「実践 ゼロから法務!: 立ち上げから組織づくりまで」を読んで

1.「実践 ゼロから法務!: 立ち上げから組織づくりまで」を読んで

今般は、最近出版された「実践 ゼロから法務!: 立ち上げから組織づくりまで」という本を読んでみました。

私は数年前に法務担当を卒業しておりますが、元一人法務担当であり、ハンドルネームが「hitorihoumu」であり、また、現在では海外法人のコーポレート責任者として、一人法務担当のナショナルスタッフを管理する立場にあることもあり、これは読むしかないだろうということで、本書を手に取ってみました。

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本書は、下記の複数の著作者の方々が本書のテーマをそれぞれ語る構成となっておりまして、法務の在り方、二人目の採用の仕方から自身の失敗談にいたるまで、小さい法務組織をこれから強化していく方向けに色々なメッセージ、体験談、ヒント等が書かれています。

著者の中には、私が以前、何度か法務の集まりでお会いさせて頂いたことのある方がいまして、今では著名になられた、デキル法務パーソンというイメージが強い方でしたが、その方は、過去の法務担当時代に部下の育成、マネジメントで失敗されていたエピソードを披露されており、出来る人にもそれぞれ悩みがあることを知って、ある意味で励まされました。

[本書の著作人] ※以下、Amazonからコピペしました
・柴山 吉報 (著, 編集)
・官澤 康平 (著, 編集)
・深津 幸紀 (著, 編集)
・堀切 一成 (著, 編集)
・高岸 亘 (著, 編集)
・桑名 直樹 (著, 編集)
・飯田 裕子 (著)
・岩塚 知世 (著)
・橋詰 卓司 (著)
・石渡 真維 (著)
・草原 敦夫 (著)
・高野 慎一 (著)
・長澤 斉 (著)
・内藤 陽子 (著)
・品川 皓亮 (著)
・齋藤 源久 (著)
・藥師神 豪祐 (著)



2.以前、雑誌:ビジネス法務 一人法務特集に投稿したことがあります

法務系雑誌「ビジネス法務」では、1年か2年に1回は、一人法務の特集を組まれているかと思います。

本書は、ビジネス法務を出版している中央経済社系列の「中央経済グループパブリッシング」が出版していることもあるのか、「ビジネス法務」一人法務特集の書籍版と言った内容になっていました。

なお、もう時効?だから書いてしまいますが、私は「ビジネス法務」(2018年7月号)の一人法務特集に私の体験談を掲載させて頂いたことがありました。その時の目次を貼り付けておこうと思います。

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私の所属会社ではビジネス法務を購読しているので、会社に許可なく執筆した等と言われても困るので、名前は伏せて「卸売業法務担当者」として執筆をしました。

上記雑誌を会社で回覧していたところ、他部署の同僚がこっそり、私のそばに寄ってきて、小声で

「この記事、hitorihoumu(私)が書いたものと思いますけど、そうですよね?」

と耳打ちされてきたことがあり、「え、はい、実はそうなんです(汗)えへへ。」と返答した思い出が蘇ってきました。

あれから6年くらい立ち、やっている業務も立場も色々と変わり、当時よりも成長できたかどうかは分かりませんが、上記雑誌の記事にも書いていた、井の中の蛙にならないように、という意識は持ち続けることは今でも出来ているかなとは思います。

最近、同僚(先輩)との世間話の中で、同僚が、「社会人になったら勉強をしなくなるよね~」という発言がありまして、その場では「そうですね~。」と返しましたが、個人的には、引き続き、自己研鑽の気持ちを忘れずに自主勉強を頑張っていこうと思います。
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書籍:「若手法律家のための民事尋問戦略」を読んで

1.書籍:「若手法律家のための民事尋問戦略」を読んで

今般は、弁護士 中村 真氏著作の「若手法律家のための民事尋問戦略」を読んでみました。

法務界隈の方であればご存じかと思いますが、中村先生は、法律・法務関連や弁護士業界に関するトピックス等を特徴的な挿絵とウィットに富んだ文体で面白おかしく?解説してくれるブログやtwitterを運営されている方です。

http://nakamuramakoto.blog112.fc2.com/

私は、今、ある日本法人の海外子会社にてコーポレート全般の責任者をしていまして、通常、業務において民事訴訟の証人尋問に関与するケースはありません。

一方、以前、日本親会社で法務担当をしていた際、某事案において日本商事仲裁協会の仲裁事案に関与して、仲裁廷における当事者(法務社員)として証人尋問(証人テスト、事前練習、証人尋問当日の立ち合いまでの一連の対応)の法務サポートに関与するという貴重な経験をしたことがあります。

