブイブイ言わせていた、私が初めて中国に出張で来た10年以上前の頃とはだいぶ変わりましたね。
3. 上司は部下から常に見られていることを意識すべき(特に異動時)
海外駐在に限らず、異動して別の法人や部門の管理職になった人は、360度評価を取り入れていない会社でも、自分の評価者である上司だけでなく、自分の部下からも常に評価されていることを意識すべきですね。
お手並み拝見されている短い時間にその人の印象は決まってしまいます。一度貼られたレッテルを覆すことは困難です。その期間に部下からの信頼を得られないと今後の仕事に支障が出てきます。
上記の駐在員の役割を含めて考えると、今回の駐在員は、現地法人と本社のどちらを向いて仕事をしているのか、イザというときに素早く動いてくれるのか、個人の能力はどんなものなのか、お手並み拝見されているかと思います。
そんな中で、「1年かけてボチボチ現状把握からやっていこう」と悠長に考えていると、ナショナルスタッフからの信頼を得ることはできません。
現地法人と本社のどちらを向いて仕事をするのか、そのバランス感覚は非常に重要であり難しいテーマです。現地法人の意向に寄り添いすぎると、それはそれで本社から求められる役割を果たしていないことになり、会社全体の利益にならないことになります。
なので、現地法人側におもねる必要は全くありませんが、ナショナルスタッフの部下から信頼を得られるような動きを出来ているのか、自分の待遇に見合った仕事が出来ているのか、常に意識して仕事に取り組みたいと思います。
所信表明演説のような文章になってしまいましたが、超個人的な備忘録として記載しておきたいと思います。
[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
中国・外貨管理マニュアルQ&A(2022年改訂版)
(水野コンサルタンシーグループ代表 水野 真澄)
[本書で参考になった内容]
・中国の外貨管理上、経常項目は原則「自由」、資本項目は原則「制限」という位置づけになっている。資本項目口座の資金移動は厳しく管理されている。
・2012年7月31日までは、対外決済時に通関実績との個別照合が行われていた。現在では比較的自由な決済を認めた上で、通関・決済実績の累計に不照合があった場合、外貨管理局が調査を行い、企業の外貨管理ランクを降格することにより、企業の自主管理を促す手法が取られている。
・現在の貨物代金の決済ルールでは、輸入貨物代金は、「契約書、インボイス、輸入通関単」の何れかの原本を銀行に提示すれば海外送金が可能。輸出貨物代金は、銀行に入金申請書を出すだけで入金が可能。
・税関(通関データ)、外貨管理局、銀行(決済データ)のデータは連結されていて、それが一定のロジックに基づいて数値化されたものがモニタリングシステム。異常値が出るとワーニングが表示される。ワーニングの細かい基準は本書P60~63を参照。
外貨管理局の立ち入り検査は、モニタリングシステムの指数に基づいて決定されるが、自社の状況はオンラインで随時、確認が可能。
立ち入り検査で問題は発見された場合は、貿易圏のある企業としての格付け(A~C)の3分類の内、BやCに認定されて厳しく管理されることになる。
・核硝制度は現在、廃止されていて決済手続は簡素化されているが、外貨管理局は直近12カ月の指数、ユーザンスや前受・前払の残高が一定の基準内に収まっているかを管理しており、異常値を示した場合は立ち入り検査が行われる。
・外貨管理条例により、中国国内での外貨決済、外貨を建値とした取引は禁止されている。その為、中国国内取引は「人民元建・人民元決済」が原則となる。
但し、一般区(非保税区)と保税区域の貨物の異動は通関が伴うので、外貨決済が原則となる。
・外国企業(中国非居住者企業)は、中国国内取引に関与することは出来ない。しかし、保税区域の場合、例外的に外国企業が在庫の保管、貨物の売買を行うことは出来る。
・2012年8月1日から、外貨管理上は、保税区域企業・一般区企業を問わず、三国間取引が出来るようになった。但し、三国間取引(転口貿易)の営業許可は、原則として保税区域の企業でないと取得できない。
貨物が中国に到着する前に、洋上で売買が行われる下記のような場合で、中国企業(A)から日本企業に対する支払い時には、中国企業(B)からの入金記録と中国企業(B)の輸入通関単原本の提示が求められる場合がある為、先受け・後払い条件となる。
→上記は、既に失効している保税監督管理区域外貨管理弁法操作規定(実務運用上、決済時の信憑書類などの判定に際して参考とされている規定)に基づく要求。
→上記規定により、中国企業(B)が支払を遅延すると、中国企業(A)も日本企業に対する支払いを遅延せざるを得ない。
