海外療養費制度ではカバーされない部分に注意!

1.海外で歯科治療を受けました

私は今年の1月から中国上海に駐在していますが、4月から5月までの上海ロックダウンの時、日本での歯科治療で詰めていた銀歯が取れました。1つの銀歯が取れると、かみ合わせのバランスがおかしくなるのか、次々と銀歯が取れ始め、ロックダウン中に全部で4つの銀歯が取れてしまいました・・。それにしても銀歯大杉・・。小さい時の歯磨き嫌いを今になって後悔しました・・。

ロックダウン解消後も歯医者に行くのが面倒で、銀歯が取れた後の歯の隙間に、食事の度にモノが詰まっては取ることを繰り返して、何とかやり過ごしてきましたが、さすがに不快になってきたので、8月、9月に上海で日本語が通じる歯医者で歯科治療を受けました。

歯科治療自体は丁寧で日本と同じ治療を受けられて安心感がありましたが、毎回、治療費の支払い時に不安感が募ることになります。



2.海外療養費制度の利用

海外で病気や怪我になって医療機関等で治療を受けた場合、その治療費は、渡航時に加入していた海外旅行保険で賄うのが一般的です。

しかし、海外渡航の経験が多い方はご存じの通り、通常、海外旅行保険では、歯科治療は保険金支給の対象外となります。もし、適用対象としたい場合は、歯科治療特約を付帯する必要があります。

そんな方が海外で歯科治療を受けた場合は、健康保険の海外療養費制度を利用すれば、治療費の70%が支給される制度があります。

ただ、海外療養費制度は、あくまで、同じ治療を日本で受けた場合の治療費をベースにして、そのベース金額の70%を支給してくれるものなので、治療費が高額となる海外で治療を受けた場合、海外療養費を申請しても、全体の治療費用からして雀の涙程度の支給しかされないケースがありますので、注意が必要です。

上記を図にしたものが以下となります。

1_convert_20221119153037.png

海外療養費の詳細は以下の全国健康保険協会の解説ページを参照下さい。


全国健康保険協会のHP(海外療養費の解説ページ)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3120/r138/




3.会社からの別途補填が無かったやばかった・・。治療費 計24万円也。

私はどうなったかというと、上記の「海外療養費の対象外」の治療費部分は会社が補填してくれる海外渡航者規程があった為、最終的には、私は日本で治療を受けた場合と全く同じ治療費の負担で済みました。

実際の負担状況は以下の通りです。

2_convert_20221119153100.png

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歯科治療を受ける前から上記規程の存在は知ってはいましたが、いざ、治療費として24万円も窓口で支払ったときは、ALIPAY(支付宝)のアプリで支払処理をしたスマホを持つ手が少し震えましたね。本当に自己負担が30%になるのか心配でした・・。

治療中、歯科医の提案により、銀歯がたくさん取れるのは、夜中に歯ぎしりをしているのかもしれないと言って、寝る時に付けるマウスピースを歯型を取って作ってくれました。

「保険診療の範囲内なのでご安心下さい」と笑顔で言っていたので、「じゃあ、お願いします」と作って貰いましたが、後々考えると、海外療養費の申請対象となるだけで、「マウスピースの作成に関して私は支払った治療費」は、「同じ治療を日本で受けた場合の治療費」を大きく超える金額でした。

会社の補填が無かったら自己負担金額がヤバイことになっていました・・。笑顔で近づいてくる人には気を付けましょう。

会社によっては、海外療養費でカバーされない分を会社は面倒見ないという会社もあると思います。日本と中国の行き来が容易+航空券が安かった数年前までは、日本への出張時や一時帰国時に歯科治療をする人が多かったようですが、今は気軽に渡航できるわけではないので、なるべく歯の治療は日本で済ませておきたいものですね。



4.先月、中国への渡航直前でコロナ陽性になり渡航延期になった家族が11月に来ます

前回の記事でも記載の通り、私は、今年の年初より単身赴任にて中国で生活をしてきた中、今年の10月より家族(妻、子供2人、犬1匹)が家族帯同の為に上海に渡航するはずでしたが、渡航前のPCRで妻が陽性になった為、渡航が延期になりました・・ orz

