中国におけるオフィスの分公司登記 厳格化(社会保険の観点からの要請) 他
1.中国におけるオフィスの分公司登記 厳格化(社会保険の観点からの要請)
中国で事業を展開している会社の中には、中国各地に複数のオフィスを設けていて、一部のオフィスについては、「分公司(日本でいう支店の)」の登記をせずに、事務所だけ借りて営業活動をしているケースが多々あるかと思います。
なお、本来、駐在員事務所ではなく、営業活動を行う事務所を設ける場合は「分公司」登記を行い、当該分公司の名義で現地の行政に社員に係る社会保険の登録を来ない、社会保険料を納付しなければならないルールになっています。
しかし、「分公司」登記をする場合、単純に登記をする手間、分公司名義の銀行口座を作って管理していく手間等が発生することと、また、行政より「経営性分公司」として登記するように言われた場合、「本店(例えば上海オフィス)の売上・利益」と「分公司の売上・利益」を分割して税務申告をしなければならない等、色々と面倒なので、分公司登記をしないで事務所を設立しているケースが多くあるかと認識しています。
※本店と分公司の売上・利益を分割すると簡単に言っても、どのような基準で売上・費用を按分すればいいのか、悩ましいですね。
2.代理人を介した社会保険の登録・納付を厳しくNGにしている一部主要都市あり
某コンサルから聞いた話では、特に、上海、杭州、深圳、広州、厦門、北京、西安、武漢、重慶の行政では、現地会社もしくは分公司の名義で社会保険の登録と納付をする必要があることを公表しているようで、他の都市と比べると上記ルールを厳格に管理・適用しているようです。
仮にルール通りに対応せずに、現地の代理業者・エージェントの名義で社会保険の登録・納付をしているとして行政指導を受けた場合、せっかく社会保険料を支払っていても、社会保険に関するサービスを受けられない等の大きなデメリットが発生するようです。
2022年3月18日に「社会保険基金の監督管理に関する規定」(人力資源社会保険部令第48号)が発効されたことで、上記ルール適用の厳格化が更に加速しているようです。
「分公司登記をする大きな手間」と「コンプラ違反と指摘をされるリスク」を天秤にかけて判断しなければならず、難しい判断が必要となりますが、特に上記重点都市に拠点を設ける場合・設けている場合は、行政指導を受ける前にルール通りの対応を進めた方が良さそうですね。
ちなみに、私の会社が上記に関してどのように対応しているのかは企業秘密です・・。
中国法人に拠点を設けている会社の方は既にご存じの情報かと思いますが、誰か一人でも参考になればと、書き留めておきました。
[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
これだけは押さえておこう 海外子会社管理の会計・税務・財務ケース50
(佐和 周氏著作)

[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
新解釈 コーポレートファイナンス理論――「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?
(宮川 壽夫氏著作)
[本書で参考になった内容]
・世界には、分かり易く単純化してしまった途端、もはや台無しになってしまった理論がある。
・資本コストは、事業を行う企業によって決まるのではなく、その事業自体のリスクの大きさで決めるべき。「既存の安定事業」と「新規ベンチャー事業」では達成基準とすべき資本コストは異なる。投資の際に意識すべきは、自社のWACCではなく投資する事業のWACC。
・新規事業の投資判断をする際に、「事業を実施する前」と「実施した後」の比較をして判断するのではなく、「事業を実施する場合」と「実施しない場合」を比較することが、キャッシュフローを意識した経営判断で求められる。「実施しない場合」とは機会費用であり、投資をしないという選択をした場合に発生する経済的な価値を意味する。遊休不動産の売却が良い例となる。
・「安定的な事業を行っている大会社のROE」と「ベンチャー事業のROE」を基に計算した日本企業全体の平均ROEから得られる情報は少ない。