[商流:POの流れ]
中国企業(B)→ 中国企業(A)→ 日本企業
[物流:モノの流れ]
日本企業 → 中国企業(B)
・現在では、貿易信貸当期管理制度が廃止されている為、輸出入ユーザンスに関する登記義務と当該義務に基づく総量規制は廃止されている。
現行の制度では、ユーザンス取引を行う場合、モニタリングシステムに情報入力が必要となり、その残高や累積金額の比率が一定割合(全体に対する残高比率が25%超、全体の取引に対するユーザンスの発生比率が10%超)を超えた場合、外貨管理局の立ち入り検査が実施される為、上記に関する自主管理が必要となる。
・現在では、核硝制度が廃止されている為、増値税輸出還付に際して貨物代金回収状況の確認は原則、行われず、代金を回収する前でも還付が受けられる(確定申告後の事後検査あり)。増値税還付の確定申告は翌年の4月30日までなので、それまでに回収が出来ていないと、還付金の返却を求められる。
・貨物代金とクレーム金額の相殺は可能であるが、差額決済により、通関と決済実績に大きな乖離が生じた場合は立ち入り検査を受ける可能性があるので、取引の整合性を説明出来るように書類等の準備をしていく必要がある。差額決済を受け付けない銀行もあるので確認が必要。
・一般貿易形態で設備等を無償で中国に輸入した場合、無償取引であっても、適正時価に対して関税・増値税は発生する。税関では、関税評価額(適正時価)をシステムに入力するので、当該代金を対外決済しないとモニタリングシステムの指数が異常値となる。
税関が無償での取引を認めることも少額な場合に限定される為、高額な設備等を無償で一般貿易することは難しい。
・一回当たりの送金額が5万米ドルを超過する非貿易項目の送金は、原則として税務局での事前届け出(備案)が必要となる。
・国際間の立替金の決済は、従前は出来なかったが、グループ会社間に限り一定の条件のもとに銀行審査により認められている。中国から日本への送金により精算する場合、5万ドルを超過すると税務局での事前登記が必要となり、税務局は一般的に人件費関係の立替金のみ認めている為、その他の送金目的に関する登記は認められない。
出向者の日本払い給与の精算は、国際間の立替金決済となるが、1回当たりの支払い額が5万米ドル以内であれば銀行審査だけで送金が可能。
・中国の現地法人が外国出資者の借入保証に基づいて借入を行う場合、その段階では総量規制の対象にはならないが、保証履行を行う場合は国外からの借入に準じた総量規制を受ける。
・保税区域内の倉庫で所有権が移転される取引は、保税区域内の倉庫が所有権移転証明を発行して、それが取引のエビデンスとなる。
・一般区域の企業は保税区域での取引は認められておらず、貨物代金決済も認められない。

今年の2月から、ゼロコロナを掲げていた中国でもコロナの陽性者がぽつぽつと出始めました。香港・深センあたりから流行り始めたと思っていたら、私が滞在している上海の方にもその波があっという間に押し寄せてきて、今では上海市内の各区域で封鎖が行われています。
ちょうど私の前任者が日本に帰任したタイミングと上海での流行のタイミングが重なるので、前任者がツキを持っていたのか、私が持っていなかったのか、その両方なのか・・。いずれにしても、3月末の本決算が近い中、決算が無事に締まるのかしら、という感じです・・。現地法人に来ると、日本にいた時のように財務や経理だけを見ていればいいのではなく、管理部長的な役割も求められるので、コロナ対応で色々と大変です・・。
さて、コロナ流行に伴う地域の封鎖の度合いや厳しさは、その地域に陽性者や濃厚接触者が出て、急遽、強制的に封鎖となったのか、もしくは、上記のような方は今のところいないけど、政府の要請により念の為、封鎖をすることになったのかによりその程度は異なります。
なお、流行り始めたといっても、中国は日本や海外の新規陽性者の1日当たりの人数で考えるとかなり少ない方ですが、中国ではゼロコロナ政策を掲げていることから、1人でも陽性者・濃厚接触者が出た場合はその区域やマンション、団地が一斉封鎖される徹底ぶりです・・。
中国政府の政策を否定する意図は全くありませんが、いつかの段階で「ゼロコロナ」から「Withコロナ」に政策を転換していかないと、経済的に厳しい状況になるんじゃないかと実感しています・・。これだけ人がいる中国で、陽性者を軽減することは出来たとしても、ゼロにするのは現実的なのか・・。
おそらく、振り上げたこぶしを今さら下せない、ということかと思いますので、この政策は当面は変わらないかと思いますが、果たしてどうなることやら・・。
2. 海外駐在員の役割とは?
