(EY主催)中国移転価格 利益水準モニタリングシステムによる移転価格調査の強化についてのオンラインセミナーに参加して 他

1. EYの中国移転価格に関するセミナーに参加しました

2022年6月13日(月)にオンラインで開催されたEY中国主催の下記セミナーに参加しました。


[テーマ]
中国移転価格 利益水準モニタリングシステムによる移転価格調査の強化

[講義内容]
1.ゼロコロナ政策下における中国税務局の移転価格調査の強化
2.多国籍企業利益水準モニタリングシステムとは何か
3.利益水準モニタリングシステム構築の背景および税務局の意図
4.利益水準モニタリングシステムの構成と税務局の分析ロジック
5.データ記入の例
6.企業グループとしての対応

https://www.ey.com/ja_jp/webcasts/2022/06/ey-tax-2022-06-13

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セミナーを受領して勉強になったことを個人的な備忘の為に以下の通り、まとめておきたいと思います。

なお、セミナーの説明資料は配布されなかったので、ZOOMのセミナー時に表示された個々のプレゼン画面は、こっそりキャプチャに取ってワードに貼り付けて、個人的な手元資料として残しておきましたが、当然ながら、著作権の関係もあるのでそれはこちらでは記載はしません。



[勉強になったこと]

(1)中国税務機関内部の評価指標の変化

税務調査等の結果、修正申告等により税務局側が税金を追加で回収出来た「金額」が税務調査官の業績評価で重要視されていることは、中国に限らず、日本の税務実務でも以前から言われていることです。

しかし、2022年度の中国局における傾向としては、「追徴税額」だけでなく「終結事案件数」が重視されるようです。

その為、自社の関連会社間取引は少額だから税務調査官の目に留まることは無いだろうと甘く見ていると今後は痛い目に合いそうですね・・。

税務調査官側が「金額」だけでなく「終結事案件数」も重要視するようになる結果、ある程度時間を掛けても、大きな修正申告事案を一発でも掘り当てれば税務調査官の人事評価的にはOKだったこれまでの運用と比べると、ある程度の回転数も求められますから、より多くの企業をターゲットとして、スピーディーに「調査」→「指摘」→「回収」を行うようになりそうですね。

なので、調査が入ったら、のらりくらりと回答する中で事後的に対応しておけば何とかなるでしょうということは通用しなくなりますので、事前の準備が大事になってきますね。



(2)利益水準モニタリングシステムのポイント

利益水準モニタリングシステムに基づく中国企業への調査依頼では、通常の税務申告時に提出しているデータだけでなく、「国外関連者が中国現地法人との取引で獲得した利益など」が含まれるようで、自社(現地法人内)で保有しているデータの提供だけでは完結しないようです。

また、従来は、移転価格税制に関する調査時の対応では、定性的な説明でOKとされていた部分もあったところ、利益水準モニタリングシステムに基づくビックデータを用いた管理に移行した現在では、主管税務局から膨大なデータをエクセルにて個別に提出するよう要求されるようです。

その結果、税務局がどのような意図を持ってこのデータを収集しようとしているのか、会社側は提出時に十分な判断出来ず、たまたま手元にあった、税務局の要請に合致しそうな国外関連者に係る内部資料を、現地法人の判断で何気なく提出した結果、税務局から移転価格調査の立案や修正申告の要請時の根拠データに用いられる場合があるようです。

その為、特にデータを提出する上では慎重に対応する必要がありそうです。



(3)中国現地法人側が十分な利益率を確保していればOKという時代は終わった件

従来の移転価格税制に関する対応では、例えば、「取引単位営業利益法(Transactional Net Margin Method:TNMM)」に基づいて、中国現地法人側が、自社と類似した機能を持つ他の比較対象企業(第三者の中国法人)と同様の利益率を確保しているからOK」と説明して税務局の理解を得る実務が行われています。

しかし、今後は、「でも、御社(中国法人)以上に国外関連者が大きな利益を獲得していますよね」と税務局から指摘をされてしまうリスクがあるようです。



(4)対応方法
上記のような税務局側の傾向変化への対応としては、現地法人だけで対応すると、データの出し過ぎや、誤解の与えるデータを提供してしまうリスク、他の中国国内拠点の税務調査へ影響を与えてしまうリスクがあるので、データの提供時には、親会社の財務経理部門と連携して企業グループのポリシーと整合するような対応をするべきとのことでした。

親会社側としても、中国法人による利益水準モニタリングシステムに基づくデータ提供の対応手順を設けて、各中国法人が統一した対応が出来るようにサポートする必要がありますね。

