非貿易取引の支払時の源泉徴収漏れに注意(特に5万ドル以下の少額支払のお漏らしに注意)
1.非居住者の中国国内源泉所得に関する支払時の源泉徴収義務
中国の非居住企業が獲得する中国国内源泉所得(当該非居企業が中国国内にPEを持たない場合)については、原則、中国国内の支払人が控除納付義務者となり、源泉控除納付により源泉徴収を行う必要があります。
上記源泉徴収手続の流れは以下の通りです。
上記手続の詳細について知りたい方は、(個人的に最近読んで参考になった)「中国企業所得税の制度と実務(2022年9月出版)(水野 真澄 (著・監修)、税理士法人山田&パートナーズ (著))」のP73を参照下さい。

2.非貿易取引の支払時の源泉徴収漏れに注意(特に5万ドル以下の少額支払のお漏らしに注意)
中国法人が日本の親会社に対して配当やロイヤリティを支払うケースは、毎月・毎年、定期的に発生することであり、又、日本側から源泉徴収したエビデンスの提出を求められることもあり、抜かりなく上記手順で源泉徴収対応を進めているかと思います。
又、上記1(3)の通り、中国において「国外に対して5万米ドルを超える非貿易に関する外貨送金を支払う場合、税務局に支払に関する届出(備案)が必要」であり、大きな非貿易取引の対価を支払い場合は、銀行から支払前に備案書類の提出を求められるので、少なくとも支払前には気づくと思います。
しかし、5万ドル以下の少額の非貿易取引(非居住者が提供する中国国内で発生する各種サービス取引)の場合は、上記支払時の登録備案をしなくても海外送金が出来てしまう為、うっかり源泉徴収をせずに送金してしまうケースも発生するかもしれません。
この場合、その後の税務調査で源泉徴収していないことを税務局から指摘されて後から納付をした場合でも、支払先・非居住者である第三者から税金相当額を別途回収するのは難しく、最終的には、源泉徴収義務者が本来は負担する必要のない税金分を負担せざるを得なくなる場合もありますので、源泉徴収漏れがないように十分注意したいものですね。
法人によっては支払に関する社内支払申請書に基づいて支払処理をしている会社もあるかと思いますが、そのような会社は、申請書の中に源泉徴収の有無というチェック項目を設けてもいいかもしれません。
また、海外法人と非貿易取引に関する契約書を取り交わす場合は、契約金額は、源泉税を徴収後の支払金額も合わせて明記するようにして、支払時のタイミングになって、契約書に記載の金額が「源泉税徴収前の金額」なのか「税引き後の金額なのか」をモメないようにしたいものですね。
5万ドルの送金規制については以前、下記記事を書いたので関連記事としてリンクを記載しておきます。
<その他、本書で参考になった・再認識させられた事項>
・中国企業が負担する従業員福利費の内、給与総額の14%を上限として損金算入が認められる(実施条例・第40条)
・中国企業が負担する教育費の内、給与総額の8%を上限として損金算入が認められる。給与総額の8%を超過した教育費については、翌年度の納税年度に繰り越して損金算入が可能(実施条例・第42条)
<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
中国個人所得税の制度と実務(2020年9月出版)
(水野 真澄 (著・監修)、税理士法人山田&パートナーズ (著))

中国の非居住企業が獲得する中国国内源泉所得(当該非居企業が中国国内にPEを持たない場合)については、原則、中国国内の支払人が控除納付義務者となり、源泉控除納付により源泉徴収を行う必要があります。
上記源泉徴収手続の流れは以下の通りです。
[源泉徴収手続きの簡単な流れ]
(1)契約書の登録備案(届出)
源泉徴収義務者は、関連する契約の締結から30日以内に
税務局に契約書を届け出て税務登記が必要
(2)納税
源泉徴収義務者は、源泉徴収したお金を税務局に納税する
(3)支払の登録備案(届出)
国外に対して5万米ドルを超える非貿易に関する外貨送金を支払う場合、
上記(1)の備案の他に、税務局に支払に関する届出(備案)が別途必要。
海外送金時に銀行から上記備案書類の提出を求められる。
※上海では、上記「(1)契約書の登録備案」と「(3)支払の登録備案」は
税務局のWEBサイトで申請が可能であり、又、上記(2)の納税は電子納付が可能。
上記手続の詳細について知りたい方は、(個人的に最近読んで参考になった)「中国企業所得税の制度と実務(2022年9月出版)(水野 真澄 (著・監修)、税理士法人山田&パートナーズ (著))」のP73を参照下さい。

2.非貿易取引の支払時の源泉徴収漏れに注意(特に5万ドル以下の少額支払のお漏らしに注意)
中国法人が日本の親会社に対して配当やロイヤリティを支払うケースは、毎月・毎年、定期的に発生することであり、又、日本側から源泉徴収したエビデンスの提出を求められることもあり、抜かりなく上記手順で源泉徴収対応を進めているかと思います。
又、上記1(3)の通り、中国において「国外に対して5万米ドルを超える非貿易に関する外貨送金を支払う場合、税務局に支払に関する届出(備案)が必要」であり、大きな非貿易取引の対価を支払い場合は、銀行から支払前に備案書類の提出を求められるので、少なくとも支払前には気づくと思います。
しかし、5万ドル以下の少額の非貿易取引(非居住者が提供する中国国内で発生する各種サービス取引)の場合は、上記支払時の登録備案をしなくても海外送金が出来てしまう為、うっかり源泉徴収をせずに送金してしまうケースも発生するかもしれません。
この場合、その後の税務調査で源泉徴収していないことを税務局から指摘されて後から納付をした場合でも、支払先・非居住者である第三者から税金相当額を別途回収するのは難しく、最終的には、源泉徴収義務者が本来は負担する必要のない税金分を負担せざるを得なくなる場合もありますので、源泉徴収漏れがないように十分注意したいものですね。
法人によっては支払に関する社内支払申請書に基づいて支払処理をしている会社もあるかと思いますが、そのような会社は、申請書の中に源泉徴収の有無というチェック項目を設けてもいいかもしれません。
また、海外法人と非貿易取引に関する契約書を取り交わす場合は、契約金額は、源泉税を徴収後の支払金額も合わせて明記するようにして、支払時のタイミングになって、契約書に記載の金額が「源泉税徴収前の金額」なのか「税引き後の金額なのか」をモメないようにしたいものですね。
5万ドルの送金規制については以前、下記記事を書いたので関連記事としてリンクを記載しておきます。
非貿易項目(役務提供等)の5万ドル送金規制を逃れるために分割払いをしてもダメ in 中国
2023年5月6日 投稿
https://hitorihoumu.blog.fc2.com/blog-entry-730.html
<その他、本書で参考になった・再認識させられた事項>
・中国企業が負担する従業員福利費の内、給与総額の14%を上限として損金算入が認められる(実施条例・第40条)
・中国企業が負担する教育費の内、給与総額の8%を上限として損金算入が認められる。給与総額の8%を超過した教育費については、翌年度の納税年度に繰り越して損金算入が可能(実施条例・第42条)
<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
中国個人所得税の制度と実務(2020年9月出版)
(水野 真澄 (著・監修)、税理士法人山田&パートナーズ (著))

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