中国に駐在を開始してみて、改めて、海外駐在員の役割とは何なのかを考えています。
ネットで「海外駐在員」「役割」で検索すると色々と出てきますが、これまで1か月程度、駐在員として活動してきた個人的な実感としては、一番の役割はやはり、月並みですが、現地法人と本社との「調整役」であることを再認識しました。
海外に駐在員を置くということは、人を置く国や地域にもよりますが、中国上海であれば、人件費を除く経費(住居の家賃等)だけでも10百万円以上の費用が発生します。
海外に来ないで日本にいたとしても人件費は掛かりますが、海外駐在したことによる割増の人件費分を含めると、会社としてはかなりのコスト負担となります。
私は人事や労務も担当しているので、当社の現地採用スタッフ(以下、ナショナルスタッフ)の給与を見たところ、中国の人件費が上昇しているとしても、駐在員の給与よりもかなり低い賃金で仕事をしてくれていることが分かりました。
そんな給与・待遇面で恵まれた駐在員が、ナショナルスタッフと同じ仕事をしていたのではコストに合いません。なぜこのようなコストを掛けてまで会社が人を海外に送り込むのかといえば、ナショナルスタッフにはできない、本社との調整役を駐在員に求めているからだと思います。
ナショナルスタッフの中には日本語が達者なたくさんいますが、本社と調整する仕事は言語が流暢であるだけではダメで、本社のルールの理解の他、本社との太い人脈が必要となります。
発展途上国に現地法人を置いている会社であれば、ナショナルスタッフに全てを任せるのは不安なので、ガバナンスの強化を目的として置いておくという目的も大きいでしょう。
しかし、ガバナンスの強化が進んでいる現地法人においては上記役割は相対的に薄れますので、やはり、調整役が主な役割になってくるかと思います。
最近、調整役を果たした特異な例としては、最近、中国上海でもコロナが流行してきて、所属会社が入っているビルがしばらく封鎖されるとなった際、通関に必要な書類や注文書、見積書等への捺印が出来なくなると業務に大きな支障が出ることから、既に定めている印章管理規程に基づいた暫定的な緊急措置のルールを設けて、本社の複数の偉い人たちの承認を取り付けて、電子的な方法で捺印が出来る運用を1日で導入したことです。
上記運用の詳細は秘密です(^0^)/
このような調整は、私が日本にいたときに各コーポレート関係の役員、各種部門の責任者の方と深い関係性が出来ていたからスムーズに行えたことで、ナショナルスタッフの方に対応を依頼しても難しかったと思います。
このような、ナショナルスタッフには出来ない面倒な調整を迅速に行うことが、待遇面で恵まれている駐在員に求められていることなんだろうなと、ふと、と考えるに至りました。
上記のような仕事が出来ているのかどうか、常に意識しないと、単なる日本語が出来るお飾り的な人になってしまいますので、気を付けたいと思います。
[蛇足]
駐在員は待遇面で恵まれているのは確かですが、私よりも役職が低いナショナルスタッフの中には、800万円するBMWやテスラに普通に乗っている同僚がポツポツいます。身なりもいい物も身につけています。
ある同僚に聞いたら、車は両親の会社名義と言っていましたが、不動産投資や株で一発当てた人が多いのでしょうか・・。中国のバブルが崩壊するとずっと言われながら、今のところ崩壊していませんが、コロナを契機として経済の逆流が始まったらと思うと、他人事ながら心配になります。
そんなお金があるのであれば、仕事をしなくてもいいんじゃないかとも思ってしまいますが、仕事に対してはお金以外のものに価値を見出しているようですね。
この家賃と物価が上昇している上海で、この給与だけで生活するのは大変だろうなと思っていましたが、給与以外の副収入は多いんでしょうね。今度、もう少し仲良くなったらお金の出処を詳しく聞いてみようと思います。