中国で事業を展開している会社の中には、中国各地に複数のオフィスを設けていて、一部のオフィスについては、「分公司(日本でいう支店の)」の登記をせずに、事務所だけ借りて営業活動をしているケースが多々あるかと思います。
なお、本来、駐在員事務所ではなく、営業活動を行う事務所を設ける場合は「分公司」登記を行い、当該分公司の名義で現地の行政に社員に係る社会保険の登録を来ない、社会保険料を納付しなければならないルールになっています。
しかし、「分公司」登記をする場合、単純に登記をする手間、分公司名義の銀行口座を作って管理していく手間等が発生することと、また、行政より「経営性分公司」として登記するように言われた場合、「本店(例えば上海オフィス)の売上・利益」と「分公司の売上・利益」を分割して税務申告をしなければならない等、色々と面倒なので、分公司登記をしないで事務所を設立しているケースが多くあるかと認識しています。
※本店と分公司の売上・利益を分割すると簡単に言っても、どのような基準で売上・費用を按分すればいいのか、悩ましいですね。
2.代理人を介した社会保険の登録・納付を厳しくNGにしている一部主要都市あり
某コンサルから聞いた話では、特に、上海、杭州、深圳、広州、厦門、北京、西安、武漢、重慶の行政では、現地会社もしくは分公司の名義で社会保険の登録と納付をする必要があることを公表しているようで、他の都市と比べると上記ルールを厳格に管理・適用しているようです。
仮にルール通りに対応せずに、現地の代理業者・エージェントの名義で社会保険の登録・納付をしているとして行政指導を受けた場合、せっかく社会保険料を支払っていても、社会保険に関するサービスを受けられない等の大きなデメリットが発生するようです。
2022年3月18日に「社会保険基金の監督管理に関する規定」(人力資源社会保険部令第48号)が発効されたことで、上記ルール適用の厳格化が更に加速しているようです。
「分公司登記をする大きな手間」と「コンプラ違反と指摘をされるリスク」を天秤にかけて判断しなければならず、難しい判断が必要となりますが、特に上記重点都市に拠点を設ける場合・設けている場合は、行政指導を受ける前にルール通りの対応を進めた方が良さそうですね。
ちなみに、私の会社が上記に関してどのように対応しているのかは企業秘密です・・。
中国法人に拠点を設けている会社の方は既にご存じの情報かと思いますが、誰か一人でも参考になればと、書き留めておきました。
[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
これだけは押さえておこう 海外子会社管理の会計・税務・財務ケース50
(佐和 周氏著作)

[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
新解釈 コーポレートファイナンス理論――「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?
(宮川 壽夫氏著作)
[本書で参考になった内容]
・世界には、分かり易く単純化してしまった途端、もはや台無しになってしまった理論がある。
・資本コストは、事業を行う企業によって決まるのではなく、その事業自体のリスクの大きさで決めるべき。「既存の安定事業」と「新規ベンチャー事業」では達成基準とすべき資本コストは異なる。投資の際に意識すべきは、自社のWACCではなく投資する事業のWACC。
・新規事業の投資判断をする際に、「事業を実施する前」と「実施した後」の比較をして判断するのではなく、「事業を実施する場合」と「実施しない場合」を比較することが、キャッシュフローを意識した経営判断で求められる。「実施しない場合」とは機会費用であり、投資をしないという選択をした場合に発生する経済的な価値を意味する。遊休不動産の売却が良い例となる。
[hitorihoumuメモ]
上記内容とは話が反れますが、「投資判断」といえば、例えば新しく生産ラインを増設することを検討する際、「既存の生産ラインでの損益」と「新設する生産ラインの新設コスト及びその後に発生する損益」を合算しても利益(税後利益)が出るからOKという考え方をする場合があります。
しかし、本来、生産ラインの増設を判断する際は、「生産ラインの増設単体で発生する利益・キャッシュフロー」だけに着眼して、投下した資金を早期に回収できるかどうか、十分な利益を得るかどうかを判断しないといけないかと思います。以前、本社で稟議書の受付担当をしていた際に、前者の考え方で書かれた稟議書を多く目にして、修正のやりとりをしたものです。
その様な場合、私がゴーストライターとなって稟議書は修正したことも多々あります・・。本当は、教育的な観点からしても、案件について一番詳しい営業担当にやって貰うべきなのですが、早く案件を通すために(だいたいこの手の案件は急ぎであることが多い・・)、稟議書を「通す」書き方に詳しいということで、何故か受付部門の自分が手を動かしていた(見えない圧力により動かさせられていた)ことが多々ありました・・。
ただ、そんな経験により、今、海外法人に来て日本本社向けの稟議書を書く際に、どのような稟議書であれば、すんなり受付されて社長まで通るかという相場観・目利きが身について役になっています・・。
・「安定的な事業を行っている大会社のROE」と「ベンチャー事業のROE」を基に計算した日本企業全体の平均ROEから得られる情報は少ない。

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