一度、コロナ陽性者となった方が中国に渡航する際には、PCRを2回連続で受けて2回とも陰性証明書を取得して、2週間の待期期間を経えた後、通常の中国渡航者と同様に、渡航の前日・前々日のPCRで陰性を確認してから渡航出来るようになります。

妻が無事に、11月上旬に上記2回のPCRを何とかクリアして、11月末の渡航に向けて準備を進めたとたん、ニュース報道もされていましたが、中国渡航者の中国入国時の各種規制が緩和されて、既陽性者に対する上記制限が全て撤廃された結果、今では、2回の完治証明や2週間の待期期間も必要なくなったようです。

上記規制撤廃の詳細は駐日中国大使館の下記HPをご参照下さい。


駐日中国大使館のHP
http://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/tztg/202211/t20221115_10975339.htm


後1ヵ月早く上記発表がされていれば、もう少し早く中国に家族が渡航出来たかもしれませんが、国の政策に色々と言っても仕方がないので、今後、日中の行き来がし易くなったことを素直に喜びたいと思います。

なお、私の家族はというと、10月末に中国に渡航する10日前からウィークリーマンションを借りて、他の方と接触しない自主的な隔離生活を開始しており、今回、渡航延期となった関係で、11月に渡航してくる頃には、約2か月程度の自主隔離生活を送ることになります。

長い自主隔離生活のおかげ?か、隔離生活にもすっかり慣れたようなので、渡航してきてから、また、上海で大規模なロックダウンになったとしても隔離耐性がついているから大丈夫だそうです(^ ^;)

今回こそは無事に渡航できることを祈っております。
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中国での印紙税法の施行(ちゃんと納税出来ていますか?)

1.中国での印紙税法の施行(ちゃんと納税出来ていますか?)

2022年7月1日より、中国における印紙税について定めた従来の「印紙税暫定条例」に替わる法令として、「中華人民共和国印紙税法」(以下、印紙税法)が施行されました。

新しい印紙税法の概要については、以下のサイトが参考になります。


・PWCのニュースレター
 変更となった点の解説に加えて、気になる留意点等について解説されています。

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/news/tax-jtu/assets/pdf/ctu-20221028-jp.pdf

・青葉監査法人のニュースレター
「印紙税法」と「印紙税暫定条例」の比較対照表(日本語)が掲載されています。日本語で条文ベースで変更点を確認することが出来ますので、ありがたいですね。条文数も少ないので、中国法務に関係のある方はこれを機に全条文を読んでみましょう。

https://www.aoba.com.hk/archives/10229


中国の印紙税については、これまで、中国の法務関係の本を読んでいても1、2ページ程度の表面的な説明しかなく、細かい解説がされることはありませんでしたが、今回の法令制定により、各種コンサルが自社のHPで内容を無料で解説してくれるのはありがたいですね。



2.中国での印紙の納付方法(①物理的な貼付 or ②申告納付)

たまに「中国でも印紙が発生するのですか?」という質問を受けることがありますが、答えは「発生します」です。

ただ、日本のように、基本契約書等に「印紙」の紙を物理的に貼付・消印して納付するケースは稀なケースである為、中国内で締結する契約書に印紙税が発生するイメージが無い人もいるようです。

従来の「印紙税暫定条例」の第5条、新しい「印紙税法」の第17条に規定の通り、中国において、印紙は

①「印紙税票という紙を課税帳票に物理的に貼付する」 or
②「税務機関に申告納付して納税証明書を取得」

する方法が取られており、私の所属会社も含めて、多くの会社では上記②の方法を採用していると考えています。

青葉監査法人の上記ニュースレターに記載されていた上記該当条文を以下の通り抜粋させて頂きます。


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                      (中略)

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3.印紙税の課税ケースは日本よりも広い(しっかりした契約書の締結が無くても、電子契約の場合でも課税)

上記PWCのニュースレターに気になる箇所が解説されていましたので、以下に抜粋させて頂きます。


4.その他留意事項

  (中略)

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上記の通り、しっかりとした売買契約書を取り交わさずに売買契約を締結した場合でも、EDI契約のように電子的に売買契約書を締結した場合でも、中国では印紙の納税義務が発生するようです。