特に上海市内では金持ちがゴロゴロいるので、日本人駐在員が町でブイブイ言わせていた、私が初めて中国に出張で来た10年以上前の頃とはだいぶ変わりましたね。
3. 上司は部下から常に見られていることを意識すべき(特に異動時)
海外駐在に限らず、異動して別の法人や部門の管理職になった人は、360度評価を取り入れていない会社でも、自分の評価者である上司だけでなく、自分の部下からも常に評価されていることを意識すべきですね。
お手並み拝見されている短い時間にその人の印象は決まってしまいます。一度貼られたレッテルを覆すことは困難です。その期間に部下からの信頼を得られないと今後の仕事に支障が出てきます。
上記の駐在員の役割を含めて考えると、今回の駐在員は、現地法人と本社のどちらを向いて仕事をしているのか、イザというときに素早く動いてくれるのか、個人の能力はどんなものなのか、お手並み拝見されているかと思います。
そんな中で、「1年かけてボチボチ現状把握からやっていこう」と悠長に考えていると、ナショナルスタッフからの信頼を得ることはできません。
現地法人と本社のどちらを向いて仕事をするのか、そのバランス感覚は非常に重要であり難しいテーマです。現地法人の意向に寄り添いすぎると、それはそれで本社から求められる役割を果たしていないことになり、会社全体の利益にならないことになります。
なので、現地法人側におもねる必要は全くありませんが、ナショナルスタッフの部下から信頼を得られるような動きを出来ているのか、自分の待遇に見合った仕事が出来ているのか、常に意識して仕事に取り組みたいと思います。
所信表明演説のような文章になってしまいましたが、超個人的な備忘録として記載しておきたいと思います。
[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
中国・外貨管理マニュアルQ&A(2022年改訂版)
(水野コンサルタンシーグループ代表 水野 真澄)
[本書で参考になった内容]
・中国の外貨管理上、経常項目は原則「自由」、資本項目は原則「制限」という位置づけになっている。資本項目口座の資金移動は厳しく管理されている。
・2012年7月31日までは、対外決済時に通関実績との個別照合が行われていた。現在では比較的自由な決済を認めた上で、通関・決済実績の累計に不照合があった場合、外貨管理局が調査を行い、企業の外貨管理ランクを降格することにより、企業の自主管理を促す手法が取られている。
・現在の貨物代金の決済ルールでは、輸入貨物代金は、「契約書、インボイス、輸入通関単」の何れかの原本を銀行に提示すれば海外送金が可能。輸出貨物代金は、銀行に入金申請書を出すだけで入金が可能。
・税関(通関データ)、外貨管理局、銀行(決済データ)のデータは連結されていて、それが一定のロジックに基づいて数値化されたものがモニタリングシステム。異常値が出るとワーニングが表示される。ワーニングの細かい基準は本書P60~63を参照。
外貨管理局の立ち入り検査は、モニタリングシステムの指数に基づいて決定されるが、自社の状況はオンラインで随時、確認が可能。
立ち入り検査で問題は発見された場合は、貿易圏のある企業としての格付け(A~C)の3分類の内、BやCに認定されて厳しく管理されることになる。
・核硝制度は現在、廃止されていて決済手続は簡素化されているが、外貨管理局は直近12カ月の指数、ユーザンスや前受・前払の残高が一定の基準内に収まっているかを管理しており、異常値を示した場合は立ち入り検査が行われる。
・外貨管理条例により、中国国内での外貨決済、外貨を建値とした取引は禁止されている。その為、中国国内取引は「人民元建・人民元決済」が原則となる。
但し、一般区(非保税区)と保税区域の貨物の異動は通関が伴うので、外貨決済が原則となる。