また、税務局が企業から入手した各種データを税務局の内部でどのように使うのかという知見を得るためにも、特に初回の対応時には、専門家(EY 等)に相談して対応しようと思います。

膨大なデータ提供を何とか自社内で頑張って対応しても、そのデータに基づいて調査が入ってきたときに色々と指摘を受けて色々と面倒なことになるのはイヤなので、データ提供依頼を何とか乗り切ることを「目的」とせず、最終的に税務調査を乗り切ることを主眼に置いた事前の準備を進めていこうと思います。



2.(超個人的な備忘録)ストレスを感じる場面・ストレッサーは人それぞれ、という話

人間、生きていると色々なストレスを感じることになりますので、そのストレスとの付き合い方は個々の生活の質に大きな影響を与えることになります。

最近、個人的に感じたこととしては、休日に仕事をすることについてです。

現在、私が所属している現地法人の社長は、「土日は仕事から離れてゆっくり(ダラダラ)すべき」、「少なくとも土日のどちらか一日は何もしない日をつくるべき」ということを良く言っています。

私は元来、素直なところがありますので、ロックダウン中は特に、この話を免罪符として休日はなるべくダラダラ過ごしていたところ、休日にやろうと思っていた仕事が全て終わらず、余計にストレスがたまる事態が発生するということが分かってきました。「ダラダラすべき」と考えることがストレスになっていたようです。

6月1日にロックダウンが解除された今、家にいるとダラダラしてしまうので、昨日(6/18)は休日ではあるものの会社に行って集中して仕事をした結果、「休日に会社に行く」というストレス以上に「やろうと思っていたことが全て終わった」という爽快感が勝り、良い週末になりました。

これは別に、上司の言うことが間違えていると言いたいわけでもなく、(ある状況下としては)正しいことを言っていると思います。

そもそも、土日に仕事を持ち込まないようにするのがベストですし、平日の動き方が土日に仕事をすることが前提となっていて、緩い仕事の仕方になっていないか、ということはよく考える必要はあります。

しかし、ここで考えたいのは、自分にとって何か一番ストレスになるのかを考えることの重要性ですね。

休日に会社の近くに行くだけでも大きなストレスを感じる人や、家に仕事を持ち込むことに大きなストレスを感じる人もいれば、それ以上に、キリの良くない状態で月曜日を迎えることに大きなストレスを感じる人もいます。

自分がどのような場合にストレスを感じるのかをちゃんと把握しておけば、他の人から「ストレスマネジメントとしてこうすべき」と言われた場合でも、「あなたはそうかもしれないけど、私は違う」と、相手に伝えないまでも、自分のストレスを上手くコントロール出来るようになります。

今は、私の家族がまだこちらに渡航してくるまでの一時的な単身赴任状態なので、このような過ごし方が出来るわけで、置かれた状況により休日の過ごし方も変わってくるわけですが、ストレスを溜めない充実した休日を過ごす方が出来るように、自分のストレッサーは何かをしっかり把握したものですね。
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1.6月1日からロックダウンが解除されました、2.「目的」と「手段」を履き違えてはいけない話(ワークフロー化等)

1.6月1日からロックダウンが解除されました

2022年6月1日に、私が居住する中国上海市内のロックダウンが解除されました。一部、高リスクと指定された地域や、陽性者が発見されたマンションや団地では継続的に封鎖が行われています。しかし、私の居住地域を含む市内の多くの地域では、街中を自由に歩くことが出来ますし、72時間以内のPCR検査証明があれば、電車、バス、公共交通機関に乗れるようになりました。まだ店内での飲食は出来ませんが、持ち帰りやデリバリーは可能となっています。そんな中、闇営業をしているお店はたくさんありこともあり、・・(以下、記載を自粛)

私の所属会社でも6月1日・2日に数名だけで試験的に出社を開始して、6月6日(月)から本格的な職場復帰が行われました。

小中学校はまだ再開していないので、小さいお子さんを持つ一部社員は在宅で勤務している状態ですが、9割方の社員は職場に復帰しています。徐々に緩和していくのではなく、6月1日を境に状況が一変した状態ですが、これも中国特有の状況なんでしょうかね。

中国では、政府がある規制を緩めても良いと下部の行政組織に通達を出しても、何か問題が起きた時に各行政組織が責任を問われることを恐れて、政府が意図したほど規制緩和が進まない、というのは中国では良くある話で、中国あるあるの一つのようです。