先日、たまたまアマゾンで面白そうな本を検索していたら本書がおススメ欄に表示されて、上記証人尋問対応をしていた時の記憶がふと蘇り、気づいたら購入ボタンを押していました。

本書で勉強になった箇所は多々あり、また、純粋に知的好奇心も満たされて購入して良かったのですが、今後、この知識・TIPSを当事者として使うことになる紛争事案に遭遇しないことを祈っております・・。



2.自分の証人に余計なことを答えさせてはいけない

本書でも解説されていましたが、主尋問・反対尋問・補充尋問において、自分の証人にいかに余計なことは答えずに、聞かれたことには端的・手短に答えるように徹底させる(十分な予行練習をする)ことが尋問対応で重要なことであると、以前の証人対応をしてくれた代理人弁護士もアドバイスしてくれました。

通常の社会人の場合、証人尋問に慣れている方はいないので、どこまで話をすればいいのか分からないものです。その様な中、十分な尋問に対する心得を身に付けていない場合、特に営業系の担当・役員を証人として呼ぶ場合、持ち前のサービス精神?で、「こいつ(反対尋問してくる相手方弁護士)はよく分かっていないようだから、仕方がない、俺が教えてやろう」とばかり、聞かれていないことまでペラペラ答えようとしてしまうかもしれません。

下手に不要な発言をしたことで相手方から思わぬ攻撃を受けて足元をすくわれることの無いよう、事前準備をしっかり行い、証人を上手くコントロールしたいものですね。



3.とはいえ、証人にも十分な主張が出来たと満足感を与えてあげることも時には必要

本書によると、自分のクライアントや証人が、証人尋問手続きにおいて、自分の言い分を十分に述べさせてくれなかったと感じたまま尋問が終了した場合、訴訟の結果には直接影響はしなくても、クライアントや証人の不満が残りやすくなり、この不満は自分側が敗訴した時に噴出するので、相手方の反対尋問時に対して証人に言い足りないことがありそうなときは、再主尋問で補足質問して答えさせてあげるフォローも必要との解説がありました。

上記はその通りですね。証人尋問手続きはガス抜きの場ではありませんが、クライアント・証人が消化不良で尋問を終えた場合、代理人弁護士が最後まで言わせてくれなかったからあの弁護士は使えない弁護士だと不満を持つ可能性があるので、上記も念頭に尋問対応をしたいものですね。



4.証人尋問を「する」側と「される」側の準備の差に注意

本書によると、自分(弁護士側)は、準備書面を起案して、証人の陳述書をゴーストライト?して、証人尋問に対して準備万端であり、こちらで主張してきたいポイントも十分理解していたとしても、(証人尋問に慣れていない)証人にとってはそこまでの理解・準備が出来ていない場合があるので、この認識差を忘れて尋問対応した場合、質問の仕方が不十分で証人から得たい回答が得られない場合があるので注意が必要と解説されていました。

これもその通りかと思います。

特に、目の前の裁判・仲裁の結果が直接、自分の利害に影響が無い証人を尋問する場合は、陳述書を良く読み込んで100%頭に入れてきていない可能性がありますので、主尋問側の代理人弁護士は上記を前提として質問を組み立てていく必要がありますね。

[hitorihoumuメモ]
「話し手」と「聞き手」が持つ前提知識の差を理解しない「話し手」による説明下手は、証人尋問に限らず、通常の会議等でも遭遇するものです。

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|  「話し手」のお前はこの配布資料を作成してその背景・元データも
|   良く理解出来ているかもしれないが、この話を初めて聞かされる「聞き手」側は、
|   前提となる背景の理解が無く、置いてけぼりとなっている。
|    
|  「聞き手」の立場を考えた過不足の無い内容で、話すスピードも「聞き手」の
|   理解が追い付くようにしっかりコントロールした説明をしろや。ゴラァ!! 
|                                           
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  ( ゜Д゜)

と、プレゼン後に上司・先輩から指導されないように、特に4月から入社したプレゼン慣れしていない新入社員の方は気を付けましょう。

特にWEB会議の場合、相手のリアクションが良く読めずに、突っ走った説明をしてしまう人がいるので気を付けたいものですね。

自戒を込めて書き留めておきます・・。



[その他、本書で参考になった事項]
・弾劾証拠として証拠を提示した場合、その後、当該証拠は弾劾証拠としてしか使えなくなり、本証には使えなくなる。
 当該証拠を本証として使う必要がある場合は、争点整理手続き前に提出しておかないと通常、時機遅れとなる。

・反対尋問では、まずそうなサインが出たら思い切って引くことも必要。
 質問の内容は厳選して、意味のない質問やどのような回答が返ってくるか
 想定が難しい質問はすべきではない。地雷原を歩くような慎重さが必要となる。
 