日本では、例えば、買主が注文書を発行したとしても、売主が注文請書を物理的に発行しなければ、印紙税法上の契約書を取り交わしたことにはならず、また、EDI契約のように電子的に売買契約を締結した場合も、印紙税法の課税対象外となっています。

一方、中国では上記のような場合も課税の対象となるのは、まさに留意が必要ですね。

私の所属会社のように、上記②「税務機関に申告納付して納税証明書を取得」の方法に基づいて申告している場合では、「取引金額(販売取引+仕入取引)×税額(売買契約の場合の印紙税率は0.03%)」と印紙税を算出して申告納付していれば、納付漏れをすることはまず無いかと思います。

上記計算をする際に、取引金額として「販売取引」だけ集計して、「仕入取引」を合算していない会社がありそうですが、そのような会社は是正が必要となります。売る場合だけじゃなく、仕入れる場合も売買契約を締結することになりますので、留意したいですね。

一方、上記①「印紙税票という紙を課税帳票に物理的に貼付する」の方法により、印紙を物理的に貼付する方法で納付しているような会社は、知らず知らずの内に過少納付となっている場合があります。

今後、自社の中国法人が印紙税に関する税務調査を受ける可能性を考えて、今回の印紙税法の施行を機に、自社の納税方法・納付金額に問題は無いかどうかを確認して、必要に応じて是正していきたいものですね。

私が所属している会社の企業集団では、他の中国地域にも別法人をいくつか設けていますので、他の中国法人が法令遵守出来ているのか調べてみようと思います。



4.最後に:先月、家族が中国渡航するはずがコロナにより渡航延期に・・。

私は、今年の年初より中国法人に赴任となり、単身赴任にて中国で生活をしてきましたが、今年の10月より家族(妻、子供2人、犬1匹)が家族帯同の為に上海に渡航するはずでした。

しかし、妻が渡航前日のPCR検査で陽性となり、渡航が出来ませんでした・・ orz

飼い犬が飛行機で渡航する際には色々な検査等を受ける必要があり、もしかしたら、この検査のどこかで問題が出て渡航出来ない可能性は考えていましたが、まさか、渡航2日前の検査で陰性が出た中で、渡航前日の検査で陽性となるとは思わず・・。

一度、コロナで陽性となると、PCRを2回連続で受けて2回とも陰性証明書を取得して(完治証明の取得)、2週間の待期期間を経た後、後は通常の中国渡航者と同様に、渡航の前日・前々日のPCRで陰性を確認してから渡航出来ることになります。

陽性になった方は分かるかもしれませんが、陽性となった後、いつ、PCRで陰性と出るのかについては、個人差が大きく、人によって10日程度で陰性となる人もいれば、1か月程度掛かる場合がある等、医者でも確定的なことは分かりません。検査方法によっても結果は違うようです。

その為、妻はいつ陰性となるのか、妻が陰性になっても、そばにいる子供が陽性になるのではないか、不明確な状態となっています。

また、

①妻が陰性となるも、その直前に子供1名が感染して陽性となる。
           ↓
②陽性になった子供1名がようやく完治して陰性となる直前に、もう一人の子供が陽性になる

となるリスクもあります。

一度、陽性になれば、治った後に再度、陽性となる場合は極めて稀である(と思いたい)ことを考えると、上記の無限ループ「① → ② → ①」に陥ることは無い(と思いたい)ですが、いずれにしても、渡航日が確定しないのが厳しいですね。ゼロコロナ政策、何とかならないものか・・。こんなことを書くとこのブログが中国政府に消されてしまうのか・・。共産党大会も終わったので大丈夫なのか・・。

今のところ、11月末の便でトライする予定ですが、来週の妻の2回のPCR検査(完治証明)の結果次第となります。

「渡航前」「PCR」「陽性」というキーワードでTwitterにて検索をすると、渡航直前のPCRで陽性になって渡航延期となった方は結構いるみたいです。

日本のようにWithコロナで、自覚症状のない陽性者が町に溢れているような状況では、計4回の検査を全てクリアするのもなかなかハードルが高い状態ですが、何とか年末年始を家族一緒に中国で迎えられるように、祈りたいと思います。
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hitorihoumu

Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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