ただ、今回のロックダウン解除の通達では、「規制を解除する」という内容だけでなく、「ロックダウン解除後、各地区は住民に余計な制限を課してはいけない」という内容も含めて通達が配信されたのが良かったのか、一斉に規制解除されました。

「外出禁止の制限はなくなりました」と「外出出来るように、余計な規制をするな」というのは同じような内容に聞こえますが、中国では捉え方が異なるようですね。

今までの厳しい規制は何だったのかという気がしますが、中国のダイナミズムを感じられたいい経験になりましたね。飲み会の際に使える話のネタが出来て良かったです。

ただ、またいつロックダウンが行われてもいいように、備えあれば患いなしで準備しておこうと思います。



2.ワークフローの導入検討

私の所属会社では、急速に広まるDXの波に乗り遅れないようにと、各種申請書についてワークフロー化が進められています。

私が所属している海外現地法人でも、本社向けの申請関係が優先してワークフロー化が進められ、また、現地法人内で完結する申請・手続についても早くワークフロー化を進めるように上からお達しが出ており、コーポレート責任者の私はその推進役として現地のIT担当者等も交えて対応を進めています。

さて、このワークフロー化で忘れてはいけないのは、当り前ですが、ワークフロー化の「目的」となります。ワークフロー化は、ペーパーレスになることで、紙や印刷のコスト、保管費用を削減出来ることに加えて、業務を効率化することが「目的」であり、ワークフロー化はその「手段」となります。

ただ、ワークフロー化を推進して、ワークフロー化出来た割合に気を取られるあまり、ワークフロー化をすることが「目的」になってしまっていないか、十分、気を付けないといけませんね。

ワークフロー化をする為には、決裁者が決裁をする上で必要となる十分な情報をワークフローシステム上に入力・添付する必要がありますが、その添付・スキャン等の手間を無視した上でワークフロー化しようことは百害あって一利なしなので、関係する実務担当者の話を良く聞いて運用に落とし込んでいこうと思います。



3.楽天マガジンの購読を始めました。

最近、もっと情報源を増やしていこうと、日本の各種雑誌をサブスクリプション出来る「楽天マガジン」の購読を始めてみました。

ネットで色々と調べてみたら、日本でたまに本屋に寄ったときに購入していた、「エコノミスト」、「東洋経済」、「ダイヤモンド」が全部購読出来るサブスクサービスがいくつかあること分かり、下記の比較サイト等で検討した結果、楽天マガジンの購読を始めました。

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[雑誌のサブスクを検討する際に参考にしたサイト]
サイト名: FIREオンデマンド

[下記表の出展:FIREオンデマンド]
ビジネス・経済雑誌の読み放題サービス8選を比較!
https://vodb.info/business-magazine-unlimited/

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※上記サイトには、雑誌に関する各種サブスクサービスの詳しい良し悪しが開設されていますので、気になる方は確認してみてください。

※著作権の関係で、楽天マガジン等で見られるオンライン版の雑誌の紙面と、紙媒体で見られる紙面の量等が異なるようですので、ご留意ください。



なお、楽天マガジンに限らず、サブスクサービスの対象雑誌は多数にわたりますので、その全てに目を通すことは到底、不可能です。

雑誌で情報収集する「目的」は、「純粋な楽しみの為」、「暇つぶし」等、色々とあるかと思いますが、私の場合は、今日や明日の仕事の質を高める為に情報をゲットしたいということにあります。

そのような中、いつのまにか、情報収集が「目的」化してしまった結果、大量の情報源に触れてインプットは出来ているように見えても、実態は情報過多となっていて、アウトプットに繋がっておらず、当初の「目的」が達成出来ないパターンに陥る可能性があります。

さらに、せっかく購読をしたのだからと、たくさんの雑誌に目を通さないと無駄になるのではないか、という強迫神経症的な考えに捕らわれてしまった場合、実際には全部は読めないという実態との間にギャップが生じてストレスとなり、嫌気がさしてしまった結果、せっかく購読を介して情報の蛇口を増やそうとしたのに、その機会を自ら放棄してしまう恐れもあります(私だけでしょうか・・)。

その為、情報が溢れているこの社会において、情報の取捨選択は非常に大事となりますので、当り前の話ではありますが、当初の「目的」を常に意識して、新聞を読むときのように、自分に関係のある記事だけをピンポイントで深く読みこんでいくことで良いんだということで、効率的に情報を収集していくようにしたいものです。




[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
図解でわかる 14歳から知っておきたい中国 Kindle版
インフォビジュアル研究所 (著), 北村豊 (監修)

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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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