コミック:商社マンは今日も踊る しょせん仕事は泥臭い!!

今般は、Sabosanさんが運営している法務ブログ企業法務担当者のビジネスキャリア術にて
以前、紹介されていた「商社マンは今日も踊る しょせん仕事は泥臭い!!」という
コミックを読んでみました。

内容はといいますと、専門商社のプラスチック部門に勤務する新人営業マン「タカハシ」が、
先輩や取引先の社長等に色々怒られながらも、営業マンとして徐々に成長していく、
というストーリーです。

一見、華やかに見える商社マンの哀愁を面白おかしく、しかも、著者の前職が
専門商社マンということもあり、実体験を基にしたリアルな内容となっていますので、
現在、商社への就職を夢見て就活中の学生や、商社マンではなくても、
仕事で疲れたビジネスパーソンの通勤時間のお供にお勧めしたいと思います。

なお、私も専門商社に勤務しているものの、法務担当であり、契約締結に向けた直接的な交渉は
営業担当者が行うこともあり、タカハシのように「仕入先メーカーと顧客」という
利害が反する間にモロに入って右往左往することはほとんどありませんが、
法務担当として、仕入先と顧客の両方を見ながら契約の締結を進めるのもなかなか難しいものですね。

例えば、顧客から提示された基本契約書に、瑕疵担保期間が「当社の納入後5年間」と
規定されていて、当社と仕入先との基本契約書では、当該期間を原則「1年間」と設定している場合、

「仕入先との基本契約書では瑕疵担保期間を1年間と設定しており、5年間は仕入先にて
対応出来ませんので、なんとか1年間に変更して頂けないでしょうか。」

と、仕入先との関係を根拠に、顧客に修正を依頼するケースも多々あります。

しかし、顧客からすれば、「商社マンは今日も踊る」的に言えば、

「 客の要望をメーカーに納得させるのが商社の役目だろ!!
  そんなんだったらな・・・商社なんていらねぇんだよ!! 」

というところでしょうし、顧客との契約書を基に、仕入先に締結済の契約書の修正を
依頼すれば、「商社マンは今日も踊る」的に言えば、

「 あなたはウチ(メーカー)の代理店ですよね?
  ウチの手をわずらわせずにお客を納得させるのが商社の役目でしょう?
  こんなことならですね・・・商社なんていらないんですよ 」

と言われる(もしくは思われる)でしょうし、契約書の修正依頼をする場合の根拠・理由を
どうするかは悩ましいところですね。

「仕入先が○○だからこう修正して欲しい」、「顧客がこう言っているからこう修正して欲しい」
というと、「どっちの見方なんだ」いう突っ込み所を与えますので、
仕入先にも得意先にも特段不利とはならない範囲で、業界慣習で考えても「妥当」であり、
「合理的」であるということを前面に出して契約交渉を持っていくのが、
商社の法務担当(契約書チェック担当)としての生きる道なのかもしれません。

と言いつつも、後々、顧客から損害賠償請求等を受けた場合、極力、仕入先にそのまま求償
(責任転嫁)出来るように、仕入先向けの当社雛形契約書は、仕入先に結構厳しい内容に
しておりますが・・。

P.S.
仕入先に提示した雛形契約書に対して、仕入先から修正依頼を受ける場合も多々ありますが、
仕入先が不利な条件に気づかずに、「そんなの正直どっちでもいいよ」というような箇所について
修正案を提示してきたり、「てにをは」レベルの指摘しかしてこない会社も多々あります。

そんなときは、「全て御社のご要望通りに修正させて頂きます」というのを低頭平身で
前面に出して、仕入先に(小さい)「貸し」を作るようにしていますが、先方の法務担当が
上記修正案を作成している時にどのような顔・考えをしているのか、一度見てみたいものですね。
(↑性格悪くてすみません)

※何も修正してこない会社も多数あり、それはそれで楽でいいのですが、しっかり内容を
 読んで契約書通りに履行してくれるのか、履行能力があるのか不安になるときもありますが・・。

商社マンは今日も踊る商社マンは今日も踊る
(2011/03/01)
小田 ビンチ

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Sabosanです。

「企業法務担当者のビジネスキャリア術」のSabosanです。トラックバック確認しました。

さて、この漫画は商社業界を希望する就活生にはうってつけかもしれませんね。本書で取り上げられているエピソードを面接などでふくませることができれば、ポイントになるかもしれません。

あと、仕入先と得意先との契約関係の板ばさみに陥ることは、こちらでもよくあります。それを見越して仕入用の自社契約書は厳しいめにしているのですが、万全であると断言はできません。このあたりは、なかなか悩ましいところですが、ある程度のリスク対応を行うことができれば、よしとするべきなのかもしれません。

このように、商社の法務担当者は当事者とのバランス関係にも配慮する必要があり、大変ですが、同時にまた腕のみせどころでもありますね。

Sabosan

コメントありがとうございます。

Sabosanさん
コメントありがとうございます。

顧客の要望と仕入先と履行能力の間に相違がある場合、顧客、仕入先、
当社の三者間の利害を調整するのはなかなか大変ですよね。

さらに
「全ての取引先と同一の契約内容で締結しているので修正は出来ません。」
「そんな修正以来をしてくるところは御社だけです。」
「基本契約書を今週中に締結しないと発注に間に合いません」
等と言われるとさらに大変ですね。

その場合は、交渉経緯・内容を議事録やメールに残すようにして、
やむなく原文通り締結するようにしていますが、この契約書外の
交渉記録が裁判でどの程度の証拠能力があるのか未知数ですので、
上記のような判例がないか探してみたいと思います。
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