・反対尋問の目的は、主尋問の供述の信頼性を減殺させること。
 この目的をはき違えて、さしたる攻め手もないのにやみくもに
 突撃を繰り返すことは逆に相手を利することになる場合がある。

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コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル(メン獄 (著))を読んで

今般は、「コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル(メン獄 (著))」という本を読んでみました。

普段、実務書を読むことが多く、ビジネス書を最近読んでいませんでしたが、たまに読むとビジネスパーソンとしてあるべき姿を再認識させれてイイですね。

本書は「コンサルティング会社~」というタイトルではありますが、事業会社で勤務している方にも通じる内容があり、参考になりました。

本書で心に留まった箇所がいくつかあり、いくつか抜粋させて頂きます。



1.仕事はみんな頑張っている。頑張ればいいというものではない。


頑張り方を間違わない

   (中略)

どんなに一所懸命にやった仕事であっても、納期・予算・品質の3つが期待値に合わないのであれば、クライアントにとってその仕事は不十分なものでしかない。自分自身の限界を勝手に会社の限界にしてしまうことは、クライアントのみならず自分を含めた関係者全員を不幸にしてしまう、裏切り行為なのだ。



作業に逃げてはいけない


仕事をする以上は成果が一番重要となります。特にマネージャー等の管理職はより一層、結果が求められます。

直接・間接的に頑張っていることをアピールしたとしても結果を伴わってなければ評価されません。上記は当たり前のことではありますが、ついつい忘れがちになることでもありますので、仕事をする上で常に意識していきたいものですね。

また、上記は部下を評価する際にも念頭に置いておきたいところです。成果を上げていないけど頑張りを主張してくる部下とどう対峙するのかが管理職層の腕の見せ所ですね・・。



2.違和感を単なる違和感で終わらせてはいけない(come again)


無駄な仕事の発生を避けるために、小さな不安は種のうちに詰んでおくべき具体的な行動をとることである。嫌な予感ほどよく当たる、というのはコンサルティングの仕事において特に顕著だ。

なんとなく気持ち悪さを感じていながらその気持ち悪さを言語化しないでいると、1週間後に取り返しがつかないことになっている、ということは非常によくある。

    (中略)

後々の大きなトラブルを未然に回避するためには、どんなに小さな違和感であっても、言語化し、その違和感の正体を見極めるようにしたい。



仕事をしていて、何か違和感を感じたものの、まあいいかと見過ごした場合、その嫌な予感が的中した、というケースはどなたにもあるかと思います。その時になって、「やっぱり思っていた通りだ。自分て見る目あるな~」と思ってみたところでもう遅いのです。

2022年4月24日に「違和感を単なる違和感で終わらせてはいけない 他」という記事でも書きましたが、仕事をしていて違和感を持った場合は、上記抜粋の通り、その違和感の正体が何なのかが言語化出来るまでクリアにして、杞憂であることを確認するところまで突き詰めたいですね。

なお、今、海外(上海)で仕事をしており、ナショナルスタッフの方と会話していて違和感を感じた場合、その違和感の正体は言葉のニュアンスの問題かなと早計に決めつけてスルーしたくなりそうな時がありますが、そのはぐっとこらえて、問題を潜在化させないようにしています。



3.その他、参考になった事項

「既に答えがある問題を自分で解いてはいけない」

「コンサルタントとして絶えず意識しておきたいことは、“常に少しだけ期待値を上回る”ということ」

「日々、今自分はどの問題を解くために何をしているのかを振り返りつつ、目的意識を持って働くようにしたい。」

「簡単に意見を変える人間は、プロフェッショナルとして信頼を得ることは難しい」

「勝てる場所で戦えているかを考える」

部下に依頼する際に共有すべき事項
 
 ①作業の背景・目的
 ②インプットが必要な情報
 ③アウトプットのイメージ
 ④期限
 ⑤確認が必要な関係者

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[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
MBAのアカウンティングが10時間でざっと学べる(2020/11/27)
(西山 茂 (著))

[本書で再認識させられた事項]
意思決定をする際に用いられる手法の一つである「回収期間法」は、回収する期間だけに着目しており、最終的にどれくらい儲かるかという金額的な評価をしていない点がデメリット。他の評価方法も組み合わせて検討すべき。

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[超個人的な備忘メモ:最近読んだ本]
中国MBAで学んだ最新中国ビジネス思考法&トレンド50選
日本のビジネスにどう活かせるか? 中国ビジネス自由研究所(Kindle版)
(中国ビジネス自由研究所 (著))

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Author:hitorihoumu
41歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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