日本の新収益認識基準の適用時、IFRSの早期適用を考慮して、代替的な取扱いをあえて採用しない選択肢もありますね

ご承知の通り、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下、新収益認識基準といいます)が2021年4月1日以後に開始する事業年度より適用されます。3月決算会社(私の所属会社を含む)の場合、来期から適用開始ということで適用まで1年を切っていますが、皆様の会社での準備状況はいかがでしょうか?(((( ;゚д゚)))アワワワワ

業界、会社にもよるかと思いますが、実務、業績への影響度としては、民法改正よりも大きい会社もあるのではないかと思います。

当社でも適用に向けた社内外での調整等を進めていますが、そんな中、論点を改めて再認識する為に「収益認識の会計実務(PwCあらた有限責任監査法人 編集)」を読んでみました。

早速ですが、本書で個人的に心に留まった箇所を抜粋させて頂きます。


IFRS基準との相違点

2.代替的な取扱い

  (中略)

代替的な取扱いについては、これまで日本で行われてきた実務などに配慮し、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、IFRS第15号における取扱いを踏襲した原則的な取扱いとは別に定めたものと考えられます。したがって、代替的な取扱いを適用した場合には、IFRS第15号の定めに従った場合の会計処理の結果とは相違が生じる可能性があるものと考えられます。

(本書P249抜粋)



ということで、IFRS第15号とは異なる代替的な取扱いをいくつか挙げられていますが、私の所属会社に関係しているのは主に下記3点となります。


(1)収益基準における出荷および配送活動に関する代替的な取扱い(適用指針94項)

(2)国内販売における出荷基準等の例外的な取扱い(適用指針98項)

(3)重要性が乏しい財又はサービスに対する残余アプローチの利用(適用指針100項)



「第2章 IFRS移行時の実務上の留意点」でも解説されていますが、日本の新収益認識基準にて代替的な取扱いを選択した後、IFRSを適用することになった場合、当該取扱いを変更してIFRSに適合させるよう、社内フロー等を変更する必要が生じてきます。

IFRSの早期適用について、IFRSの収益認識基準が業績(特に売上)に与える影響が大きくてこれまで躊躇していた会社もあるかと思いますが、今般、日本の新収益認識基準が適用されることになり、これを機にIFRSを早期適用しようかなと検討している会社もあるかと思います。

その際、IFRSへの移行のし易さを考慮して、日本の新収益認識基準に関する代替的な取扱いはあえて採用しない選択肢も考える必要がありますね。



[その他 本書で参考になった内容等]
1.米国会計基準の新収益認識基準(Topic 606)とIFRS第15号は、おおむね文言レベルで内容が一致している。(本書P6)

2.IFRSでも日本の新収益認識基準でも、固定資産の売却等、企業の通常の営業活動により生じたアウトプットとはいえない場合、収益基準の適用範囲には含まれない。しかし、IFRSでは、企業の通常の営業活動により生じたアウトプットとはいえない固定資産の売却については、IFRS第15号と同じ収益の認識を行うよう、IAS第16号「有形固定資産」を改正している。しかし、日本基準では定めている。(本書P20)

3.「契約書ベース」から「契約ベース」へ収益基準の適用範囲が変更となる。

4.②出荷および配送活動に関する会計処理
 顧客が商品または製品に対する支配を獲得した後に企業が行う出荷および配送活動については、商品または製品を移転する約束を履行する為の活動(適用指針4項)として処理し、履行義務として識別しないことができます(適用指針94項)(本書P81)

5.契約における重要な金融要素

(1)原則
取引価格の算定にあたり、約束した対価の額に含まれる金利相当分(貨幣の時間価値の影響)を調整する必要がある。

(2)例外(実務上の便宜)
契約における取引開始日において、約束した財又はサービスを顧客に移転する時点と顧客が支払を行う時点の間が1年以内であると見込まれる場合には、重要な金融要素の影響について約束した対価の額を調整しないことが出来る(会計基準58項)(本書P101)


[hitorihoumu]
私の所属会社のような商社の役割として「商社金融」というものがありますが、販売先に与えた支払い猶予期間が「1年間」以内であれば、取引価格の算定フローを変更する必要が無くても良かったです。



6.重要性が乏しい財又はサービスで、独立販売価格を直接、観察できないものは、残余アプローチを使用することが出来る(本書P115)

7.会計基準40項にて、支配の移転に関する5つの指標を例示している(本書P151)

8.「債権」と「契約資産」の相違点(本書P159)

9.遡及適用の方法
 原則:新たな会計方針を過去の期間の全てに遡及適用
 例外:適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用。
この場合、比較年度は現行の会計方針による数値を適用可能。

10.代理人取引への適用の有無を判断する際は、「主たる契約の履行責任」、「在庫リスク」、「価格設定の裁量権」という3つの指標を総合的に検討して判断する必要がある。1つの指標だけで判断してはならない。(本書P185)

11.有償支給取引において、支給先に譲渡された支給品の物理的な在庫管理責任が移転している為、企業が支給品の在庫管理を行うことが困難であることを考慮し、個別財務諸表にて、支給品の支給先への譲渡時に当該支給品の消滅を認識することが出来るという代替的な取扱いを認めている(適用指針104項)(本書P227)

12.顧客による検収が終了していない場合でも、契約にて合意された仕様に従っていることが確認でき、財又はサービスに対する支配が顧客に移転していることを、企業が客観的に判断できる場合は、形式的な検収を待つことなく、収益を認識出来る場合がある。(適用指針80項)(本書P232

13.財又はサービスが合意された仕様に従っているという保証の場合
当該保証について、企業会計原則注解(注18)に定まる引当金として処理する(適用指針34項)。この場合、約束された保証サービスを独立した履行義務として識別して取引価格を配分する必要はない。(本書P238)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
ファイナンスこそが最強の意思決定術である。
(正田 圭氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
ビジネスリーダーが学んでいる 会計&ファイナンス
(日沖 健氏著作)

[本書で参考になった内容等]
・回収期間法のデメリット
 投資を回収するスピードだけを問題にしている結果、
 スピーディーに回収出来る案件が評価され、じっくりと大きく儲ける案件が排除されてしまう。

・IRRのデメリット
 投資効率は高いがあまり企業価値をあまり高めない案件を選択してしまう。
 投資の規模を考慮せずに投資効率に着眼して判断する点。

・変化の激しい今日の経営環境では出来るだけ早期に資金を回収することが求められる為、
 回収期間法の利用価値が上がっている。
 その為、NPVを基本としつつも、回収期間法も併せて確認が必要。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
ビジネスエリートの「これはすごい!」を集めた 外資系投資銀行のエクセル仕事術
(熊野 整氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技
(木村 尚敬氏著作)

[本書で参考になった内容等]
・たとえ正しい判断だったとしても、意思決定する側は常に嫌われるリスクがある。
 しかし、みんなのご機嫌をうかがう人気取りではリーダーは務まらない。
 みんなの顔色をうかがって、みんなの意見を聞きながら落としどころを探う調整型リーダーでは
 問題解決に時間が掛かる。


 [hitorihoumu]
思い当たるふしが・・。嫌われる勇気も必要ですね。



・最大の抵抗勢力は現場にあり。時には北風的な毅然とした態度が必要となる。

・大企業体質の中にいると、「自分の仕事はここまでです」という仕事の仕方が普通になるが、
 最後まで責任を持って対応する人が結果を残してくれる人。

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42歳 男 二児(+柴犬)の父
主に週末にブログを更新する予定です。
今、中国(上海)で駐在員生活をしています。

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