・外国企業(中国非居住者企業)は、中国国内取引に関与することは出来ない。しかし、保税区域の場合、例外的に外国企業が在庫の保管、貨物の売買を行うことは出来る。
・2012年8月1日から、外貨管理上は、保税区域企業・一般区企業を問わず、三国間取引が出来るようになった。但し、三国間取引(転口貿易)の営業許可は、原則として保税区域の企業でないと取得できない。
貨物が中国に到着する前に、洋上で売買が行われる下記のような場合で、中国企業(A)から日本企業に対する支払い時には、中国企業(B)からの入金記録と中国企業(B)の輸入通関単原本の提示が求められる場合がある為、先受け・後払い条件となる。
→上記は、既に失効している保税監督管理区域外貨管理弁法操作規定(実務運用上、決済時の信憑書類などの判定に際して参考とされている規定)に基づく要求。
→上記規定により、中国企業(B)が支払を遅延すると、中国企業(A)も日本企業に対する支払いを遅延せざるを得ない。
[商流:POの流れ]
中国企業(B)→ 中国企業(A)→ 日本企業
[物流:モノの流れ]
日本企業 → 中国企業(B)
・現在では、貿易信貸当期管理制度が廃止されている為、輸出入ユーザンスに関する登記義務と当該義務に基づく総量規制は廃止されている。
現行の制度では、ユーザンス取引を行う場合、モニタリングシステムに情報入力が必要となり、その残高や累積金額の比率が一定割合(全体に対する残高比率が25%超、全体の取引に対するユーザンスの発生比率が10%超)を超えた場合、外貨管理局の立ち入り検査が実施される為、上記に関する自主管理が必要となる。
・現在では、核硝制度が廃止されている為、増値税輸出還付に際して貨物代金回収状況の確認は原則、行われず、代金を回収する前でも還付が受けられる(確定申告後の事後検査あり)。増値税還付の確定申告は翌年の4月30日までなので、それまでに回収が出来ていないと、還付金の返却を求められる。
・貨物代金とクレーム金額の相殺は可能であるが、差額決済により、通関と決済実績に大きな乖離が生じた場合は立ち入り検査を受ける可能性があるので、取引の整合性を説明出来るように書類等の準備をしていく必要がある。差額決済を受け付けない銀行もあるので確認が必要。
・一般貿易形態で設備等を無償で中国に輸入した場合、無償取引であっても、適正時価に対して関税・増値税は発生する。税関では、関税評価額(適正時価)をシステムに入力するので、当該代金を対外決済しないとモニタリングシステムの指数が異常値となる。
税関が無償での取引を認めることも少額な場合に限定される為、高額な設備等を無償で一般貿易することは難しい。
・一回当たりの送金額が5万米ドルを超過する非貿易項目の送金は、原則として税務局での事前届け出(備案)が必要となる。
・国際間の立替金の決済は、従前は出来なかったが、グループ会社間に限り一定の条件のもとに銀行審査により認められている。中国から日本への送金により精算する場合、5万ドルを超過すると税務局での事前登記が必要となり、税務局は一般的に人件費関係の立替金のみ認めている為、その他の送金目的に関する登記は認められない。
出向者の日本払い給与の精算は、国際間の立替金決済となるが、1回当たりの支払い額が5万米ドル以内であれば銀行審査だけで送金が可能。
・中国の現地法人が外国出資者の借入保証に基づいて借入を行う場合、その段階では総量規制の対象にはならないが、保証履行を行う場合は国外からの借入に準じた総量規制を受ける。
・保税区域内の倉庫で所有権が移転される取引は、保税区域内の倉庫が所有権移転証明を発行して、それが取引のエビデンスとなる。
・一般区域の企業は保税区域での取引は認められておらず、貨物代金決済も認められない。

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